見出し画像

過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問38

みなさん、こんにちは。

公認心理師受験生Kidです。

さて、掲題の通り、問38です。

------------------------------------------------
問38

精神病床の特徴として、適切なものを1つ選べ。  

①一般病院には設置されない

②一般病床に比べて、平均在院日数が長い

③一般病床に比べて、人口当たりの病床数が多い

④一般病床に比べて、病床当たりの医師数が多い

⑤病床数は、私的な病院よりも公的な病院に多い
------------------------------------------------

正解、 ②です。

精神病床における平均在院日数の長さは、精神科病院の約8割、精神科病床の約9割を民間の医療法人が運営していることが要因とされています。

開設者別に見た施設数をこちらの資料で確認すると以下の通りになります(とりあえず「病院」だけの数字を載せます。診療所も同じような割合ですね)。

国=厚生労働省、独立行政法人国立病院機構、国立大学法人、独立行政法人労働者健康安全機構、国立高度専門医療研究センター、独立行政法人地域医療機能推進機構、その他(国の機関):321
公的医療機関=都道府県、市町村、地方独立行政法人、日赤、済生会、北海道社会事業協会、厚生連、国民健康保険団体連合会:1199
社会保険関係団体=健康保険組合及びその連合会、共済組合及びその連合会、国民健康保険組合:49
医療法人:5687
個人:156
その他=公益法人、私立学校法人、社会福祉法人、医療生協、会社、その他の法人:826
このように、日本における精神病床は圧倒的に私的な病院が占めていることがわかります。

そして、1958年の事務次官通達(発医第132号)により、精神病床の許可基準の定数については、医師は1/3、看護師は2/3とされており(いわゆる、精神科特例)、こうした取り決めにより設置基準を緩める代わりに、診療報酬は一般病床より低く設定されています。

病院のスタッフ配置の標準数(最低基準)を医療法施行規則が定めていますが、精神科特例によりこの最低基準が精神病床ではかなり低く設定されているということです。

一般病床 16:1
精神病床 48:1
療養病床 48:1
結核病床 16:1
感染症病床 16:1
特定機能病院 8:1
上記が医療法施行規則に記載されている基準ですが、一般病床では医師は入院患者16人あたり1人、看護職員は入院患者3人に1人であるにも関わらず、精神病床では医師は48人に1人、看護職員は4人に1人です。

前述の通知がこうした方針を打ち出したことで、民間精神病院がどんどん増える一因となりました(当時の精神病院は医療というより、生涯収容の場とみなされていました)。

こうした精神科特例は、2000年の医療法改正で精神病床の配置基準も施行規則に組みこまれ、法的には特例ではなく本則になっており、精神科に人手が少ないのは公式な形となっております。

そのため、日本の精神病床の特徴としてはその多さが挙げられており、先進国の中で人口10万人当たりのベッド数を比較したら、日本は一貫して世界一を続けています(人口当たりの精神病床数は、OECD加盟国の中では最も多く、人口10万人当たり257.2床(令和2年医療施設調査)である)。

ちなみに選択肢③で問われている、一般病床との比較では、一般病床は888,009床であり、精神病床は324,661床となっていますから(2020年の数字。参考資料はこちら)、さすがに一般病床を上回るほど精神病床が多いというわけではありません(それでも国際社会と比べて精神病床が異様に多いのは間違いありません)。

平均在院日数が長くなるのは、こうした設置基準の低さ、民間の医療機関が大多数を占めていること(利益を出すことに力点が置かれやすくなる)、病床数を増やすほど経営的に利益が出やすい構造があること(精神病床の保険点数は低いので、数を増やして利益を出すことになる)などが要因とされており、精神科病院側では自嘲的に「薄利多売」と評しているモデルになっているわけです。

以上のように、日本の精神病床においては、一般病床に比べて明らかに平均在院日数が長くなっており、その要因として医師数などの設置基準が緩いので私的な病院が多くなること、病床数などを増やすことで利益が出やすい構造があること、などが挙げられています。

よって、②が適切と判断できます。

引用URL:https://public-psychologist.systems/11-健康・医療に関する心理学+法律/公認心理師%E3%80%802023-38/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?