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過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問15

みなさん、こんにちは。

公認心理師受験生Kidです。

さて、掲題の通り、問15です。

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問15
高齢期に人生の残り時間が少なくなると、自分の持つ資源を、より心理的に満足できる目標や活動に注ぎ込もうとする傾向を説明する心理学理論として、最も適切なものを1つ選べ。

① 持続理論

② 離脱理論

③ 社会的コンボイ理論

④ 社会情動的選択性理論

⑤ 補償を伴う選択的最適化理論
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正解、 ④です。

社会情緒的選択理論はCarstensenが提唱した理論で、時間的見通しによる動機づけの変化によってエイジングパラドックスを説明しようとしています。

残り時間が限定的だと感じると、感情的に価値ある行動(嫌な人とは付き合わない、やりたいことだけをやる等)のような、情動的に満足できる目標や活動に傾倒するとされています。

社会情緒的選択理論では、人生の残り時間が少なくなると、強い選択を行うようになり、自分の持つ資源を情動的に満足できるような目標や活動に注ぎ込むようになるという考え方なので、交際の範囲を狭めていくことになるとされています。

この理論に基づくと、高齢者は非情動的な情報よりも情動的な情報をよく好むと予測されます。

こうしたモチベーションの変化は、認知の過程にも影響を及ぼ巣とされており、加齢により、注意や記憶の過程で、ネガティブな情報よりもポジティブな情報を好んで取り入れるようになります(これはポジティブ効果と呼ばれている)。

この理論は目標の持ち方にも変化をもたらすことを示唆しており、ある人が自分の将来の時間が充分にあると認識するのなら、その人は、未来志向の、発展的な、知識を集めるゴールを目指すでしょうし、もしある人が自分の将来の時間があまり残っていないと認識するのなら、その人は、現在指向の、情動的な、楽しさを志向するゴールを目指すことになります。

この理論が強く主張するのは、このゴールのシフトが、年齢そのものによって引き起こされるのではなく、また時間の経過によって引き起こされるのではなく、残された時間の認識の仕方によって引き起こされるという点にあります。

以上より、社会情動的選択性理論とは「人生の残り時間が少なくなると、人々は通常、強い選択を行うようになり、自分の持つ資源を、情動的に満足できるような目標や活動に注ぎ込むようになる」というものであり、本問の説明文と合致することがわかります。

よって、④が適切と判断できます。


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