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俺は変われるのか【舌癌編】18

退院の日を迎えた。

覚悟の入院であったが、どうやら生き延びたようだ。

この入院期間には色々あった。

台風の直撃で近隣の河川が氾濫したり、死ぬかもしれないと思ったので生き別れた父親と35年ぶりに再会したり…など

治療が奏効したにも関わらず、いざ退院となると何故か少し寂しい。
生き延びたから故に感じる寂しさではあるが、この妙な寂しさの由来は、私の人生の中でも濃密な2ヶ月間だったからなのだろう。

さて、退院を迎えたというのに、私と言えばこれから入院する患者のような状況だ。

体重は大幅に落ちで痩せ細り、口腔内は粘膜炎で酷い状況、腫瘍跡の壊死部は酷い痛み。

特に壊死部に関しては、体内の浸透圧の関係で喉が渇いても水が飲めない。
もう少し詳しく言えば、水は飲もうと思えば飲めるのだが、その浸透圧の関係で壊死部に水が当たると激痛なのだ。

その事を主治医に話したら「生理食塩水」を処方された。
この生理食塩水なら体内の浸透圧と同じ位らしく、飲んでも痛みはあまり無いとの事。

試しに飲んでみた。

ひたすらしょっぱくて、浸透圧が同じとか激痛の回避などという、今私の中心にある難題とは全く別次元に難題が発生してしまった。

今後、この生理食塩水を飲み続ける事はないだろう。

なので、仕方なく激痛ワンセットの水分摂取を暫く続ける事になった。

そんなこんなで、久々に自宅へ戻る。

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