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Jo Maloneの感想2

クリスマスが今年もやってくる…JMのクリスマスに関しては、9月末から公式HPをF5連打して心待ちにしていた。クリスマスコフレを買ったことがないので初知りだったのですが、公開の最速はメルマガでも公式HPでもなくファッションプレスとかの情報サイトなんですね…メルマガの意味ッ!

情報公開を待ちきれなかった私は、はやる気持ちを落ち着けるため、クリスマスの欠片を求めて中古市場を徘徊した。そして気がつくと、昔のコロンコレクション(9ml×5)を5700円で購入していた。9月にクリスマスコフレを買うな。しかし定価14500円でコレはごっつお得な買い物でんがなと青木雄二作画の顔で手をモミモミしながら届いた箱を開封。

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おー…なんかキダム来てますって感じ! 見慣れないデザインだなと思って調べると、今回購入したのはなんと2016年のバージョン。5年前…!? たなか麦には香水の詳しいことは分からぬ。しかし香水の劣化には人一倍敏感であった。(ホワイトジャスミンの悲劇

いきなり5種類もの香りを吹いて部屋を女子更衣室にするわけにもいかないので、キャップを外しておそるおそる噴射口をクンクン。劣化は感じられず、一応芳香と言える範囲。ん? この香りどっかで会ったな…ってお前はライムバジル!!

ライムバジル&マンダリン

ジョーマローンのセット物あるあるなんだけど、ライムバジルがたいてい組み込まれていて油断するとつがいのハムスターみたいにすぐ増える。うちでは面倒見きれないので中古市場に放流するものの、同じ境遇の人が手放したライムバジルが同じように新しい飼い主を待っており、9mlボトルの相場が崩壊して1300円くらいになってる。(イングリッシュペアーとか人気のやつは2300円くらい)(個人の感想です)

おまけにゲランでお買い物をしたら「マンダリンバジリック」という香りのサンプルがついてきちゃって、もうお家がイタリア料理屋になっちゃう!! ちなみにこのマンダリンバジリックも、サンプルとかミニボトルがタケノコみたいに生えてくるのでめっちゃ増えます。

香りについては前回書いたので特に言うことはないけれど、「マンダリンバジリック」が柑橘を透明感やきらめきといった高音で表現しているのに対し、「ライムバジル&マンダリン」は酸味とハーブ感を紳士向けにまったりとまとめてアルトな印象。前者をラメ入りのチュールとすれば、後者はあったかツイード。しかし、両方共通してラストノートに食洗機っぽい、清潔感と生臭さのあわいのような匂いが出てしまうのが気になるといえば気になる。上から別のをシュッシュしちゃえばいいんだけど。

バジル&ネロリ

またバジってる…ネロリもオレンジの花だし、実質ライムバジルマンダリン…ってコト!? とブチギレながらプッシュしたら、こちらには柑橘の酸味はなく、なっちゃんやバヤリースに感じられるような果汁の上澄み的うす甘さが最初から最後までブレずに続く。しかし世の中にネロリ香水は星の数ほどあり、その中で輝けるかというと6等星くらい。自分の手元のネロリ香水は他にゲランのネロリウートルノワとサウザンドカラーズのM1971があって、真っ黒になるまで煮つめた甘さ! とかジャスミンと合わせて鼻から抜けるような爽快フローラル! とか、わざわざそれを選ぶに足る個性がある。個人的にはバジル&ネロリの、オレンジを連想させるにもかかわらず酸味にも甘みにも振り切れないどっちつかずな感じが苦手。

ポメグラネートノアール

公式によると「大胆で官能的な赤いシルクのイブニングドレスに着想」ということで、自分には一生縁がないなと思っていた香り。でもせっかく手に入れたことだし、今日だけはフラメンコダンサーになった気持ちで付けてみよう…と手首にシュッ。

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どこがポメグラネート(ざくろ)じゃいッ! まんま梅ガムの香りに、脳が酸味を予知してめっちゃよだれがドバドバ出てきた。砂漠に持っていけば喉の乾きを潤すことができるし飲料不足を解決する一つの発明としてはそれなりに偉大。

