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アイホール レクチャー&ワークショップ「演劇のチラシができるまで~アイディアを掘り起こすコミュニケーション~」をやった話

2022年から、演劇の宣伝美術に関するワークショップの企画を行っている。

学生を対象に開催した2022年の第一回、ニットキャップシアターの俳優・制作をされていた高原綾子さんをゲストに迎えた2023年の第二回に続き、今年はアイホール(伊丹市立演劇ホール)の主催事業として開催させていただくことになった。

タイトル「演劇のチラシができるまで~アイディアを掘り起こすコミュニケーション~」
開催日 2024年6月22日(土)
会場 アイホール(伊丹市立演劇ホール)
対象 演劇やイベントの宣伝美術や制作に携わる方、または興味のある方
参加費 3,000円

山口良太(slowcamp)
講師。関西小劇場を中心に活動するグラフィックデザイナー。
大川諒平(㐧2劇場)
ファシリテーターであり、このワークショップを企画した人。
この記事を書いている人でもある。
サリngROCK(突劇金魚)
ゲスト。突劇金魚で劇作家・演出家を務める。

なお、今回のワークショップの模様はいたみ文化・スポーツ財団のブログでも公開されている。併せてぜひご覧いただきたい。

ワークショップの様子

10:00 開始

オープニングの様子。会場になったのはアイホールのカルチャールームA。普段は稽古場や講演会場、会議室として用いられている。

今回の参加者は25名。予めこちらで設定した5つのチームに分かれ、輪になって座ってもらう。
このワークショップでは毎回、最初に自分たちのチーム名を決めてもらっている。それぞれの輪の中で自己紹介をし、お互いの共通点を基にするなどしてチーム名を考える。初めましての参加者どうしでこれからの時間、デザインについて忌憚なく対話し、5人で一つのアイデアをまとめてもらうためのアイスブレイクだ。
各チームの名前が決まると、いよいよ本題に移っていく。

10:30 イントロダクション

まずは今回のゲスト・サリngROCKさんと突劇金魚についておさらいする。

突劇金魚とは
関西学院大学の演劇サークルに所属していたサリngROCKを中心に2002年に旗揚げ。その後、2007年に山田蟲男が参加。
“現代を生きることで感じる、不安や憤り”を作品の下敷きに、ストーリー性と身体性豊かな作品を生み出す。これまでに第15回OMS戯曲賞、第9回AAF戯曲賞最優秀賞などを受賞。

ステージナタリーより

これまで数々の場で賞を獲得している突劇金魚。関西で小劇場と呼ばれる建物に出入りする習慣があれば、一度は名前を聞いたことがあるという方も少なくないだろう。
現在の突劇金魚はサリngROCKさんと山田蟲男さんの2人体制。公演の多くでサリngさんが脚本・演出を、山田さんが俳優・プロデューサーを務める形態が見られる。サリngさんの紡ぐ悲哀の中にも人の温かさを覗かせる物語、山田さんの力強さの中に人の弱さを映し出す怪演は、多くの観客の心を掴んで離さない。
突劇金魚はその作風もさる事ながら、チラシにも一つの個性が見て取れる。現在の突劇金魚の公演チラシは、そのほぼすべてがサリngさん直筆のイラストで全面構成されているのが特徴だ。それぞれの作品に合わせて絵のタッチにも変化は見られるが、他劇団のチラシと並んでも「突劇金魚の公演だ」とすぐにピンとくるのは、劇団としてのこれまでの積み重ねから成るものに他ならない。ある意味で、既にブランディングが確立されているとも言える。

会場には近年の上演作を中心に、過去の突劇金魚の公演チラシも展示された。

10:45 デモンストレーション

ワークショップの前半では、デモンストレーションの見学を行う。山口さんが突劇金魚の公演でチラシを手掛けるという設定で、“架空の公演の打ち合わせ”を参加者の前で実施する。デザインにおいて、山口さんがどのような視点を持って臨んでいるのかを実際に見てもらう時間だ。
サリngさんからお題として提示されたのは、自身が脚本を手掛けた作品『少年はニワトリと夢を見る』だ。

