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過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問●

みなさん、こんにちは。

公認心理師受験生Kidです。

さて、掲題の通り、問71です。

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問71
21歳の女性A、大学3年生。Aは、同居中の19歳の妹Bに連れられて総合病院精神科を訪れた。Aは1か月前から不眠を訴え、2週間前から部屋に閉じこもり、食事を摂らなくなった。心配したBが話を聞くと、「盗聴器が仕掛けられている。食べ物の味がおかしい」と言う。Bは嫌がるAを何とか病院に連れてきた。診察した精神保健指定医は入院治療が必要と判断し、Aに説明を行い、BもAを説得したが、Aは、「自分は病気ではない」と拒否し、激しく興奮した。両親は遠方に在住しており、この時点で連絡がつかない。
 Aを入院させる場合の入院形態として、最も適切なものを1つ選べ。
① 応急入院
② 措置入院
③ 任意入院
④ 医療保護入院
⑤ 緊急措置入院
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正解、 ●です。
さて、まずは事例の状況を確認していきましょう。

21歳の女性A:症状から統合失調症の可能性あり(盗聴器が仕掛けられている、好発年齢)。
同居中の妹(19歳)によって嫌々ながら連れてこられた。
精神保健指定医は入院治療が必要と判断した。
Aは「自分は病気ではない」と拒否し、激しく興奮した。
両親は遠方に在住しており、この時点で連絡がつかない。
…ということです。。。

本問は、この情報を基にして、どの入院形態が適切かを考えていく問題です。

精神保健指定医が診察しており、入院治療が必要ということですから、本人が拒否していたとしても入院する方向で考える必要がありますから、この時点で任意入院は否定されます。

精神障害のために自傷他害の恐れが強く、精神保健指定医二人以上の診断結果にもとづき、都道府県知事の命令によって強制的に入院させるのが措置入院(指定医2名が待てない状況なら緊急措置入院)になりますが、本事例は入院は拒否しているものの「自傷他害の恐れが強い」とは言えないと推測できそうです。

自傷とは主として自己の生命・身体を害する行為を言い、他害とは他人の生命・身体・自由・貞操・名誉・財産等に害を及ぼす場合と決められていますが、現時点の事例情報ではこうした自傷他害の可能性を強く示唆するものは無く、この時点で措置入院・緊急措置入院は除外されることになります。

残る入院形態は「医療保護入院」と「応急入院」になりますが、このいずれかを選択できるか否かが本問の最大のポイントになります。

指定医が入院治療が必要と判断し、本人が入院を拒否しており、自傷他害の恐れはないという状況ですから、選択される可能性があるのは「医療保護入院」か「応急入院」ということになります。

そして、「医療保護入院」と「応急入院」のもっとも大きな違いは「家族の同意の有無」であり、「医療保護入院」では家族の同意が得られていて、「応急入院」では家族の同意が得られていないときに選択される入院形態です。

本事例では「両親は遠方に在住しており、この時点で連絡がつかない」とありますから、「これは応急入院だろう」と思わせようと引っかけてきていますが、重要なのは「同居中の19歳の妹B」の存在です。

ここで考えねばならないポイントは、①妹は「家族等」に含まれるか否か、②19歳という年齢のBに「同意」を採れるのか否か、になります。

医療保護入院における「家族等」には、三親等以内の者が含まれることになります。

0親等︓配偶者
1親等︓⽗⺟、⼦
2親等︓祖⽗⺟、孫、兄弟姉妹
3親等︓曾祖⽗⺟、曾孫、伯叔⽗⺟、甥姪
このように「妹B」は家族等に該当することになります。

そして、19歳という年齢ですが、民法が改正され、2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に変わりました。

医療保護入院の家族等同意について、改正法の施行に伴い、18歳、19歳の者も同条第2項に規定する「家族等」として同意できるようになります。

ですから、「両親は遠方に在住しており、この時点で連絡がつかない」という状況ではありますが、同居している19歳の妹Bの同意があれば「家族等」の同意があったと見なされ、医療保護入院を適用することが可能になるわけです。

以上より、①、②、③および⑤は不適切と判断でき、④が適切と判断できます。

引用URL:https://public-psychologist.systems/11-健康・医療に関する心理学+法律/公認心理師%E3%80%802023-71/

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