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〈ゲーム感想〉【DAVE THE DIVER】ゆったり潜水アクションとエキゾチックな刺激

コミカルでカラフルなサブカルの海へ

左から悪友のコブラ、寿司職人のバンチョ、主人公のデイブ。

(ネタバレあり)
南国の入江に空いた巨大なブルーホールへと潜る、2D探索アドベンチャーです。主人公のぽっちゃりしたおじさんは、元ダイバーのデイブ。悪友の口車に乗せられて、銛と銃を手にお寿司のネタを仕入れながら、雄大な海を泳ぐ様々な生き物とふれあいます。

※4月時点のアーリーアクセス版での感想となります。


ビジュアル

舞台となるブルーホールにはありとあらゆる海水魚が住んでおり、上から底までカラフルな魚たちがのんびりと泳いでいます。

哺乳類は保護対象。

ドットと3Dで描かれた海はデフォルメされておりながらも奥の方まで美しく、単純に移動しているだけでもなかなか楽しめます。

デイブはその海に潜り漁をします。獲った魚は職人のバンチョにより寿司のネタにされてお客へ。これがまたエキゾチックです。クマノミもクリオネもネムリブカも料理への探求を忘れないバンチョによってみんな等しく調理されるため、かなりシュールな寿司が生み出されます。

ムラサメモンガラにぎり。サメ寿司も必見。

東アジアの文化にフォーカスしつつ、現代要素満載です。寿司屋なのに看板はサイバーなネオンサインだったり、お店の口コミは「クックスタ」というSNSだったり、海には海賊や過激な環境保護団体が現れたり、やる気のない学生のレポートの手伝いをしたり、海中写真を雑誌に寄稿したり…。

中でも潜水漁に役立つ武器を開発してくれる「ダフ」氏は完全に萌オタ。サブカルの権化。彼に武器制作を依頼するとこだわりのドットアニメーションと謎のアニメソングが流れあっという間に一丁上がりです。テンプレのツンデレ台詞を吐くあたりもポイント高い。

ダフ氏がお仕事モードに入りますぞ。

登場人物たちの奇天烈な見た目が目を引きますが、目に留まるイラストレーションはどれをとっても丁寧で次から次へと見たくなります。

そのため最も気合が入っているであろう魚人族の村は隅々まで見回してしまいました。

奥が王宮。ここは海の映画村。

魚人族?ええ、そうです。このゲームは魚人族の謎を追う、というメインのストーリーラインがあります。アーリーアクセスの時点ではここにたどり着いてしばらくするまでがストーリーとなっています。


テキスト

ダフ氏が面倒くさい萌オタクだとすぐに分かるように、日本語へのローカライズがとても素晴らしいです。ダフ氏に限らずサブカルに寄った台詞やパロディギャグが多いのですが、そのどれもが日本語でちゃんと伝わります。多分笑いどころも一緒。

テキストに合わせてアニメーションとSEのボイスもついてくるので、会話が読みやすくて状況もわかりやすいです。流し読みしたっておおよその流れは見失いません。

魚図鑑を完成させたいサトー氏。

これはすごいことですよ。翻訳された文章が違和感なく頭に入っていくっていうことですから。ギャグ重視の内容が薄い会話をしているからと言われると困ってしまいますが、逆に面白さも内容もどっちも伝わるとも言えるでしょう。おじさんたちのへんてこな掛け合いを余すところなく楽しめます。


ゲーム性

探索アドベンチャーがメインですが、同時にお寿司屋さんの経営(バイト)も行う必要があります。その日の成果をバンチョにお寿司にしてもらい、やってくる客に振る舞います。ぶっ飛んだお寿司に満足した客は、SNSでいいねをくれて、さらに写真まで上げてお店のPRに貢献してくれます。そして翌朝また食材を求めにデイブが海に潜ります。

料理のレベルアップはバンチョがやってくれます。

調達と料理のサイクルの中で…装備を整え、料理の味を極め、スタッフを雇い、新たな施設を準備し、お客さんといいねの数を増やします。この感覚が現代人らしさに合っていて馴染みやすい。なにより、店のレベルアップはお客さんのいいねにかかってるので、SNS映え欲しさにまだ見ぬ食材集めにも気合が入るというもの。

メインそっちのけでこっちに注力しても何ら問題ない…のですが。やはりといいますか海鮮丼のようなあらゆる要素全部乗せの贅沢なゲームは大味になりがちです。(ゲームとかけて海鮮丼と言ったばかりに、いや繊細で美味しいものもあるだろ、とツッコまれそうです。)

海産物の種類=寿司ネタの種類なので、細かなバランスを取るのは難しいと思います。後半の魚の方が雑にコスパがいいので、適当に獲ってきたやつを並べるだけでもボロ儲けです。逆に言えば、自分の気分で選んでも失敗にならない気軽さはありますね。

人気商品はサメのにぎりよ。

一方で海底探索のアクションについてはところどころに工夫がされており、特に敵性を持つサメやクラゲに襲われた時はそれなりの緊迫感が生まれます。

敵の動きは単純で見切りやすいのですが、デイブ自身が太っちょのため、若干当たり判定が大きい。早めの回避行動をとらないと思わぬダメージを受けてしまいます。ゲーム内日数はほぼほぼ無制限で、倒れてもまた挑戦すればいいだけなのですが、その時持っていたアイテムは一つしか持ち帰れないという制約のため、できれば無事に帰りたいところ。

身を守る武器にはクラフト要素があり威力の上昇や特殊能力の付与を行えます。銛を魚に使用するとちょっとしたQTEアクションが発生し、さらに毒や痺れといった特殊な銛だとその能力ごと固有のアクションを求められます。

またそれらを駆使できる、海中に棲む巨大生物とのボス戦も用意されており、どの敵とも割と逃げる余裕がない場所での戦いが繰り広げられます。ボス部屋のリソースも限られがちなので、何かのついでに立ち寄ってうっかりボス戦が開始された日には絶対に負けられない戦いの始まりです。

恐怖、巨大クリオネ。持ち帰りたいアイテム多いから負けたくない…。

ゆったりまったりした遊泳の中にこうしたピリッとする刺激が含まれているのが、本作のアクションの良いところですね。


UI/UX

慣れ親しんだものほど操作は直感で分かります。「何をすべきか悩む時間がない」「わからなくても触っただけでわかる」そういった観点で作られたUIをしています。この作品のメニュー画面は、全部「スマホから操作する」という体で作られています。もっとぶっちゃけちゃうとメニュー画面がiPhoneです。

親の顔より見た画面。

操作のしやすさは保証済み、新機能の解放はアプリインストールという扱い。世界観にもうまくマッチしているいいUIです。

操作ガイドは当たり前のようについているのでユーザーフレンドリー。先ほどからほめ殺しなぐらい良評価しかしてないですが、ここら辺はゲームに強いお国柄が出ていると思います。

まあただ寿司の仕込み周りについて、一度メニューを設定したら、他の品に入れ替えたくともセットした食材を廃棄しないと変更できないのはちょっとした罠ですね。海鮮丼にしちゃうかまかないに出して。


アーリーアクセスの時点ではミッションを効率よく進めていると意外と早い段階でゲームが終わって、ちょっと物足りなく感じてしまいます。

しかしどうやら2023年6月にリリースを予定されているようで、その時が来たら改めてはじめから遊ぼうかと考えています。海はまだまだ深いですね。

それでは今回はこの辺で。

バイバイやっと!


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