注射なんて家でしないでよ。〜在宅医と予防接種〜
今日の訪問診療で。
僕は、予防注射には複雑な気持ちがこみ上げる。子どもの気持ちになったら嫌なこと。大人の気持ちになればちゃんとやってあげたい。
医者としては仕方ない役どころ。でも嫌われたくない。
今日、約束の予防注射。
複雑な思いながら袖をめくると…話せないその子の気持ちが目にとまった。日中通ってる先で保育士が書いてくれたのかな?
この子のハッピーを応援してくれてる人がたくさん、たくさんいる。安心して嬉しい気持ちになる。僕の悪者としての覚悟がきまる。
在宅での予防注射は難しい。自宅が最悪の思い出の場所にならないように。
医者は笑顔で近づかない。笑顔の大人が近づいてきたら恐ろしいことがおこる、そんな風にはしないでと、保育士に言われてからそうしている。
真剣な表情で、君を守るためだよ、と真剣に愛情を伝える気持ちで向き合うようにする。
家族に押さえつけるのをお願いしない。
家族には注射の後に抱きしめる役割をお願いする。頑張ったね、って。なんなら医者をやっつけるパフォーマンスがあっても良い。
嫌なことがあっても、それが成長に繋がるように。
今日、注射した彼女は、
初めて泣かなかった。泣きそうだったけど、泣かなかった。
それを見て泣きそうになる医者…って意外と良い立ち位置なのかもしれないです。
いつも、伝わらなくてもいいから、嫌いにならないでね、って注射の後は声をかけます。
でも大抵目を合わせてはもらえません。それでもいいと、それが僕の役どころと思うようにしています。
でも、今日は
終わった後も僕の膝に乗ってくれ、嫌だったけど許してもいいよ、って言ってくれました。頑張って良かったな、医者として君と出会えて良かったよ、って思えたし、そう伝えました。ありがとう(^^)大好きです。
(2018.5.22.の予防接種の思い出です)