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〈ゲーム感想〉【Ratopia】小さなネズミの国起こし、夢はでっかく経済大国


お金は地下でも廻すもの

新年一作目は何かおめでたいゲームでスタートを切りたいと思います。

『Ratopia(ラットピア)』。ネズミが主役の2D街づくりシミュレーションです。ネズミの街は土の下、地下を縦へ横へと領域を広げていくのが基本…ですが、シミュレーションゲームですのでいろいろ困ったことも起こります。

食糧難、外敵の襲来、財政赤字、はたまた住民の犯罪無銭飲食。プレイヤーはそれらの問題をうまーくコントロールしつつどんどん街を大きくしていくのが目標。

アニメキャラのような二足歩行のネズミたちをせっせと働かせて楽しみました。


キャラクター − やっぱりみんなネズミがお好き

プレイヤーが動かす主人公は、どうやら国を追われた身のようで、外敵のいない平和な土地を求めて逃げてきたようです。

(たぶん)亡国の女王。

この白いネズミのキャラクター(デフォルトネームは"エリザベチュ")は、ゲームの最初に髪や顔つき、体の色や服装、性格などキャラメイクができます。とりあえず全部かわいい。

そして新天地を求めてやってくる住民候補たちも、みな特別な力を持ったネズミです。見た目で選んだり、性能で選んだり、自分たちの土地にやってきたネズミを全員追い返すことも可能です。

ちなみにオスだろうがメスだろうが今のところ結婚してネズミらしく大量の子どもが生まれる…というシステムはないので安心してください。

おとなしいディミアン君を入れたいけど「悲観的」スキルついてるなぁ…

街づくりシミュレーションらしく、住民たちに仕事を割り振り、職場で働かせることが可能です。その時、大工さんならねじり鉢巻きをしたり、学校の先生なら博士帽をかぶったり、就いた職によってネズミたちのコスチュームが変わるところもポイントです。

トイレに行ったり、洗濯したりお風呂に入ったり…学校ができれば授業を受けたり、机を置くとそこで食事を摂ったり、とにかく住民たちが何をするのも特別なアニメーションが発生します。

お縄を頂戴するときもね。

ゲーム性 − それは滑車のように

キャラもかわいいしのーんびり街を広げていこうと思っていたら…このゲーム、結構壁にぶち当たります。おぽのの失敗をもとに、このゲームの面白いトコを書いていきたいと思います。

一つ目。娯楽。

街づくりシミュレーションなので、住民の幸福度、満足度のようなものが存在します。その値が低くなってくると犯罪が起きやすくなったり、街で暴れるネズミが出てきます。ひどい時は怒髪天を突き憤死するやつも…。

初めて遊んだとき、法と秩序を保つことを目標に掲げ、これまでのほかゲームの経験から住民に清潔な寝床と仕事を与え食うに困らないように整えていました。

ですが、それだけでは足りなかった。

思えばこれが警報だったんだなあ…。

このネズミたちは娯楽好き。娯楽を何よりも優先していることがわかりました。ちょっと刺激が足りなくなってくるとすぐに不平不満を口にします。生活基盤ができるまで待ってくれません。序盤は、基本的な機能に加えて、布を作れる紡績工場とイベント会場を準備するのがおすすめ。

おぽのはこれを怠り、第一次ラットピアは崩壊しました。民から文句が出るならパンとサーカスを与えておけばよい、ってなんて皮肉なんだ…。

二つ目。お仕事。

生産系の仕事をしていもらいたい人たち、採取系の仕事をしてもらいたい人たちといった専門職と、荷運びをしてもらいたい、インフラ整備をしてもらいたい臨時の職に就く人たちが都市開発ゲームには欠かせません。

おぽのは都市の大規模開発を視野に入れて、食料源を確保したうえで定期的に多数の移民を受け入れました。もちろんひっきりなしに掘削や建築といった作業をお願いしていたのですが…。

赤がホームレス…あれ!?住居が足りてない!?

