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藤原ちからの欧州滞在記2024 Day 39

火曜日。うん、だいぶ元気回復。寝れば大抵のことは治る、というのがわたしの最大の美徳なのだった……。
 
朝はAsia-Europe Cultural Diplomacy Labのオンラインミーティング最終回。スペインのバリャドリードにある文化機関の人のプレゼンがあって、気になったので挙手ボタンを使って「言語」についての質問をする。よくぞ聞いてくれた、みたいに真摯に答えてくださって、多文化国家スペインに今いるという前提を共有しているせいか、同じ世界線の中に含まれている感じがする。
  
3人で作戦会議をしたあと、実里さんとわたしは重点地区をひたすらシューティング。これで大体、テストプレイ用のルートは固められたんじゃないかと思う。前にこの日記にも書いた「共生」を感じるバルで、少し英語が話せる人がわたしたちの相手をしてくれて、この店で開催されている抽選会の話などを聞く。彼は腕に障害があるけど、このお店で過ごすことには完全に慣れている様子。握手をして別れる。
 
家でシエスタしたあと、近所の小さな広場で開催される音楽とダンスのイベントへ。多様性をテーマにしていて、ラテンアメリカやアフリカの民族舞踊などが次々と披露される。お客さんも優しい人が多くて、今のはなんていう歌ですか、とかの質問にも親切に答えてくれる。白い布を手渡された観客が舞台に出て踊る演目では、萌さんが自然とスッと前へ出て踊り始める。彼女の身体感覚もだいぶ変わってきた。 
 
バスク語でシリミリと呼ばれる、この地方独特の小雨が降ってくる。寒さをしのぐために裏通りのバルに行くと、いつもこのあたりのバルを飲み歩いているおっちゃんたちと出くわす。毎日のようにどこかのバルや路上で会うから、英語とかまったく通じないけどアミーゴ扱いしてくれて嬉しい。それにしてもけっこう寒い。実里さんと萌さんと3人で明日はラーメンでも食べにいこうか、と約束してお店の予約もして、だから今夜は家で静かにスープをつくって食べることに。3人での滞在制作/共同生活は、これまでの2人だけの状態とはバランスも当然違うしいろいろ大変なこともあるけど(数年後に笑って話せますように)、今のところわりとうまくやれているんじゃないかな……。もちろん初めてのことだらけの萌さんがいちばん大変だろうけど、今回の滞在で何かつかんでくれたらと思う。できたら今後もずっと一緒にやれたら嬉しいけど、人間関係において永遠というのはほとんど不可能に近いくらい難しいということは思い知ってもいる。実里さん自家製のミントティーをみんなで飲んで眠る。良い夢が見れそう。

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