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松橋萌の欧州散歩伝2024其の28

朝起きて、DBの49€チケットを買おうとするけれど、ずっとうまくいかない。こういう作業がどうして人よりできないのか、それは昔からのことだが、本当にわからなかった。12時になってしまった。部屋の間取りを体に染み込ませるようにぐるぐると部屋を行ったり来たりしていた。

3€

音楽が鳴る方へ歩いていくと、フリーマーケットに遭遇した。そこで、謎の食べ物をオーダーする。ピーマンの中にチキンライスを詰めたものだ。ピーマンの肉詰めみたい。米もしっかり煮込まれているのがドイツ風なのかもしれない。食べていると、"それはあったかい?"と心配してくれる人がいた。

あきこさんから助言があったため、スーパーマーケットで買い物したところ、16€だった。ベルリンよりもサクランボの値段が高い。

気が進まないながらも日本デーの会場を目指して歩いて行った。

路上に

ある演説は、アップルストアの前で行われていた。同い年くらいの女の子が私と同じように端っこに座っていた。その子は時折広角を上げていた。それで思い出すのだが、私は今朝鏡の中に映る自分の笑顔が変化していることに気づいた。恐らくヨーロッパに来てから微笑まれることが増えたため、微笑み返したり、微笑み掛けたりし続けた。そのため顔の筋肉が変化している。ショーウインドウに向かって何回も笑顔をたしかめた。

人酔いする。ボディポジティブを感じる。コスプレをすることで誰でも主役だ。写真を撮られて嬉しそうにしている。もしかしたらいつもは家の中にいる人も、イベントで外に出られる機会になっているかもしれないと、人々の姿を見て思った。大きな音楽を勝手に鳴らして踊ったり、日本ではあまりもう見なくなったフリーハグをするために列ができていたり。カフェに入ってみると、パン屋には充電スポットがあった。しかもケーキは安くて美味しかった。

ファストフード

あまりに人がいて、あまりイベント会場付近にはいることはできなかった。日本語の歌を、皆んながぞろっと集まって聞いていた。ライン川がポイントであると、昨日聞いたので、その向こうに渡ってみるなどした。見た目からして、向こう側は緑の芝で、こちら側は道路。

戻ってきてから、良さそうな場所があった。トイレは綺麗で、日本語・ドイツ語で話している。Danke schönと言うと、会場は少し沸き、海外歌手がありがとうと言った時のそれを感じた。二つの橋で、いる人の層が違った。でもそれは、時間帯の関係もあるかもしれない。もの凄く長い時間歩いていた。ここではじめて旅に来て、靴も持ち物もズボンも泥にまみれてしまった。雨宿りしている時にしゃがんだら、犬と同じ目線になった。そのフレンチブルドッグの尻尾はカットされていたかどうか…フリマで見かけた犬の尻尾はカットされていた。そのやりとりを、男の子が見ていて、その子はにっこりしたりした。犬はそおっと私に近づき、そして涎を服に付けた。

graciasという言葉で買えたおいしい食べ物を食べた。相席した子達が私に、deliciousと少しだけ話しかけた。夜になるとどんどんその場所に居場所がなくなっていく。花壇に座ってみたりした。結局美術館の側に匿われた。どこへ行っても煙草の煙からは逃げられなかった。言葉の話せないフリと、言葉が話せている振る舞いの双方をした。

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