働かせることに夢中になって、街に家なしのネズミたちを生み出すことに…。しかもみんな特定の職に就くでもなく、無職の状態です。無計画な都市開発が露呈した瞬間でした。

何が起こったか。

職のある人とどんどん貧富の差が開いて、住民たちの不満大爆発です。あっちこっちで無銭飲食などの軽犯罪が発生し、牢屋が常に満員状態。法治国家を目指したのに最悪の治安を以て第二次ラットピアはその短い歴史に幕を閉じました。

三つ目。お金。

このゲームは経済の概念があります。

例えば、木工の大工さんが板を作るため、国から原材料である原木を買い取って加工します。そして加工した品物を納品箱に納めるときに国から報酬が自動的に支払われるようになっています。

上の流れが基本なのですが問題があります。お金は勝手に増えてはくれません。中央銀行を建てて通貨や紙幣を追加発行しない限り、住民たちの手持ちと国庫の分しかお金は存在しないのです。(なお外交を行えば他のネズミ国から借入できたりします。)

この要素が非常に重要で面白いポイント。

左にうっすら右下がりの財政グラフ。

ネズミ国家も、国の収入を増やし、支出をぐっと抑えることが肝要となります。国民の満足度を保ち、仕事も適度に与え今度こそ大都市を作る!と意気込んでいた第三次ラットピアに終わりの時が訪れます。

財政破綻。国のお金が干上がってしまったのです。

………
……

何が問題だったのか。原因は二つ、収入を増やす方法を考えていなかったことと、おぽのが民を喜ばせるために作った法令「ウェルカム法」が原因でした。

――「Ratopia」はプレイヤー自身で、税法、商法、福祉法、労働法を定めることができます。重税を強いれば当然反発されますし、法律を定めないと初期の経済効率が悪いままの状態です。

さらにネズミたちの間には上流中流下流の市民階級が存在しており、初期状態だと「ぜいたく品は下流市民は利用することができない」などの悪魔のような設定がされています。

人々がより暮らしやすく過ごしやすくするためのルールを、プレイヤー自身で決めることができるのです。

みんなのために、質のいい服を誰もが着られるようになる「着服権」
おいしい焼き肉を食べられるようになる「焼き肉券」を制定しました。

さて、おぽのの悪法「ウェルカム法」ですが、何をしていたかというと…

これ、福祉の一環として、この土地に移住してきたばかりの所持金の少ないネズミに対して一律お金を配る法律でした。

もう住民はニッコニコです。引っ越してきただけでご祝儀マネーが国から無償で与えられるので不満の出る余地もありません。すれ違うだけでみんながあいさつを交わしてくれるようになり、民から愛される王女として立派に務めを果たしていました。

そして、やっちまったことに気づいたのは国庫が10,000を切ったことに気づいた時でした。

時すでに遅し。対処するために慌てて富裕層からお金をむしり取る法律を立てましたが、既に流れ出てしまった額のお金を回収することができずにっちもさっちもいかなくなり、第三次ラットピアは幕引き。

教訓

  1. まずは食事と寝床、そして娯楽を与えよう

  2. 職場の量と住民の数のバランスをとろう

  3. 金持ちからしっかりお金を取りたてよう


操作感 − 手順が一つ多いかも

こんな感じで慣れないうちに遊んでも結構なドラマが生まれるのがとても楽しい「Ratopia」ですが、微妙に困るポイントがあります。

操作の不便なポイントが多いのです。人手が足りないとき、女王たるプレイヤーも作業に加わる必要があるのですが、足元に落ちた荷物が複数ある場合しっかりリストから選ばないと思った物を手に取ることができません。

今は麦を持っていきたいのに!近くにあるはっぱを拾っちゃう!ということも多々発生します。一回の荷運びで持っていけるアイテムの種類は1種類というのが不便さに拍車をかけます。

もう一つ、税金の取り立て方法です。

税金は国家の収入源の一つなのにここがちょっと不便。楽にする方法はありますが、基本的に住民一人ひとりから直接受け取る必要があります。

「集金で~す」を女王自ら行います。

できることなら自分の代わりに回収をしてくれる「税務署」や、体が触れるだけで税金を取り立てられるようになる「ネズミの祭壇」もできれば早いうちに建てておきたいですね。


現在第四次ラットピア発展中。数々の試練を乗り越えエンディングは迎えられるのか…?

こんな感じに週一更新を続けます、本年もよろしくお願いいたします🐉

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