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過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問55

みなさん、こんにちは。

公認心理師受験生Kidです。

さて、掲題の通り、問55です。

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問55
C. R. Cloninger が提唱した気質‐性格理論の内容として、適切なものを2つ選べ。

① 気質次元の特性は、遺伝規定性が強い。

② 固執は、個人の行動を抑制させるパーソナリティ特性である。

③ 新奇性追求の特性が高い人は、衝動的な行動を起こしやすい。

④ 性格は、他者志向、協調及び自己超越の3次元から構成されている。

⑤ 損害回避の特性が高い人は、他者評価によって行動を維持しやすい。
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正解、 ①と③です。
クロニンジャーの「気質‐性格理論」の概要の理解がポイントです。
クロニンジャーは、パーソナリティを「気質」と「性格」の2つから構成されると考えました。

気質とは、遺伝性で、幼児期から顕われ、物事を認知したり習慣を形成する際に、本人の思考とは無関係に影響を与えるものとされています。

気質には以下の4つをクロニンジャーは規定しています。

新奇性探求:行動の活性化と関わる。新しいものに向かっていきやすい傾向のこと。高い場合は衝動的・興奮しやすい・浪費家である等の傾向があり、低い場合には慎重・倹約・現状維持などが特徴として示されている。ドーパミンと関連があるとクロニンジャーは考えました。

損害回避:行動の抑制に関わる。高い場合は、用心深い・予期不安・疲れやすい等の傾向が、低い場合には、危険を顧みない・挑戦的などの特徴が示されている。セロトニンと関連があるとクロニンジャーは考えました。

報酬依存:社会的関係の構築の維持や持続と関わる。高い人は情にもろい・賞賛に依存する等の傾向が、低い人は社会的関係に無関心といった特徴が示されている。ノルエピネフリンと関連があるとクロニンジャーは考えました。

固執:その名の通り、行動の固執に関わる。高い場合は粘り強い・勤勉とされているが、低い場合は飽きやすい・怠惰などの特徴となる。
クロニンジャーは気質の組み合わせによってパーソナリティを記述できると考えました。

例えば、新奇探求性が高く、損害回避が低く、報酬依存も低い人は、ちょっとした刺激があるとそちらに走っていき、ブレーキがかからず、人にも関心がないので助言も耳に入らず、危ない目に遭うかもしれないし、あるいは、そうした傾向によって思わぬ成功を得るかもしれません。

このような人のことを「冒険家」と呼んでいますが、このように、組み合わせによって8つのタイプが記述できるとクロニンジャーの理論では考えられています。

ただし、クロニンジャーは、パーソナリティは上記の気質だけでは記述できず、本人の意思や環境などさまざまな要因によって変容するものとし、性格の次元を加えました。

性格には、以下の3つをクロニンジャーは規定しています。

自己志向性:個人が選択した目的や価値観に従って、状況に合う行動を調節する能力のこと。高い場合は責任感がある、行動選択及び実行の傾向が強く、低い場合は目的の欠如や非難が多い等の傾向が示されている。

協調:他者受容に関する能力のこと。高い場合は共感的で寛容であるとされ、低い場合は利己的で狭量な傾向が示されている。

自己超越:全てのものは全体の一部であるという意識状態と関連し、宇宙とのつながりを感じるような側面を含む。高い場合は観念的・理想主義・想像力豊かとされ、低い場合は現実的・自意識過剰な傾向が示されている。
そして、性格においても8つのタイプを想定しています。
クロニンジャーは、気質と性格が相互に影響し合ってパーソナリティが形成されると考えました。

気質によりある性格が顕現しにくいなど、パーソナリティは遺伝的に規定される面もありますが、その後の発達過程で、どのような環境でどのような経験をするかによって気質も調節されるということは大切な点です。

例えば、自分が少し刺激に向かっていきやすい気質であると自覚することで、行動を適切にコントロールすることも可能になる等、自分を知り、いかに振る舞うかなどを考える上で、クロニンジャー理論は多くの示唆を与えてくれるものといえます。

上記を踏まえると、①の「気質次元の特性は、遺伝規定性が強い」と、③の「新奇性追求の特性が高い人は、衝動的な行動を起こしやすい」については、そのまま正しい内容となっています。よって、①と③が正解と考えられます。

引用URL:https://public-psychologist.systems/05-感情及び人格/公認心理師%E3%80%802023-55/

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