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リセッション(不況)におけるカスタマーサクセスの影響と変化

https://blog.allstarsaas.com/posts/podcast-cs

こちらのpodcastを聴きました。ALL STAR SAAS FUNDの発信はいつも参考になります。

以前出演もさせて頂いたこともあったので、自分だったら何を話すかな…というのも考えながら聴かせて頂きました。

神前さんはVCなので、コンテンツの趣旨としては、マクロ経済のリセッションによるカスタマーサクセスの影響が知りたい様子でした。

これ関する私の私見をnoteに述べます。

不況による無駄アカウントの解約

私の考えとしては、リセッションはSaaS企業ならびにカスタマーサクセス活動にかなり影響していて、まず重要課金モデルに対して、顧客側が費用の見直しを図っているのは事実としてあると思います。

これは、例えば、1アカウント1,000円だった製品で従業員500人使うとして、本当は50人くらいは使ってないし、アカウントもいらないんじゃないの?みたいな話です。

その未利用アカウントの発見するためのSaaS管理ツールのようなものも出てきています。

従量課金を減少させたい導入企業と、それを防ぎたいベンダーのセールス/CSの戦いはすでに始まり出しているのかもしれません。

バリューベースの価格(プライシング)設計の必要性

また、SaaSに限らずマクドナルドなど日常消費財でも単価が上がっていて、SaaS企業側も値上げのための価格モデル設計を意識しないといけないフェーズになってるように捉えています。

スタートアップの場合は、アーリー期の場合は経営者/VCか、ミドル以降であれば経営企画の担当が価格と向き合うことを余儀なくされているのではないでしょうか。

podcastの中でも話が出ていたのですが、マルチプロダクトや従量課金による社あたり単価向上はもはやSaaS企業にとって重要な経営戦略になっています。

山田ひさのりさんのおっしゃるようにプロダクト価値をベースにしながら、バリューベースのプライシングを適切に設計していくことが重要です。

このバリューペースプライシングは、キーエンスの価格設計ロジックを参考にするといいでしょう。

書籍も出ておりますが、キーエンスは原価や市場価格ではなく顧客に提供できるバリューの大きさからプライシングを決めています。

時には市場価格の5〜10倍近くの製品単価になることもあります。

しかし、その製品価格を待ってしても、費用対効果が出ている、つまり効果=バリューが十分なものであれば、そこに費用が割かれることは自然なこと。

キーエンスはその先駆者です。
キーエンスの価格設計モデルはSaaS企業にとって必読になりそうです。

デジタルカスタマーサクセス=テックタッチの需要が旺盛に

リセッションにおけるカスタマーサクセスの1番の影響は、SaaS企業のテックタッチ意欲が明らかに旺盛になったことです。

openpageはテックタッチを実現できるプロダクトとして2021年頃にβ版をローンチしていました。

しかし、当時はPMF前のSaaS企業が多く、かつSaaS企業に対して資金が潤沢に集まったのでハイタッチ CSに割ける資金余力が十分にありました。

そこで、デジタルなカスタマーサクセスという概念はあまり評価はされていませんでした。

しかし、SaaS企業の資金獲得が困難になり、ハイタッチの人件費を渋る動きが出始めています。

これに伴ってテックタッチの需要が急拡大しており、現在、openpageの目先の導入数は伸びています。

そして、米国では「デジタルファースト」がカスタマーサクセスのトレンドです。

従来テックタッチはSMBのフォローアップ施策の印象でした。

しかし、デジタルファーストの潮流から、すべての顧客に対するベースメントサービスのようにテックタッチを扱おうという動きがあります。

米国の潮流はほぼ同じ内容がそのまま日本にも流れてきます。

ですので、日本でもデジタルファーストなカスタマーサクセスは重要な取り組みになっていくでしょう。

エンタープライズ企業に対するポストセールス強化

ポストセールス強化の動きは明らかに盛んになっています。

超エンタープライズが顧客の場合は、カスタマーサクセス施策というよりは、IS/FSもタッグになって動いている印象もあります。

元々SmartHRも超エンプラ企業にはISもフォローアップしたりしていたようです。

これは、関係者が多く、1人のCS担当だけではすべての関係者をフォローアップしきれないからです。

カスタマーサクセスだけに契約拡大を委ねずに、部門の垣根を超え、タッグを組んでポストセールスを担うような動きはあるでしょう。

実は自分も、ビズリーチに在籍した頃は、ロイヤリティや平均売上が高い顧客に対するポストセールスのチームを組閣化して、動いてもらうような仕組みを社内提案していました。

上場前後のSaaS企業を中心に、NRRを高めるためのポストセールス体制をどう作っていくか、カスタマーサクセスがどこまでその役割を担うか?

