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「ようこそ映画音響の世界へ」を観て、オンラインイベントの音を考える

映画音響がどのように進化したかを紹介していくドキュメンタリー「ようこそ映画音響の世界へ」を観にいきました。

挑戦的な若手映画監督たちが新たな音響技術を積極的にとりいれていく様子が紹介されたり、映画を製作する会社の役員から「音は重要ではない」と言われた音響のプロフェッショナルが登場したりします。
 
いまのオンライン配信のイベント、ウェビナーの状況にかぶります。

オンラインのイベントは安くできるイメージが強くあります。確かにプロをいれなくても配信はできます。しかし、大掛かりなオンラインイベントであれば、映像だけでなく音響なども含めて設計し、予算を考えておく必要があります。

多くのオンラインのライブ配信のトラブルは「音」なのです。

例えば、
・ハウリングする
・声が小さくて聞きとれない
・会話がぶつ切れになって聞こえにくい

どんなに映像が美しくても、これらのどれかひとつでもあてはまると、視聴している側はストレスになり、クレームにつながります。

先日相談いただいたある企画は、それまでリアルで実施していたイベントをオンラインにするので必要な機材や運営のポイントを知りたいというものでした。著名人が登壇する、人もかなり集まっている、有料である。しかし社内でオンラインイベント運営の経験のある人がいませんでした。コンサルティングだけではサポートしきれないと思い、当日の運営や配信のディレクションの支援を提案しました。しかしそれは通らず、これまでリアルイベントに関わってきた運営スタッフと収録を依頼していた映像関係者とで開催することになりました、という連絡が入ったのでした。

後日みせていただいたアンケートにはいくつか厳しい意見がよせられていました。有料だからもっと配信のクオリティをあげてほしいなど、特に「音響」に関する苦情が書かれていました。

オンラインのライブ配信のためにマイクやカメラ、ミキサー、スイッチャーを買ってはみたものの、使いこなせないというケースをよく聞きます。この機材だとうまくつながらないみたいだから、あれも買ってみようとか。ネットで話題だからこのスイッチャー購入しようとか。機材ばかりが増え、費用が積み重なっていきます。

私もガジェットを買いがちなのでよくわかります。

一方、別のクライアントからは、映像配信の機材に関するコンサルティングの依頼がありました。すでに自社でオンライン講座を提供していましたが、不安定な部分もありました。オプンラボの映像メンバーが現状の分析をし、使用方法も含めてシステムの改善案をつくり、映像のプロがいなくても映像も音声も安定して配信できる環境を整えました。

「ようこそ映画音響の世界へ」では、著名な監督映画が、映像と同じくらい音声が非常に大事であることを語ります。音響のプロフェッショナルたちに対し尊敬の気持ちがあふれている映画です。

オンラインのライブ配信は、映像・音響・運営などみておかなければいけない要素が多くあります。全部をひとり、もしくは自社でこなすのはなかなか厳しいものがあります。そこはあまり無理せず、各分野のプロフェッショナルに頼むか、知識のあるスタッフを育てるか、機材がそろっているスペースを活用するか、運営のプロに任せるか、目的にあわせて見極めていけると良いのではないかと思います。

「ようこそ映画音響の世界へ」
http://eigaonkyo.com/
(小林利恵子)


■9/29開催:テレビ会議を遊び倒せ!オンライン時代のプロデューサー講座
https://onlineproducer-2020sep.peatix.com/

■オプンラボ
オンライン配信&ウェビナープロデュース
https://www.opnlab.jp/contents/

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