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『ポケモンGO』のつぶやきでバズった当人から見た、周囲の反応やアイコンからの信頼性

毎月、マガジンメンバーがゲーム関連の話を書いている“ゲームライターマガジン”。

年の瀬のまとめ的なものに手を付けようかと思いましたが、ちょっと今回は
『ポケモンGO』の話を起点にしてみようかと。というのも、

なんかバズった。

12月27日の昼につぶやいたのですが、28日までの間は通知を確認して、閉じるとまた新しい通知が来ているといった具合。リプがあり、RTがあり、当然通知にはさまざまなアイコンが並び……。ゲームの話というよりもTwitterの話の方が近いですが、この機会にバズった当人の視点から見たいろいろを書いていこうかと。

本題に入る前に、この記事にTwitterからたどり着いた人に向けて補足しておきましょう。
この記事が登録されている“ゲームライターマガジン”はメディアでゲーム系の記事を書いているライター、もしくは以前にゲーム系メディアで記事を書いていた元ゲーム系ライターが日々のゲームの感想やゲームシリーズへの考察などを挙げているマガジンです。この記事を目当てにnoteを開いたかと思いますが、ゲームに関するよもやま話を読んでみたいなら下のリンクもチェックしてみてください(一部有料の記事もあります)。

そもそもバズる予定はなかった

いきなりですが、自分はバズり慣れていません。

バズるためにつぶやくことはなく、今回の件にしてもこのマガジンのメンバーを含めた何人かとキャッキャしたうえで、そこから派生して数十人ほどがRTするかもしれないと考えたものです。

というのも、そもそも『ポケGO』は2016年7月に配信されたタイトル。リリース当初から今なお残るユーザーは山ほどいて、そのなかには首相官邸近辺を通った人もいるはずです。

さらに、調べたところ首相官邸がポケストップになっているというのは、2016年の時点でニュースにもなっている話。当時の官房長官・菅義偉氏が、ポケストップである現状を変えることはしないと話しています。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/54055

ググったらトップに出てきたため沖縄タイムズのリンクを貼っていますが、「首相官邸 ポケモン」でググればほかのメディアの記事も出てきます。

ジムでアイテムを入手できるようになったのは2017年のアップデートかららしいので、少なくともこの時点で首相官邸はポケストップだったのでしょう。

●リリースから4年以上
●とんでもないブームになった&今も多くのユーザーがいるゲーム
●首相官邸でポケモンをゲットできることがニュースの添え物として触れられている

そういった理由から、当初の印象としては「ガチ勢に使い古されたネタを身内で楽しむためにつぶやいたところ、なぜか思った以上に拡散された」といったものでした。

あとでわかったバズった理由

ですが、調べてみるとこの考えは大きな間違い。『ポケモンGO』が「〇〇で未登録のポケモンを~」を通知するようになったのは、2019年になってからだったんですね。

そうすると、話が変わってきます。リリースから3年たってから追加されたシステムなら実装時点でガチ勢は多くのポケモンを図鑑に登録しているはず。つまり、未登録のポケモンを発見した通知が出にくい状態になっています。

一方で『ポケモンGO』引退済みの元ユーザーは、ポケモンGO』自体をアンインストールしているのが普通。もしも、インストールしたまま放置していたとしても、2019年実装の“いつでも冒険モード”に関する設定をしていなければ、未登録のポケモンに関する通知は出ません。

つまり、リリースから4年もたつ『ポケモンGO』を対して真面目に遊ばず、かといってアンインストールするわけでもない。そして“いつでも冒険モード”はわざわざ設定している。そういった妙なプレイヤーからしか未登録のポケモンに関するおもしろ通知が来ない、もしくは来づらいわけです。

こうやって、条件を考えていくと確かに自分のツイートがバズったのも納得です。ちなみに、自分が上の条件を満たす妙なプレイヤーになったのは実はコロナの影響。仕事で親しくしているある『ポケモンGO』プレイヤーが「コロナのせいでみんなが外に出なくなった。ギフトがもらえない! ギフトが欲しい、できれば毎日欲しい!」と言い出したため。その際にギフトの渡し方を調べるうちに“いつでも冒険モード”の存在に気が付いて、なんとなく設定したわけです。

