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過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問86

みなさん、こんにちは。

公認心理師受験生Kidです。

さて、掲題の通り、問86です。

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問86
文や文章の認知処理におけるスキーマの活性化に関連する用語として、最も適切なものを1つ選べ。
① 韻律情報
② 共同注意
③ 照応解決
④ 心的辞書
⑤ 物語文法

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正解、 ⑤です。

⑤ 物語文法

小説、新聞記事、教科書など、まとまった文章を読んで理解するには、語句の意味と語句の意味を理解するための常識的な知識、文法的な知識とともに、文章構造や文章の展開に関する知識が必要不可欠です。

例えば、学校教育の中で教えられるような「起承転結」「5W1H」「序論→本論→結論」といったものが文章構造や文章の展開に該当します。

認知心理学では、そういった「文章の構造」「物語の展開」に関する知識を「文章スキーマ」「物語文法」と呼び、そうした知識が文章の理解を支えていると考えます。

私たちが文章を理解するときに「何の話であるか」というテーマを認識しながら読み進めており、テーマに関するスキーマ的な知識(物事を理解するための「枠組み」となる知識のまとまり)を活用しながら文章の理解を行っているのです。

こうした物語の展開構造に関するスキーマのことを「物語文法」と呼び、1970年代後半に複数の認知心理学者によって提案されました。

物語文章を構成する要素間のつながりを記述するための文法であり、文章の典型的な構造を意味しています。

提案内容は研究者により異なりますが、いずれも物語がどのような要素で構成され、各要素がどのような下位要素から構成されるかを、ある種の規則として記述しています。

Thorndykeの提案した物語文法は10個の規則として定式化されていますが、例えば、規則1(物語→設定+テーマ+筋立て+解決)では、物語が4つの要素から構成されていることが示されています。

規則2(設定→登場人物+場所+時間)では、規則1の要素の1つである「設定」の部分が、3つの下位要素から構成されていることを示しています。

このような規則を用いることで、物語は階層的な木構造として表現できます。

ソーンダイクは、物語理解においては読み手の心内にそのような表象が構築されると仮定して、理解や記憶などの課題遂行結果を予測し、物語文法の心理的妥当性を主張しました。

しかしながら、テキストから構造への解析手続きが明確でないことや、極めて限られた物語にしか適用できないことが問題点として指摘されました。

例えば、子どもの頃に聞いたり読んだりした「物語・昔話・おとぎ話」は、多くが同じ「構造」をしていて、構造が同じであるが故に言語能力が未発達な子どもであっても、安心して、かつワクワクしながら、物語が楽しめるのです。

他にも、サスペンスドラマなどの状況設定や悪役・犯人役として登場人物は、毎回異なるものの展開は「ワン・パターン」であることが多く、ある種「安心して」かつ「気楽に」物語を楽しむことができます。

そして、私たちは、見聞きした物語の「細部」ではなく、繰り返し体験する大筋や展開(スキーマ)としての物語展開を覚える傾向にあるということであり、この構造を定式化したのが「物語文法」といえるわけですね。

このようなことを踏まえると、本問の「文や文章の認知処理におけるスキーマの活性化に関連する用語」として物語文法が合致することがわかると思います。

以上より、選択肢⑤が適切と判断できます。

引用URL:https://public-psychologist.systems/03-知覚及び認知/公認心理師%E3%80%802023-86/

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