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松橋萌の欧州散歩伝2024其の47(Museum Insel Hombroich)

掃除会の予定が、朝8:30に無くなったと告げられる。早起きしたのに…しかも晴れているのに何故…と思い、晴れていますが明日なんですね?とメールを送った。しかし、決意は固く、きっとサッカーを観て夜更かしでもしたのだろう。

デュッセルドルフではよく予定が消えたり変更したり、急に予定が入ったりしがちだ。

晴れているため、急な遠出だが、ノイスの森の中にある美術館へ行くことにした。ルイさんがとても気に入っているそうだから。

乗り換えの苦労が多い。iPhoneのマップで位置情報を確認して行ったり来たりする。表示されるルートのバスが来ないので、方向の同じ来たバスに乗り、通り過ぎたり向きが変わったら降りる。行き過ぎたら逆方向のバスに乗る。教会の近くで家族とバスを待つ。引き返して、あともう少しだった。

もう一度バスを待つ。女性もバスを待っている。私達はほんの少しだけ互いの顔をさぐって、見合って、無言でバスを待った。この辺りのバスのあと1分は3分くらいだったりする。だから私達は20分くらいは待ったと思う。そして、ようやくバスが見えた。しかし、バスは私たちを置いてそのまま通り過ぎた。待って!という感じで追いかけたが、無力、そして女性はそんな私の様子を見て、“はぁ!?”みたいな顔になった。私は電光掲示板を見て、多分あれです、みたいなフリをした。女性は“なんで私たちを置いて行った!?”みたいなことを言い、長い腹立ちを述べ、最後に“シット!!”と言った。少し下を向いて独り言のようでもあったが、“I think so.”と私は言った。すると女性はずんずん歩き出した。iPhoneの方向はそちらを指し示していたので私も後をついて行った。

どこまで行くんだろう?と思ったが、女性はそんなに長くは歩かなかった。彼女は👍サインを出した。ヒッチハイク!私もマネをしてみる。

しかし、車は止まらない。あなたはどこに行くの?と聞かれ、美術館だと言った。また👍サイン。すると、少し風変わりなタクシーのようでタクシーでないような車が止まった。何かのロゴと、車の上にちょこんと乗っている。普通の車ではない。私はそれに乗ることにした。しかし、こっそりと車のナンバーを撮ったりしておいた。そして彼女は、バスが私達を置いて行ったの…その理由はわからないなどと運転手に伝えた。運転手はそれはひどいね、みたいなことを多分言った。そして、私に“私の後にあなたの目的地に行く”“ok….”と弱々しい返事をすると“わかった?”大丈夫?という感じで女性は私を見た。

そして女性は比較的大きな駅の辺りで降りた。彼女の日常生活を感じた。彼女がお金を払わなかったので、私は財布に覚悟をした。

運転手は、君は旅なのかい?とだけ明るく質問した。yes

会話はなかった。美術館は二つあるんだ、どっち?と聞かれたので左に曲がってもらった。そして到着。どきどきしていたが、お金は払わないでなぜか済んだ。

美術館に着いて、入り口のところですぐにおじさんが、“この柄いいよね”と声をかけてきた。そうだね

この辺りの美術館は、美大生に優しい傾向があり、日本から!ようこそ〜みたいな感じでチケットを貰った。

森の中を探検している内にギャラリースペースと出会うことができる。この部屋の床は日焼けをしていた。草むらには沢山の虫がいて、一つの花に色んな種類の虫たちが蜜を吸いに来ている。なめくじが初めて綺麗だと思った。写真には映らない、オレンジ色のナメクジ。晴れた空の下を彼らも歩くことができた。

これが筆談会のおにぎりのアイデアの元ネタか…と思ったのがドネーション式のカフェの存在。さほど高くはないチケットの内に食事代も含まれていて、パンやバター、ポテト、ピクルス…といったものを食べた。リンゴは一つ持ち帰った。

ツノの生えた動物がこちらに寄ってくる。食べ物欲しいだけなんだろうけど、人間を警戒しないのは人から大切に育ててもらっているからだろう。その動物が私の手や顔を舐める。私もその動物の顔を手で包んでみたりした。久しぶりに動物にこんなに近くに触れられた。顔が大きくて、近かった。


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