各社の動きを注目したいところです。

カスタマーサクセスの営業スキル拡張

この営業強化のトレンドにのって、カスタマーサクセスの営業スキル獲得、というのも大事になると私は予想しています。

セールスに関して調べたり、実践したりするほど、実は、カスタマーサクセスは営業職とかなり相性がいいことが分かってきました。

なぜなら、セールスとは、顧客候補に対して、カスタマーサクセスの未来や可能性を提案するものです。

つまり、この製品を使えば、このような機能があり、こう運用する。導入後はこんなステップを踏んで、こう成功できる。この製品の成功の可能性は高い、なぜなら弊社ではこんな支援をして、こんな事例があって・・・

といったことを製品未利用の顧客に提案するのです。

この提案内容は、もしカスタマーサクセスの経験者であれば、すでに複数の顧客に対して、再現性を持ってプロダクト価値を届け、成功させた実績があります。

つまり、信用されるトークがしやすいのです。

むしろ、カスタマーサクセスを軸にセールストークを組み立てたほうがいい、くらいに私は思っています。

しかし、カスタマーサクセスの人のセールスに対する興味、そしてセールスの人のカスタマーサクセスへの興味、という点ではかなり断絶があるように思えます。

このセールスとカスタマーサクセスの架け橋になるような活動を、openpageは2023年やっていきたいと思っています。

営業と CSが連動する、価値に基づくカスタマーサクセスセールス

リセッションの影響は、SaaSの利用を渋るという方向だけでなく、促進するという方向もあるなと、SaaS企業を経営していると感じます。

なぜなら、SaaSは人の業務を効率化するものなので、原則は人件費を削減するものです。

ですから、不況によりリストラを進めたい会社に対しては、正しいカスタマーサクセス提案を行えば、むしろSaaSの受注は増えるはずです。

米国では、2023年のセールストレンドとしてバリューセールスが流行になっているようです。

これはわかりやすく言うなら「カスタマーサクセスセールス」です。

バリュー≒カスタマーサクセスに基づく営業提案を行う、という話です。

すでに製品機能の紹介だけでは買い渋りが発生している米国企業では、業務効率化や人件費削減効果を明確に説明して、バリューを明らかにする。

「バリューベースセールス」のスタイルが流行り出しています。

日本も、このバリューベースのセールス、カスタマーサクセス的な営業、具体的なROIや価値を明確に提案するような提案スタイルが必要とされてくるはずです。

そして、この提案のスクリプトの中心になるのはカスタマーサクセスの過去の成功支援の実績やノウハウになるでしょう。

その意味でも、カスタマーサクセスとセールスは分断してはいけず、互いに協力して、カスタマーサクセスの可能性や価値をより具体的に話せる営業体制を作っていかなければなりません。

まとめ

まとめますと、価格設計、テックタッチ、エンプラ向けポストセールス、カスタマーサクセス観点のセールス体制構築といった、これまでのカスタマーサクセスのplaybookやノウハウにはなかったような取り組みが、不況の影響で求められてきています。

もちろん、従来のカスタマーサクセスのオンボーディング業務や、チャーンレートを塞ぐ契約更新の営業、問い合わせに対するサポートなどは無くなったわけではありません。

つまり、考えることややるべきことは増えており、カスタマーサクセスの負担を増えています。

弊社openpageでは、カスタマーサクセスの工数を劇的に下げるプロダクトや、カスタマーサクセスとして最大の価値が発揮できるようなコンサルティングサービスを展開しています。

カスタマーサクセスにお困りの方はお気軽にホームページよりお問い合わせください。