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コンプレックス【一重】

父は奥二重
母はぱっちり二重

ケロンパ
姉 ぱっちり二重
兄 ぱっちり二重
僕 がっつり一重 

なぜだ。

小5の時、告白する勇気がなかった子ポポ時代、
片思いだった女の子に僕のことをどう思ってるか友達に聞いてもらった。
すると「子ポポ君は一重だもんね~」と言った。

コンプレックスが産声をあげた。
今まで人の目の形なんか気にしたことなかったが
すれ違う人の目の形ばかり見ている自分がいた。

体が成長するにつれてコンプレックスも育っていった。

中学生になると人を評価する項目で
【ルックス】が急に最重要項目になる。
こぞって女はアイプチをして
男は髪をワックスでナイアガラにしていた。

野球部で髪を伸ばせなかったので
せめて目だけでもと、赤面になりながら100均でアイプチを買ったのを今でも覚えている。

二重跡をつけるため親にバレないようにアイプチをして寝る日々。
かえって目が腫れ、みっともない一重で通学したほぼ黒に近い青春時代。

目つきが悪いので睨んでると勘違いされて
野球部の先輩にイビられることもあった。

母に半泣きになりながら
どうして俺は一重なん?と聞いたこともあった。
母は一言「あんたは男前よ」と言った。

工業高校に入り【モテたい】という感情は入学式に焼却炉で燃やした。
それから一重というコンプレックスから距離を取れた。

そして21歳の時、僕の見た目が好きと言ってくれる女の子と出会った。
その子は会うたびに「その冷酷な目、本当素敵ね」と言ってくれた。
一重の自分と目が合うのが嫌で
見れなかった鏡だったが、少しずつ見る回数が増えていった。
最強のスタンドの如く、僕の背後で腕を組んでいたコンプレックスはいつの間にか消えていた。

誰か1人の惜しみない肯定でコンプレックスは消える。
コンプレックスは最強であり、言葉一つで消える最弱な魔物でもある。

そのことを教えてくれた 今はもう顔を思い出せない〇子ちゃんありがとう。
好きな人が出来たといって急にLINEブロックしたこと許すよ。

それから人の素敵だなと思ったところは積極的に伝えるようにしている。
僕の肯定で死にたいと思うコンプレックスを抹殺できるかもしれないし。
そんな簡単なもんじゃねえよという意見は今はよしてくれ。

二重の人より見える世界は狭いかもしれないが
見たくない現実のことも 見なくて済むと思うと
まあ一重も悪くねえなと思った。












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