ところで、先日SHIROで香水を試していたときのこと。ラインナップを眺め、フリージアにポメグラネイトって…ジョーマローン意識しすぎ~~shiroちゃんJMのこと好きなの? アットコスメ香水ランキング常に2位だし超モテイケメン英国紳士だもんね~~と失礼なことを考えていたら、店員さんが「こちらお客様の雰囲気によく合うかと」とムエットに吹いてくれたのがなんと「POMEGRANATE」。

SHIRO公式サイトの説明を見ると「ザクロのような真っ赤なドレス」。企画会議で「ジョーマローンに怒られませんか」って意見が出なかったんか? だとしたら市場調査もしくはリテラシーのどちらかがやばない? と余計な心配をしつつ、肝心の香りはというと。……お前も梅ガムやないか~い! ただ、SHIROのほうが若干みずみずしさとフルーティーの表現が繊細にできており、これを嗅いでから改めてポメグラネートノアールをつけてみると、ああザクロなんだなと認識することができる。この香りが好きな人は、いろんな香水をよく嗅ぎ慣れていて、この香り=ザクロという文法を理解できる人なんだと思います。第一印象は梅ガムもしくは除光液だったのに、店員さんに似合うとか言われるとちょっと好きになっちゃう単純なアタシ。

ミモザ&カルダモン

ミモザを形容する際に必ず「パウダリー」という言葉が使われるが、その理由がよく分かった。冬の定番スノーボールクッキーの香りだったのである。朝つま先に1プッシュすると、なんと夕方まで香りが持続する。うっかり会議の日につけてしまって、直前までクッキー食ってて慌ててきた人みたいな印象を与えることに成功。あわてんぼうのサンタクロースが実在したら多分こんな香りじゃないかな(適当)

ウッドセージ&シーソルト

潮の香り、ミネラル感、海を連想する…と大変評判がいいので前々から気になっていた。自分が入手した中古セットのなかで、こちらだけ半分以上使われていたのも前使用者のお気に入り具合が伺えて期待を高めた。こちとら横浜住みじゃけえ、ハンパな海やったら容赦せんぞ(山寄りに住んでるくせに)とドキドキしながらハンカチに吹き付けると。

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ちゃおの付録の匂いがする!!! 特に「はじめてのコスメセット」みたいなやつに含まれているマニキュアの、シンナー臭を甘さでカバーしたようなあの匂い。遠い外国イギリスの香水が、なぜ私の小学生時代の記憶を鮮明に呼び起こすことができるのか? クリスティーヌ・ナジェルちゃおっ娘説。

この香りから海やミネラルを連想できる人は、自分とは全然違う人生を送ってきたのだな~と当たり前のことを思う。ハンカチをクンクンすると、忘れていたコマゴマとした記憶が蘇る。そういえば、親にネイルセットを買ってもらって、付属のネイルチップが全然自分の爪の形に合わなくて、あー自分の爪って世の中の女の子たちとは違うんだと気付いたあの日。手を洗うとすぐドロドロにとける子供だましのネイル。水で浮かすネイルシール。爪やすりって父ちゃんが使ってるのと全然違って削れない!(表面を磨く用だったと知るのは十数年後)等々。

そんな事を考えているうちに2時間くらいで香りが飛ぶ。ハンカチでも1日もたない。この儚さは、つきまとう記憶の質を考えるとかえって丁度いいとすら感じる。何時間も女児のままではいられないからね。

イングリッシュペアー&フリージア

コフレに入っていたやつではないけれど、こちらも9mlボトルを持っているのでついでにレビュー。イングリッシュペアーといえば、アットコスメ香水ランキング2位に何ヶ月も君臨し続けていて、サイトを開くたびに「またお前か、何か新しいニュースはないのか?」と問いたくなる。