『少年はニワトリと夢を見る』
海辺の街で少年時代を過ごした村上くんとユキオ。二人は親友で、二人とも小説家を目指して、小説を書いては見せ合っていた。
村上くんの18歳の誕生日。村上くんは、ある男と母親を殺して、家を放火した。その罪で牢獄に入ることになった。
牢獄の中で村上くんは小説を書き続ける。
大学生になったユキオは村上くんを訪ねてくる。かっこいい友達ができたこと、いい大学に入ったことを村上くんに褒めてもらいたくて。しかし村上くんはユキオの現状に興味もなさそうで、小説を書けと言う。
数年後、ユキオが村上くんを訪ねてくる。会社を興して大金を稼ぐようになったことを村上くんに褒めてもらいたくて。しかし村上くんはユキオの現状を馬鹿にした上で、そんなことより小説を書けと言う。
牢獄の外でさまざまな人生を経験するユキオは、少年時代に村上くんに助けられた経験があり、村上くんに褒めてもらいたいとずっと思っている。それで、どうしても、村上くんから離れることができない。
牢獄に入って、ずっと小説を書き続ける村上くんは、ユキオが中学1年生の時に宿題で書いた「ニワトリと少年」という作文に衝撃を受けて小説を書き始めた。実家で飼うニワトリの匂いが服に染み付いていることでからかわれていたような弱々しいユキオ。そんなユキオに与えられた衝撃。あの衝撃を自分がユキオに与えなければならないと思い込んでいる村上くん。牢獄の中でひたすら小説を書いては、ユキオの幻想であるニワトリに追い込まれ、苦しめられる。
二人は互いに認められたくて、別々の場所で生きる。
そして40歳になった二人。久しぶりに面会に現れたユキオは、自分の書いた小説が出版されることになった、と報告する。村上くんの死刑はもうすぐそこに迫っていた。

2012年度若手演出家コンクールで優秀賞を受賞した『絶対の村上くん』を、長編に改訂するかたちで生まれたのがこの作品。同じ夢を志しながらも、流れる時間と止まった時間に分かたれた2人を軸に物語は進行する。
初演は2017年、かつて河内永和に構えられていた突劇金魚のアトリエにて行われた。2023年には扇町ミュージアムキューブのオープニングラインナップとしてロングラン公演も行われており、直近で観たという方もいるだろう。かく言う私も、このタイミングで初めてこの作品を拝見した。洞窟に様相を変えたギャラリースペース・CUBE05の広さは約33.8m²。濃密な空間を二人芝居の緊迫感が包み込み、その迫力は何倍にも増して感じられた。

山田さん演じる「村上くん」の意識下に姿を現す「ニワトリ頭」。「ユキオ」役のキャストが兼ね役で演じており、2023年のロングラン公演では回ごとに複数の俳優さんによる演技を楽しめた。

「架空の公演なのでどんな企画内容でも構わない」という我々の事前のオーダーに対し、当日サリngさんが提案してきたのは「アトリエの復活」という設定だ。
2014年の初のアトリエ公演『穴の宇宙』以降、突劇金魚の創作拠点として多くの観客を迎え入れてきたアトリエは、立ち退き要請を理由に2020年、惜しまれつつもその役目を終えた。そんなアトリエがもしも今復活したとしたら、その再オープン企画の第一弾として『少年はニワトリと夢を見る』を上演したいというのが今回の公演内容だ。

山口さんはこの作品自体についても掘り下げつつ、自身も観劇した昨年末のGFT(Gold Fish Theatre:突劇金魚による出演者公募企画)公演『墓場のオサムと機嫌のいい幽霊2』についても話題を広げる。
ちなみにこの作品には私、大川も出演していた。DVDも販売中のため、興味のある方はぜひ手に取っていただきたい。

『墓場のオサムと機嫌のいい幽霊2』の舞台の特徴といえば、中心に据えられた回転する小屋の存在だ。山田さん演じる主人公・オサムが住み着いているこの小屋は、360°回転することで内観、外観の双方を見せることのできる構造になっている。キャストが代わる代わるでこの小屋を回転させていたことは、演者としてよく記憶に残っている。
どちらの作品も、小さく狭い空間を印象づけながら物語が動いていく。太陽の日差しが燦然と届く開けた場所よりも、夜間や閉じた場所から生まれる内省的な世界観のほうが、自身の創作の舞台として好みだとサリngさんは話す。
そしてどちらの主人公も、傍目から見れば“かわいそうな存在”とも言えるだろう。追い詰められた末に家族を殺し、家に火をつけ、檻の中で小説と向き合うことしかできない村上くん。生まれ持った容姿の醜悪さ故、美しさに拘る母親に幼くして墓場に捨てられたオサム。2人を恵まれた満ち足りた存在だと羨む観客はいないかもしれないが、「その世界は本人にとって本当に悲惨なものか?」という問いかけも、作品には込められている。サリngさんは演出として、彼らを故意に悲惨な存在だと示さないようにしていると話した。一見すると救いようのないような世界で幸せを抱く人の姿は、その光と影を一層強固に、鮮烈に描き出す可能性を秘めているのだろう。

