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大虎の泣く子も黙る小説小噺

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2020年4月の記事一覧

#9 プロシア士官/D・H・ロレンス

D・H・ロレンス/井上義夫 訳「プロシア士官」(ちくま文庫『ロレンス短篇集』収録)

いわゆるゲイ小説として有名な作品。確かにその性的傾向はそうなのかもしれない。そこも読みどころではあるが、それ以上に、恋愛感情を持つすべての人が感じるあるあるを描いているように思う。関係性の距離感と綱引きがたまらなく胸をかきむしる。なぜなら、それはあるあるを描いているのみならず、二人の大尉と従卒の心の奥の襞のような

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