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藤原ちからの欧州滞在記2024 Day 45

月曜日。正直睡眠は足りてない。チェックアウト前に朝食会場で手短な食事をしていたらステファンも合流。一緒にバスで駅まで行き、そこで別れる。次に会えるのは秋冬の日本かしら……。このユトレヒト駅はオランダの交通網のハブになっているらしく、ここでプロジェクトをやれる可能性もあるとGrzegorzさんから聞いていたので、少し調査してから空港行きの電車に乗る。
 
乗り換えのオスロ空港では、物価の高さを痛感する。ユトレヒトもかなり高かったから、慣れてないわけじゃないけど、すでにビルバオが懐かしい。このあとお世話になるダンサーの濱田洋平さんから、酒税の関係でオスロ空港でお酒を買うのがオススメと聞いたけど、疲労蓄積のせいか扁桃腺を腫らしてしまったわたしは今日はお酒を飲む気分にはまったくなれず、でも北欧名産のアクアヴィットには興味があり、店員さんにいろいろ聞いてみる。むしろ実里さんのほうがこの高濃度アルコールのお酒には興味があるらしく、2種類買って試したいというので、まさかの2本買うことに。


Bodø(ボーデ、ボードーなどいろんな呼び方があってどれがいいのかまだわからない)の空港で荷物のピックアップをしながら、予定通りベルリンに向かっている萌さんからの連絡を受け取る。予定通り、といってもやはりさすがドイツの鉄道、安定の振替便になったらしく、いろんな複数の人に声をかけて、ちょうどベルリンまで行く同年代の女性の旅の仲間をふたり見つけたらしい。よかった……。話を聞くかぎりたぶん大丈夫そうではあるものの、念のためセルフィーを撮らしてもらうとより安心だよというTipsを、わたしが言うとまた口うるさくてしんどいかもしれないから、実里さんから伝えてもらう。
 
濱ちゃんこと濱田陽平さんのおうちにようやく到着。わたしはもう倒れる寸前みたいな状態。少し横にならせてもらって、美味しいカレーをご馳走になる。さっそく取材は開始。欧州に長く住んでいる日本人に話を聞くシリーズで、この北の果ての世界に住む彼に会いにきたかったのだった。仮眠してから、濱ちゃんと実里さんと山へ登る。濱ちゃん、と呼んでいるけどそれは長い付き合いの実里さんがそう呼んでいるからで、わたしはまだ数えるほどしか濱ちゃんとは会ったことがない。

ちょうど登っているところで萌さんから電話。暗い夜道を歩く時などは電話していいよ、というTipsをさっそく実践してくれている。わたしはまだ彼女の特性をよく理解できてなくて、聞いてるのか聞いてないのかわからないような時につい不安になってしまっていたけど、今後はもっと彼女のことを信じたいと思う。もしかしたら、強くなるとかいうことよりも、弱さを分かち合うことで生きていける、と考える方が、わたしたちにはしっくりくるのかもしれない。

ちょうどわたしと実里さんが山頂に到達した瞬間に、萌さんはベルリンの宿に到達。景色は違うけど、きっとどちらも新しい世界であるはずだった。わたしたちが見ているMidnight Sunというそれは、沈まぬ太陽のことだった。濱ちゃんが、白夜というよりはピンク色なんだよね、というそれは、なるほどたしかにそうで、しかし実際のところ、白とかピンクとかの言葉や概念では形容しきれない何かでもあった。

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