山口さんのヒアリングは続き、突劇金魚の観客層についての話に移る。ここで意外にも重要なポイントとして浮かび上がってきたのが、山田蟲男さんの“プロデューサー”としての側面だ。
20年以上にわたって活動してきた突劇金魚だからこそ、現在まで応援を続けてくれるコアなファンも少なくない。そうした方々を大切にする一方、劇団として新たに出会ってくれる人を迎え入れていく間口を広げることも大切だ。
現在の突劇金魚では、通常公演のほかに先述のGFTや、中崎町のACT cafe(旧common cafe)にて開催中の朗読Barといった企画も行っている。未経験からでも舞台に立てる機会創出や、公演よりも気軽に“本番”を持てる仕組みづくりによって、突劇金魚はこれまで多くの人々と縁を繋いできた。かく言う私もそのうちの一人。2019年に朗読Barの出演者募集に応募し、今日までその場に関わらせてもらったことがきっかけで、昨年GFTに出演する機会を頂く運びになった。
これらの場づくりに尽力してきたのが、プロデューサーとしての山田さんだ。若い人、新たな人を巻き込む出会いの場を積極的に作り出していくことは、劇団としての鮮度を保ちつづけ、新規のファンを獲得していく ことでもある。事実GFTでは、突劇金魚が旗揚げした20年前にはまだ生まれていない世代も応募者、出演者として並んで舞台に立っているのだ。
その上でサリngさんはこの架空の公演を「アトリエお披露目の場にしたい」と話した。これまでのファンと、新たに出会った人々にアトリエならではの客席と俳優の近さを久々に、あるいは初めて感じてもらう。作品の持つ緊迫感を、地の利と演出で何倍にも膨らませ、まさに「突劇金魚オブ突劇金魚」な鑑賞体験をしてもらえることがサリngさんの願いだ。

ホワイトボードにメモをとりつつ、サリngさんの話を聞いていく山口さん。過去の公演写真なども見ながら、演出意図や公演の企画性に迫っていく。

ここまで話を聞く中で山口さんが提案したのは、実際のアトリエの写真とサリngさんのイラストを融合させるというデザインだ。

山口さんがホワイトボードに描いたデザインラフ。

今回キーポイントになってくるのはアトリエの存在。実際の上演空間であるアトリエをビジュアルに用いることで、どんな空間で観劇するのか、そこにどんな体験が待っているのか、見る人の想像を膨らませる。
さらにその空間に、サリngさん直筆のイラストパネルを付け加える。

過去の『少年はニワトリと夢を見る』のチラシ。左が2017年、右が2023年のもの。

過去2回の上演とも、チラシのビジュアルイメージは鎖で繋がれた少年とニワトリ頭が向かい合う構図になっている。そして頭上から伸びる死神の手。このビジュアルを従来通りサリngさんのイラストで踏襲することで、これまでの突劇金魚としてのイメージを崩さず、実写と掛け合わせることでリニューアルオープンしたアトリエの新鮮味が伝わる。元ある構図を活かすことで、往年のファンは「あの作品が帰ってきた」と期待感が高まるだろう。パネルを会場入り口などに設置しておけば、観劇にちょっとした撮影体験もプラスされるかもしれない。ビジュアル撮影の際は周囲を包む炎もプロジェクションマッピングで表現したい。と、デザインのアイデアを基にさらに公演企画への想像が膨らんでいる様子だった。

山口さんはいつも、最初のヒアリングを最も大切にすると言う。パソコンに向かって手を動かすこともデザイナーの仕事に他ならないが、山口さんが重要視しているのは、もっとその土台にある「どんなチラシが良いのか」について、相手と密にコミュニケーションをとることだ。
お客さんが良いと思えるデザインにすることは広告として必須だが、それと同じくらい、依頼者に満足してもらえるデザインにする必要があると山口さんは話す。とくに演劇の場においては、執筆中の脚本が完成していない段階からチラシを作りはじめることもある。そんなとき、クリエイションの初期段階に完成するチラシのビジュアルは、公演に関わる俳優やスタッフたちが「これからどんな世界をこの作品で作っていくか」の旗印にもなり得るのだ。