いろいろ出てくるリプ&RT大喜利

さて、バズったツイートというのはある程度ひとり歩きするもの。とくに自分のケースはゲーム内のキャラクターであるポケモンと現実の首相官邸が紐づいたものだったので、さまざまな想像ができるものです。実際にリプ欄や引用RT、そしてRTしたうえで続くツイートに「>RT」を付ける形でさまざまないわゆる“大喜利”が見られました。

RTした7000オーバーのアカウントをすべて見に行ったわけではありませんが、興味本位でいくつものアカウントを覗きに行っています。

まず、多く見られたのが実際に『ポケモンGO』を起動して首相官邸に向かったら? というもの。

「警備員に止められそう」。現実的な話です。
「警備員を倒してでも捕まえにいこう」。過激な発言ですが、これをジョークと理解できなければ脳の異常を疑うべきです。
「捕まえられるのは政治家だけ!」……『ポケモンGO』の感知範囲を考えると、政治家じゃなくてもなんとかなるよ。タブンネ。

また、現実の首相官邸に実際にポケモンがいるとしたら? という反応もスタンダードなもの。

「化け物が官邸に現れて大慌て」。官邸じゃなくても、目の前にポケモンがいたら自分はダッシュで逃げ出しつつ110番します。
「首相官邸地下でミュウツーの研究が」。フィクションの世界では国のトップが外に漏らさず危険な研究をしているというのは定番。そういった要素に紐づけるなら、ミュウツー以外にいないでしょう。
当初ピンと来なかったのは「首相官邸にはラプラスがいる、いそう」という話。『機動戦士ガンダムUC』の物語冒頭で大惨事になった首相官邸の名称が“ラプラス”だというところから、『ポケモン』と『ガンダム』ふたつのフィクションの共通項を落とし込んだ形ですね。

政府関係者をポケモンに例えるというところまでは面白く読めました。

政界には魔物がいるというのは、ある種の定番。そこから化け物→ポケモンと発展して我々下々がキャッキャしていても、政治家のみなさんには有名税としてスルーしてもらいたいものです。
菅総理のネット上での通称であり、自身も把握していると先日明らかになった“ガースー”からとある方が書いていたドガースやマタドガスに似たオリジナルの図鑑解説は結構ツボでした。

ただ、ポケモン図鑑の解説になぞらえて、侮蔑的な表現が入るとさすがに気持ち悪い。

というのも、ここまで来るとニッチ過ぎるんですよ。起点になっているのは、“『ポケモンGO』のポケモンが首相官邸にいました”という話。政府関係者を含めた話に発展した時点で少し起点から話が逸れています。そこからさらに政府関係者を主題にして、しかも一部の人しか喜ばないような話になるとスパムに片足を突っ込んでいます。

SNS上では政治関係を悪しざまに語ることがメジャーな話に見えがちですが、やっていることは『岸部露伴は動かない』の話題で盛り上がっているなかに露伴×康一のBLものの話を始めることと大差ありません。

自分はナマモノ以外は抵抗ないので、BL自体を否定しているわけではありません。

そして最もひどい反応だったのは、こっちのアカウントを政治的ななにかや陰謀論に結び付けるもの。

自分のアカウントはほとんどゲームの話しかしていないのですが、政治的なアカウントだと疑う人はフェイクだとでも思っているのでしょう。
こういった人たちはとりあえず、今から新規アカウントで『グラブル』を始めて

ビーク

イーウィヤ・ビークという武器を2本、限界まで上限解放して

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英雄武器という種類の武器をどれでもいいので8本作って、さらに『FGO』も新規アカウントで始めて

アビー

水着ジャンヌ

アビゲイル・ウィリアムズというキャラクターの“強化”の表示を両方とも2000/2000にしたうえで、“アーチャー”と表記のあるジャンヌ・ダルクというキャラクターの“絆LV.”という表記の部分が10/11になるようにしてみましょう。

