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過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問85

みなさん、こんにちは。

公認心理師受験生Kidです。

さて、掲題の通り、問85です。

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問85
学習における消去について、最も適切なものを1つ選べ。
① 消去によって一度消失した反応は、自発的には回復しない。
② 毎回ではなく間欠的に強化された反応のほうが消去されにくい。
③ 消去が開始された直後から、反応は一定のペースで減少していく。
④ レスポンデント条件づけでは、条件刺激の除去によって反応の消去が生じる。
⑤ 条件づけによる反応の形成後、強化子を提示することによって反応の消去が生じる。

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正解、 ②です。

わかりやすく説明するために、選択肢②、選択肢④、選択肢⑤をつかっていきます。

心理学における「消去」とは、学習心理学における古典的(レスポンデント)条件づけおよびオペラント条件づけの両方で起こる事象を指します。

古典的(レスポンデント)条件づけでは、条件づけられた刺激が単独で与えられ、もはや無条件刺激を予測しなくなったとき、徐々に条件反応は起こらなくなります。

パブロフの犬で説明すると、メトロノームの音(条件刺激)で唾液を分泌する(この場合は条件反応)よう条件づけられた後(要するに、メトロノームと食べ物を対呈示して、メトロノームの音だけで唾液が出るようにした後)、メトロノームが繰り返し鳴っても食べ物(無条件刺激)が与えられないでいると、最終的にはメトロノームに応じて唾液は分泌しなくなります。

つまり、古典的条件づけにおける消去では、条件刺激の除去ではなく(これが選択肢④の内容です)、条件刺激を呈示するが食べ物は与えないという試行を繰り返すことを指すわけです。

対して、オペラント条件づけのパラダイムにおける消去とは、それまで行動を維持していた強化刺激が、一切提供されなくなった状況を指します。

条件づけによって以前強化されていたオペラント行動が、もはや強化されなくなったとき、強化された行動の頻度は徐々に減少していくわけです。

このように、条件づけによって反応を形成した後に、条件づけで用いられていた強化子や無条件刺激を呈示しないのが「消去」という操作であると考えて良いでしょう。

こうした「消去」ですが、特にオペラント条件づけにおいては、どのような強化スケジュールによって条件づけられたかによって「消去」のされやすさが異なるとされています。

同じ行動が自発するたびに毎回強化子の提示を行うことを「連続強化」と呼び、反応に時々強化を行うことを「部分強化(または間歇強化)」と呼びます。

Skinnerはこの「反応をいつ強化するか」という環境側から見た規則を「強化スケジュール」と呼びました。

「反応の習得」だけに注目をすれば、連続強化の方が習得が早いとされています。

ただし、連続強化よりも部分強化の方が消去抵抗が高い(つまり、消去されにくい)とされており、この現象を「部分強化効果」と呼びます。

毎回強化された方が反応と強化の結びつきは強くなり、消去されにくくなると考えられがちですが、実際の消去抵抗は部分強化の方が高いです。

このため、この効果を強化矛盾、あるいは発見者の名を付してハンフレイズのパラドックスと呼ぶこともあります。

教科書等を読んでも、連続強化と部分強化の比較をするときには必ずと言っても良いほど上記の消去抵抗の違いについて述べられています。

よく言われる例では、パチンコにはまりやすいのはパチンコという不定率の強化スケジュールで強化された故に、なかなか消去されないのだというものがあります。

以上より、選択肢④および選択肢⑤は不適切と判断でき、選択肢②が適切と判断できます。

引用URL:https://public-psychologist.systems/04-学習及び言語/公認心理師%E3%80%802023-85/

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