60分のヒアリングを経て、デザイン案が完成。参加者からは思わず拍手が上がった。
余談だが、普段突劇金魚のチラシにサリngさんが描きおろすイラストは、山田さんがプロデューサーとしてかなり詳細なオーダーをしているという話も聞くことができた。意外な裏話も、参加者の興味を惹いていたようだ。

山口さんの書き出したホワイトボードのメモ。

11:45 ヒアリング

デモンストレーションの見学を終え、ここからは参加者自身がデザインの制作に挑戦する時間になる。まずはサリngさん含む全員で円になって座り、次のお題がどんな公演なのか、デザイナー役としてヒアリングしていく。
サリngさんから提示されたのは、次のような企画だ。

「海の底で」
『少年はニワトリと夢を見る』に続く、新アトリエのオープニング企画第2弾。サリngROCKの手掛けた5作の短編小説『くまと花』『最後の恐竜』『祝福』『春に、歌う魚』『二匹のツチノコ』を、朗読として上演する。本を読むのは、自身が被り物で扮する謎の存在「朗読魚」。普段は水中で暮らす朗読魚が、海の底で偶然拾った本を人前で読んでみたいと思い、陸に上がってアトリエまでやって来たのだ。

先ほどのお題に引き続き、新たなアトリエのリニューアルオープン企画。繰り返しになるが、あくまで架空の公演の話をしており、現在突劇金魚のアトリエのオープン予定は無いためご注意いただきたい。
予め配布されていた各小説のあらすじに目を通しつつ、参加者から質問を投げかけ、サリngさんとディスカッションを重ねていく。

  • Q. それぞれの作品にはどんなテーマが込められている?
    A. 孤独や人との繋がり、向いていることとやりたいことが違うとき人はどうすべきか? という問いかけなどが、複数の物語にテーマとして横断している。

  • Q. 魚をキャラクターとして選んだのはなぜ?
    A. “進化における初期の姿”として、生命の歴史の連なりを感じるから。朗読魚は「自分の言葉で話すのは苦手だが、人前で本を読むのは好き」という設定。上手に読みたい願望はあるが、作品に込められたメッセージまでは魚自身はあまり理解していない。

    • Q. この形式で公演をやろうと思ったのはどうして?
      A. サリngさん自身の俳優活動が本格化してきたのに合わせて、訓練の場を持ちたいという考えがあった。同時に「サリngROCKの脚本」を、公演よりもカジュアルな形で知ってもらいたい、サリngさんの名刺代わりのような場にしたいという意図もある。

ヒアリング後のホワイトボードのメモ。

13:30 デザイン案作成

休憩を挟み、午後からはチームに分かれてデザインのアイデアを考えていく。各チームに1枚ずつ用意された大きな模造紙に、そのチームとしてのアイデアを描きだしていく。
重要なのは、作業を効率よく進めることでも絵を細かに描き込むことでもない。このワークショップでは一貫して「コミュニケーション」をもっとも大切にしている。時間内に描ききれなかった箇所は口頭で説明してもらえれば良い。それよりも、自分はどんなアイデアが良いと思うか、他のメンバーはどのようなアイデアを持っているか、その理由は何か、自分たちのチームはどこにゴールを設定するか、限られた人数の中で密に対話をすることが大切だと考えている。
班によって進め方は様々。個人で一旦アイデアを作って発表しあうチーム、全員でゴールについてのディスカッションから始めるチーム、対話の方法はたくさんある。
山口さん、サリngさん、大川もチームを回りながら、対話の内容に耳を傾けたり、質問に回答したりしていた。

15:00 課題発表・講評

最後にチームそれぞれがアイデアを発表、山口さんとサリngさんから感想を貰う。

チーム「前のめりフライヤーズ」の作品。深海から光に上っていく朗読魚をビジュアルのメインに据えることで、サリngさんの表す物語性を象徴的に見せている。
チーム「おんたび」の作品。二つ折りの形式で、泡を模した穴から短編のタイトルが覗く仕組みになっている。ギミックを通して興味を持ってもらう手法だ。
チーム「NOT BE KOBE」の作品。アトリエの外観を映し、そこにサリngさんのイラストで朗読魚を重ねる。「どんな場所で観るのか」のイメージから鑑賞体験への期待を膨らませる。
チーム「あ゛お」の作品。朗読魚のキャラクター性をポップに活かし、初めての人でも気軽な気持ちで足を運んでもらえることが狙いだ。
チーム「アンチサマー」。“作・演・役 サリngROCK”をコントラストで目立たせつつ、それ以外の余白を広く取ることで孤独感を表現。朗読魚の視点から一緒に本を覗き込む構図も印象に残る。

