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過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問70

みなさん、こんにちは。

公認心理師受験生Kidです。

さて、掲題の通り、問70です。

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問70
15歳の男子A、中学3年生。売却目的でゲームソフトの万引きを繰り返した件で逮捕され、少年鑑別所に収容となった。家庭裁判所の審判では保護観察の決定を受けた。その後、中学校に登校したが、同級生たちから、「鑑別所帰り」と避けられ、親や教師からは、「悪いことをしていないか」と疑われていた。保護観察となって3か月後、Aは万引きで逮捕された。
 Aの再非行を説明する理論として、最も適切なものを1つ選べ。
① A. K. Cohen の非行下位文化理論
② D. Matza の漂流理論
③ E. H. Sutherland の分化的接触理論
④ H. S. Becker のラベリング理論
⑤ T. Hirschi の社会的絆理論

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正解、 ④ H. S. Becker のラベリング理論です。

こは「文化的逸脱理論」という枠組みに含まれる理論です。

ある下位文化が社会全体の主流をなす文化から逸脱している場合、すなわち、非行下位文化が存在する場合、その下位文化の中で社会化された個人は、下位文化の規範や行動を学習・同調し、それが犯罪や非行になるという考え方です。

「文化的逸脱理論」という枠組みに含まれる理論として、Beckerの「ラベリング理論」が挙げられます。

ラベリング理論は、逸脱行動を単なる社会病理現象として扱ってきたアプローチとは一線を画し、逸脱というのは、行為者の内的な属性ではなく、周囲からのラベリング(レッテル貼り)によって生み出されるものだ、と捉えるものです。

この理論において社会集団は「これを犯せば逸脱となるような規則」を設け、それを特定の人々に適用し、彼らにアウトサイダーのレッテルを張る事で逸脱を生み出すとし、すなわち、逸脱が先にあるのではなく、レッテル貼りが逸脱を生み出すと考えます。

つまり、これまでの議論が「逸脱行為がまず存在して、それを人びとが逸脱として認識する」という手順だったのに対して、ラベリング理論では「人々がある行為を逸脱と認識するから、逸脱になる。「逸脱者」というレッテル貼りが「逸脱者」を生み出す」と見なしているわけですね。

ベッカーは個人の内的な性質(動機、性格、精神病理)によって逸脱行為を説明してきた学問的常識に対して、逸脱を貼り付ける社会制度とラベリングされる側との相互作用として説明したのです。

「その後、中学校に登校したが、同級生たちから、「鑑別所帰り」と避けられ、親や教師からは、「悪いことをしていないか」と疑われていた」というのはラベリング(レッテル)をしていることが再非行を促していると言えますから、ラベリング理論が該当すると考えるのが妥当と言えそうです。

以上より、④は適切と判断できます。

引用URL:https://public-psychologist.systems/14-司法・犯罪に関する心理学+法律/公認心理師%E3%80%802023-70/

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