本物のフリージアを嗅いだことはないけれど、この花の白くて正統派っぽいたたずまい、洋梨のウォータリーで爽やかな酸味、二つ合わさってさぞかし清楚な香りなのであろうと期待して吹きかけてみると。

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ハッここは一体…!? 気がつくと自分は見知らぬトイレにいた。雑居ビルとか駅系ではない。ルミネ、モアーズといったきれいな女性が集うファッションビルだ。オーガニックなパッケージに反して強い芳香を漂わせるハンドソープ、おしろいの乾いた匂い、パチンとコンパクトを閉じる音…誰かが香水をつけ直したのか、むせ返るようなフローラル臭がたちこめる。

匂いが移らないようにと思って足早に外に出ると、再び自分の部屋に戻ってきていた。手にはイングリッシュペアー&フリージアの小瓶。えーっ、これがJMで一番人気の香りなのか? 自分がトイレを連想したのは、おそらくこのコロンをつけている女性があまりにも多く、この香りとのファーストコンタクトが不運にも女性の香りが最も凝縮される場所になってしまったからであろう。

またSHIROの話で申し訳ないんだけど、「FREESIA MIST」を最初に見たとき、どうせイングリッシュペアー&フリージアの二匹目のドジョウなんでしょう? と侮っていたが、いざ試香してみると全くの別物だった。(洋梨がないから当然といえば当然)いわゆる「ソーピーなフローラル」ではあるけれど、石鹸がかなり薄くてほとんど水か、脱水したての洗濯物のようなナチュラルな清潔感。イングリッシュペアーよりもこちらがアットコスメ2位にランクインしている方がよっぽど納得できる、いかにも日本人が好みそうな香りだと思う。あわよくばこのままランキングを天狗のように駆け上がりその高下駄で不動の2位を蹴落としていただきたい。というかフリージアって名前がマーケティング的によろしくないのではないか。もっと洗いたてのリネンを彷彿させる方向でアピールしたらどうかな。洗濯が終わって一息ついてシーツでくつろぐ時間をイメージして、「怠惰な日曜の朝」みたいな感じの商品名で。これでバカ売れランキング1位間違いなし。

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ピオニー&ブラッシュスエード

こちらも9mlを持っているのでついでに。ピオニーって何だ…? 高校生の頃部活の先輩がテイルズオブジアビスのBL小説を書いており、キャラの名前はよく知らないものの、眼鏡の鬼畜っぽい男性と短髪のタイツお兄さんが親密そうにしているイラストがぱっと思い浮かんだ。って調べたらどっちもピオニーじゃないじゃん!!

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気を取り直して。結論から言うと、自分にはりんごの匂いしか感じられなかった。真っ赤なりんごというより、まだらに色づいて淡い朱色に見えるような柔らかい雰囲気のりんご。さっぱりした甘さにタネや芯の渋みが加わって、冬のコーデュロイやレザーといった重い装いにも合う印象になっている。この自分がタネとか芯だと感じた部分がピオニーやスエードなのであろう。

りんごフレグランスとしてはディプティックのフローラベリオの方が、甘いりんごの中に他の花やコーヒーのほろ苦みが不意に現れてきて飽きることがない。これは30mlボトルを買ったくらい好き。公式サイトでは消えてるけど、どうか廃盤にならないでほしい。ってなんでまたディプティックの話になってんねん。

というわけで、クリスマスコフレが待ちきれず中古で買ってしまったせっかち野郎の話でした。ちなみに今年のコロンコレクション2021は

イングリッシュ ペアー & フリージア コロン 9mL
ワイルド ブルーベル コロン 9mL
ライム バジル & マンダリン コロン 9mL
ウッド セージ & シー ソルト コロン 9mL
フィグ & ロータス フラワー コロン 9mL

ということで、フィグ&ロータス以外は持ってるからいいや…ってなりました。ジョーマローンを全然持ってなくてかつ石油王の人なら、ほぼコンプできるラグジュアリーコロンコレクション(77000円)がお得だと思います。もう売り切れてるけど…

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はぇ~歯列矯正みたいでかっこいい…(ほぼ虫歯)

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