まったく同じ企画でも、チームそれぞれで切り口もビジュアルの方向性もバラバラだ。しかしそれこそが、今日この場に集まってデザインについて考えた意義そのものなのではないかと思う。
当たり前の話だが、私たちは世の中に“存在する”チラシしか見ることはない。しかしこのように、5チームあったら5通りの、そして各チームの中でも様々なアイデアが上がってくる。どれも公演について向き合い考えた末に出てきたアイデアだが、公演についてデザインでどう伝えるか、それを探すためどのようにコミュニケーションをとるかは人の数だけ解がある。それこそが、他の誰かではなくあなたが“宣伝美術”を務める理由になっていくのではないかと思う。

山口さん、サリngさんから全体への講評を終え、ワークショップは終了した。二度にわたり自主企画として行ってきた取り組みを、今回アイホール主催という形で開催させていただけたことに感謝するばかりだ。参加いただいた方々にとって、何か得られるもののある時間であったことを願っている。

山口良太さん コメント
「誰かと一緒にものをつくる」ことが好きです。誰かと話せば、自分ひとりだと思いつかないようなアイデアが思いつくし、アイデアが広がるその瞬間こそが僕の仕事のおもしろさだと思っています。あと、みんなでテーブル囲んで絵を描いたり作ったりすることって単純に楽しいですよね。そんな文化祭の準備みたいなことを僕はずっとやっています。
今回のワークショップは、まさに文化祭でした。下は大学生から、上は70代(!)まで。いろんな年代や立場の方々が同じテーブルを囲んで、ああでもないこうでもないと意見を出し合って、模造紙の上でアイデアを形にしていく。その姿がみなさん楽しそうで、「誰かと一緒にものをつくる」ことが楽しめる場=文化祭は最高にクリエイティブなんだなあと思いました。
ご自身で演劇をしている方、舞台公演を企画するホールの事業担当者など「やる側」の方だけでなく、観劇や演劇のチラシ自体が好きという「観る側」の方も参加してくださったのが印象的でした。やる側も観る側も関係なく、つくるおもしろさに触れていただけたのなら嬉しいです。
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デザインのワークショップをやってみたいという方がいらっしゃいましたらお気軽にお声がけください。ご依頼お待ちしております。
お問合せ:山口良太 slowcamp@js.sub.jp

サリngROCKさん コメント
まずは、私の話した架空の公演の内容をすごく丁寧に真剣に聞いてくださりありがとうございました。各テーブルで、私の公演のことを真剣に考えて、発言して討論してくれている様子に感動しました。また、それぞれ個人で思うこと、やりたいことはバラバラであるはずなのに、グループでまとめて発表する、という難しいことが出来たことも感動しました。
「私一人で考えるなら、こういうチラシにする」という案もあったと思います。それを形にして個人で発表する、というワークショップもありえるかもしれません。
でも、グループ制作でグループ発表という形式をとるのはすごくいいと思いました。個人で完結すると、言葉で説明する必要があまりないので「なんとなくこんな雰囲気がかっこいいから」というようにぼんやりしたアイデアで終わってしまうかもしれませんが、どうしても言葉に出して「なにがかっこいい要素なのか、どうしてこうしたいのか」を語らなければならないとなると、言い方や伝え方に工夫をしますし、結果それが自分の考えをはっきりさせることにもなったと思います。
特に今回、良いチラシを作る要素として「伝える方向を決める」というところを意識するのが重要だったので、まずは同じグループのメンバーに、自分が大事だと思う要素をハッキリ提示しなければいけない環境はとても大切だったと思いました。
そして、そのアイデアの出し合いのときにいかに言葉を尽くしたか、が結果的に「良いチラシ」につながったんじゃないでしょうか。山口さんのデモンストレーションもその例だったんだと思います。いかに言葉を尽くして、依頼者に話をさせるか。デザイナーのアイデアを想像させるためにいかに言葉を尽くして話すか。その部分の山口さんの実践を見せていただいたんだと思います。
誰かと何かを作るということにおいて、「対話」が大事だということを改めて認識させられました。そして、受講生の方々とそのあと喋らせてもらったり雑談させてもらって、楽しい時間を過ごしたことで、何かを作るだけではなく、人生において、社会生活において、豊かな時間を過ごすには「対話」ってほんと大事だなと思った日でした。
一緒にワークショップの時間を作ってくださったみなさま、楽しかったです! ありがとうございました!

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