ガラスの靴はその手の中にある
来馬先輩に告白した。
来馬先輩はおれの告白に、目を見開いて、それから口元を抑えて、何度か視線を泳がせて、それから、困ったように眉を下げて、「そっか」と言った。そのとき、その言葉を聞いたとき、おれは、ああ、振られてしまった、と思った。
だけど来馬先輩はやさしいから、「時間をちょうだい」と言ったのだ。それからそっと、あの人は退出した。昨日の、鈴鳴支部での出来事だった。
時間をちょうだい、の時間とはどれくらいの時間なのだろう。昨日の夜は寝ずにそんなことばかり考えていた。やさしい来