「同志少女よ、敵を撃て」を読んで(いる)

 夏休みには厖大な時間があるはずだが、既に半分近くが過ぎた。

 しかし、何もしていなかったわけではない。
 以前より積んでいた「同志少女よ、敵を撃て」を一念発起して読み始めたのである。500ページ近く、六章+プロローグ・エピローグからなるそれは、八割方の攻略が済んだ今もなお私の前に立ち塞がっている。
 このようなものは通常、読後の感想を投稿するものだと思うが、私は読後直ちに賢者時間が如き虚脱感に襲われるので、今にしようと思う。

 余談であるが、高専の勉強は一切していない。常に五か年計画が危ぶまれている。

「同志少女よ、敵を撃て」は非常に面白い。
 その作品は、独ソ戦の最中のソ連側で狙撃兵となった少女の物語である。舞台が独ソ戦、中でも激戦地であるスターリングラードであるから、登場人物は何時死んでもおかしくない状況に晒されている。その上、要所要所に史実を織り交ぜているため、物語の奥行と緊迫感が凄まじく、常に手に汗握る状態であった。また、それには文章の緩急も一役買っていたと思う。戦闘になると段落が増え、目の動きが早くなる。それにつられてページを捲る手も早くなる。読書中、私は操られていたのだろう。

 私は全くもって歴史に興味がなく、作中で周知の事実であるかのように語られる単語(赤軍、革命など)を一つも知らなかったので、久々に世界史の教科書を引き摺り出した。KRD先生のプリントは時の流れと共に散逸してしまった。万物が流転するとはまさにこのことか。
 意気揚々と教科書を捲ってみたが、世界史の教科書はあまり役に立たなかった。そこまで踏み込んだ内容ではなかったので、概要をさらりと浚うくらいにとどまった。

 とは言えこれが、少しばかり私の読書に革命を齎すことになる。「同志少女よ、敵を撃て」を読んでいる間にも、複数の本を読んだ。例えば、創元推理文庫からでている夢野久作の「少女地獄」や角川文庫からでている澁澤龍彦の「ドラコニアの夢」である。
「少女地獄」の中には「死後の恋」という作品が収められている。それはまさに”世界史の教科書で見たロシア皇帝一家”をもとにした作品であった。加えて「ドラコニアの夢」の中で紹介されていた「怪僧ラスプーチン」とは皇帝一家と関りのある重要人物であった。また、「ドラコニアの夢」では夢野久作についても触れていた。

 極く稀に、読書の楽しみを聞かれることがあるが、私が読書を楽しめている理由は上のように知識が網の目状に、連続的に広がっていく気がするからだと思う。
 夏休み暇ならば、読書・勉強してみては如何だろうか。

 文章を構成するのが苦手なので、ここらで終わろうと思う。
 この夏の後半は、引き続き「同志少女よ、敵を撃て」を読みつつ、「ぬきたし」を進めたいと思う。

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