ここまで行ったうえで、そこにかかった時間を踏まえて、それでもまだ政治的なアカウントだと思うようでしたらどこかの病院でカウンセリングをオススメします。

限定鯖? 福袋があるじゃない^^

リプライとRTに明らかな民度の差があった

ただ、こういった大喜利の内容以上に興味深かったのはリプライとRTの内容の差。上記のとおりRT先をすべて見たわけではありませんが、絶対数比率ともRTのほうが政治家を侮蔑したり、元ツイのアカウントを悪しざまに言ったりする内容が多かったのです。

考えてみれば納得のいく話で、リプライは元ツイを見に来た人の目にさらされます。
元ツイを商品、元ツイのアカウントを提供された店とするならリプライは「こちらでお召し上がり」になっているようなもの。当然リプライをする人たちにそういった自覚はあるので、角の立たない話が増えているのでしょう。

対するRTは「お持ち帰り」。続けて“>RT”の形でなにをつぶやこうが、わざわざ見に行かなければ元ツイ主や元ツイに興味を持った人の目には止まりません。
持ち帰っているからこそ、こちらでお召し上がりになっている人に比べて、ケチャップをぶちまけたり「あの店、感じ悪い」と文句を言ったりする人が多いのでしょう。

安定のアニメアイコンだからこそ信用できる

また、上記のようにさまざまな反応が見られたなか、アイコンによって反応の傾向に差があることも見えてきました。

とくに『ポケモンGO』よりの反応に偏っていたのは、アニメやゲームのファンアートをアイコンにしているアカウント。オタク系コンテンツを楽しむだけでなく“作る”、もしくは“作ってもらう”までしているなら“こっち側”の人間だというのは納得の話です。

しばしば“安定のアニメアイコン”という表現が侮蔑的な目的で使われますが、このようにアニメアイコンだからこそ安心できるというケースもあります。ファンアートをアイコンに掲げてオタク系活動をしているなら、そのスタンスを崩さずにいることで誰かを安心させる可能性があるということは心のどこかにとどめておいてもらえれば。

同じようにアニメやゲームの公式画像をアイコンにしているアカウントも『ポケモンGO』寄りの反応ばかりかと思っていたのですが、こちらはファンアート勢に比べるとやや政治寄りの反応が多い印象。とくに古く(大体15年以上前)メジャーなタイトルの公式画像を用いているアカウントのなかには、目に余る内容ばかりをつぶやいているものも見られました。

少々判断が難しかったのは、コスプレ系。コスプレ画像をアイコンにしている人は“こっち側”の人間なのですが通知で見られる小さなアイコンでは、ものによってはコスプレ画像なのか、他人をアイコンにしているのかの判別がつきにくいこともあり。そして、任意の他者をアイコンにしているアカウントの方向性なんて、誰をアイコンにしているか判別がつかない状況で見えるわけがありません。極端な例ですが、特定の政治家を誹謗中傷するためにその政治家の写真に落書きをしたアイコンが使われていることもあります。

自分は作品に愛のあるコスプレ活動は大歓迎なのですが、通知で見られるサイズのアイコンで“こっち側”だとアピールする性能に限っては、ファンアートに一歩譲る印象を受けました。

アイコンを変えろ! というのは暴論ですが、オタクに対して“こっち側”と安心してもらうならアニメやゲームのファンアートがベストでしょう。
自分のアカウントはわさびラムネをアイコンにしていますが、改めて客観的に見るとお堅いアカウントではないだろうという点は想像できてもゲーム寄りのアカウントとアピールする能力は皆無。
今回の件を踏まえてより“こっち側”感の強いものにアイコンを変えるのもアリかと考えたしだいです。

最後に宣伝ですが、ゲームライターマガジン2020年上半期の単行本版が販売中。『ポケモンGO』の話は確か誰もしていなかったと思いますが、ゲームをテーマにした話が90本詰まって480円。過去の無料記事などを読んで、気になった方は手に取ってみてください。



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