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藤原ちからの欧州滞在記2024 Day 83

木曜日。朝、マリーナが仲介してくれて、翻訳者の方々おふたり、ミリアムさんとイェリーナさんと、それぞれミーティング。今回は英語からスペイン語に、そしてスペイン語からバスク語に翻訳するのだけれど、わたしたちが書いたりきっちり読んだりできるのは日本語と英語だけだから、いわゆる孫訳ということになるため、翻訳者の方々に『演劇クエスト』のことを直接会って説明しておきたかった。ちなみに孫訳という言葉、今ググってみたらほとんど出てこなくて、実在する言葉かどうか心配になる……。
 
『演劇クエスト』ビルバオ版のdossierを作成するための写真を何枚か、Azkuna Zentroa周辺で撮る。そのまま、テクストをどこかで描きたくなり、カスコ・ビエホ(旧市街)のフェミニズム・カフェへ。そこで軽い昼食とカーニャを一杯いただきながら、ごりごり書く。なんとなく書き出しは悪くない感じがする。
 
いったん宿に戻ってから、ガンビア・バーで仕立て屋のアリ君と会う。ここのマスターの名前もアリさんで、マスターのアリはわたしと実里さんを見て、おー来たか来たか、友だちが待ってるよ、と奥の席にいたアリ君を呼んできてくれた。アリ君はやはりガンビアの出身で、7日間かけて海を船で渡り、ある島に到達。そこから飛行機でスペインに渡り、紆余曲折あって(その話は聞いたけど、ここには書かない)ここビルバオにたどり着いたのだという。年齢を初めて知って驚く。なんとまだ17歳……。彼は律儀にお茶を飲んでいる。というか、お酒には興味がなさそうだ。ちょうどいつもの3人組がやってきて、わたしたちは一ヶ月ぶりに会うから、抱擁。そしてアリ君を紹介する。アリ君はスペイン語を勉強中とのことで、まだ十分に話せるわけではないけど、彼らが言ってることをある程度理解しているようだ。ちなみに3人組は、この店のベイビーをめっちゃ可愛がっている。この店は黒人系の人たちが圧倒的に多くて、白人系のお客は他の店に比べるとかなり少ないけど、3人組はまったく意に介してないようだ。
 
お店を出て、隣のバルに移動して、マッシュルームのピンチョスを食べる。ここのは安くて美味しい。広場でラミー(カードゲーム)を久しぶりに見学。なるほど、麻雀っぽいんだな、というのは少しわかる。ゲームがひとくぎりついたところで、実里さんと分かれて散歩に出る。裏通りで何やら事件が発生したらしく、破損した車があり、警官たちがたくさん来ている。何があったのか、見物人に聞いてもよくわからない。しばらくサバラ地区のあたりを散歩してから、再度実里さんと合流して、カスコ・ビエホ方面へ。川沿いのバルに入ってみると、何人かと話が始まる。どうやらここでは「木曜会」が開かれていて、毎週木曜にカウチ・サーフィンの仲間が集っているらしい。そのメンバーと一緒にアリアーガ広場で23時から開かれている野外パフォーマンスを観て、そのままサン・フランシスコに流れて、エヴァの店へ。日本語が結構喋れるダグラスさんにご馳走になってしまった。彼らのうち何人かは、今度のトライアルウォークにも参加してくれそう。

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