「コロナ陽性です。」

今世間を騒がせている、新型コロナウイルス。
無症状の方から重症化する方、
死を招いてしまうかもしれない恐れがある怖い感染症です。

それが身近な場所で流行るなんて、
恐ろしい時代になってしまいました。

持病のある方や、
高齢者は特に気をつけなければいけません。
そうなると、私たち介護職員は特に気を付けながら
2年程過ごしていました。

マスクは必ず着用。
密になる所には行かない。
遠出しない。
手洗い、うがい、消毒の徹底。

プライベートも含め気を付けていました。


そんなある日、
夜勤中に脳梗塞の疑いが出た利用者さんを救急搬送。

その後、夜遅くに病院から電話があり、

「○○さん、コロナ陽性です。」

と言われたと、
夜勤スタッフから私のところへ連絡が来ました。

『まさか...
聞き間違えじゃない?』

朝になってから病院に確認の電話をしました。
すると、

「はい、○○さんコロナ陽性です。」

本当だった...

「保健所からの指示をお待ちください。」


『まさかこんな田舎で!?
若いスタッフも多くないし、
家族のある方たちばかりなのに。
もし他の利用者さんにうつっていたらどうしよう。
自分はうつってないかな。』

などと、頭の中混乱していました。

その後、県の担当の方から電話があり、
防護服や不織布マスク、N95マスク、キャップ、
フェイスシールド、グローブを
早急に沢山届けてくださいました。

岐阜大学の先生から
感染症対策をズームにてご教授頂けたり、
手厚い支援をして頂けました。
とても有難かったです。

それから仕事内容の変更や、
スタッフ同士の励まし合いで
なんとか日々乗り越えていました。


防護服は肩が凝るし、
N95マスクは鼻や頬に赤い痣ができてしまうほど痛いし、
フェイスシールドとキャップで
ずっと頭を締め付けられると頭痛がしてくるし、
本当に大変な思いをしながら、
皆で頑張れたなと思います。


陽性者発覚直前にたまたま行っていた
職員のPCR検査では、2人が陽性でした。
その後に行った利用者さんの抗原検査では全員陽性。


とにかく、これ以上職員に陽性者が増えないよう、
岐阜大学の先生に習った対策を徹底しました。


陽性者はお休みになるので、その分を
負担しなければならないスタッフもいました。

私たちの職場は、
認知症介護施設なので、部屋に隔離はなかなか難しいです。

お部屋に居てもらうよう説明をしても、

「ご飯はまだかね?」

などと言って出てきてしまいます。
その為、職場全体がレッドゾーン(ウイルスが蔓延している場所)となり、職員の休憩やご飯は車の中でとなりました。

気分はまるでウォーキング○ッド(海外ドラマ)でした。
(知らない方ごめんなさい)

段々と、スタッフの中に
疲労感が漂う空気になってきました。


「これっていつまでやるの?」
感染状況によるので何とも...

「N95マスクやらなくても
 不織布マスクを何枚かしてればいいでしょ?」
いやいや、N95マスクしてください。

「台所だったらマスク外していいでしょ?」
だめです。

「PCR検査したけどその後になってたら意味ないよね?」
それは私ではなんとも...


スタッフの皆さんの不安や不満も限界に近いなと
思えてきた感染発覚から10日後!!

「保健所から、もう対策期間は終わりとのことです!
不織布マスクだけで大丈夫です!」

やっとお許しが出ました。

「やったー!」
「お疲れさまでしたー!」
「大変だったねー!」

最後にみんなで防護服を着たまま記念写真を撮って、
すぐにビリビリに破いて脱ぎ捨てました。

「はぁー、脱ぐとスッキリー!」
「視界が広くなるよね!」
「体も軽いー!」

皆さんやっぱりストレスが溜まっていたようでした。
解放され、普通の格好で仕事ができる喜びに浸っていました。

利用者の皆さんにも、
「皆さーん!今日からいつものような生活に戻ります!
こっちでお茶飲みましょう!テレビでも見ましょう!」

と呼び掛けると、ぞろぞろとリビングに
集まって来てくださいました。

分かってくださっている方は

「あら~やっと!?
 やっぱりみんなでご飯食べたいものねぇ」
「良かったね~」

と喜んでくださり、よく分かってない方は、

「それでも、たまにはこういうこともないとたるいよ!」

なんて言われて思わず笑ってしまいました。


この数日間、怒涛の日々でした。
本当にお疲れさまでした。
感謝の思いでいっぱいです。

今も尚、医療従事者の方たちは
あの格好で戦っていると思うと頭が上がりません。

家族がなってしまい、
家庭内で戦っている人も少なくないようです。
明日は我が身だと思うと本当に怖いですよね。

早くこんな時代が終わり、
日常を取り戻せる日が1日でも早く来てほしいなと思います。

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