見出し画像

僕と胡蝶さん 24(プレゼントをして驚かせる)

『夢をかなえるゾウ』の課題を実践していく私小説

  〇
プレゼントを渡す機会って、あんまり無い。というかほとんど無い。サンタになる季節が近づいてきたからそれで頭を悩ませているが、その時期くらいだ。
「胡蝶さん、プレゼントって難しいですね」
「そうかの、お主が初めて花を買って帰ってきた日は、なかなかサプライズな反応があったと思うがの」
「花屋さんに行くのもなんだか自然なルーティーンになってきました。たしかに花を買ってっていうのはプレゼントではありますが、驚かせるにはもう足りないですかね?」
「そうかもしれんの。でもあの時みたいに、何をプレゼントしたら周りが喜ぶかを考えてみたら、それは楽しいことになるんではないか」
「なるほど。ありがとうございます、胡蝶さん」

 翌日、会社の女性陣とのプチ飲み会があるので、いつもの花屋で何かないかを物色する。さすがに生花を持っていくのはハードルが高すぎるから、かばんに忍ばせられるものは無いかと探していたんだが、瓶につめれらている花を発見した。
 店員さんい聞いてみると「プリザーブドフラワー」というものらしい。店員さんが「この子達はバラさんです。その下はアジサイをモチーフにして飾ってるんですよ」みたいな説明をしていて、このお店の人気ぶりが分かった気がした。何ていうか、典型的なお花屋さんの店員って感じだ。この子達って・・・。こういうところにも気付くことができるようになったのも成長の証だろうか。

 飲み会の最後に「あの、最近、花屋に行くことが多くなって。その店員さんからのおすすめなんですけど」としどろもどろになりながら、プレゼントを渡した。女性陣は「これ、かわいいですね」といったリアクション。思ったような訝しがられた反応ではなく、素直に受け取ってもらえて安堵。そして「実は、私たちからも、この前誕生日を迎えた娘さんへのプレゼントです」と言ってプレゼントをもらってしまった。
 まさか、向こうからプレゼントがあるとは。自分が持って行ってなかったら、と思うと、肝が冷えた・・・。

「胡蝶さん、そんなことがありました。プレゼント用意しといてよかったですよ」
「なんだか、課題とは違った方向な気がするが・・・。良かったではないか。さて、お主に一つ相談がある。どうやらガネーシャ殿の課題もここで一区切りのようじゃ、私もそろそろお主の家から、神社のほうに居を戻そうと思っておる」
「え?そんな」
「別に、歩いてこれる位置の神社に戻るだけなんだからいいじゃろ。これからは『最後の課題』が待っておるではないか。それを一緒にやって、いったん区切りを迎えようではないか」

 ガネーシャも言っているけど、確かにこのままでは何か変わった気になっているだけだ。最後の課題を胡蝶さんと一緒に進めて、自分の習慣を変えていこう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?