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カスタマーサクセスという職種とは?他職種との比較から職種の輪郭を掴む

Googleで「カスタマーサクセス」と検索をすると、複数キーワードのサジェストとして「カスタマーサクセス」「職種」と表示がされます。

これは思うに、

●カスタマーサクセスという職種が新しいため、どのようなものかわからない
●別職種からカスタマーサクセスに転職をしたいが、出来るかわからない

という感情から、「職種」を知りたいというニーズがあるのでしょう。

カスタマーサクセスとは、一見わかりにくい職種です。
このわかりにくさの要因は、カスタマーサクセスの職種において「必要なスキルや業務、目標」が多岐にわたるからです。

そこで、本記事では、カスタマーサクセスと関連する他職種と比較をしながら、カスタマーサクセスという職種の輪郭や全体像を掴むことを趣旨とした内容をお伝えします。


カスタマーサクセスは他職種と関連している

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まず、カスタマーサクセスは日本ではここ2~3年で生まれた職種のため、ほとんどの方は、別職種からの転職としてカスタマーサクセスの職種に就いています。

そのため、組織によっては「営業に近しいカスタマーサクセス」「カスタマーサポートに近しいカスタマーサクセス」といったように、同じカスタマーサクセスといってもバックグラウンドに偏りがあります。
そのため、カスタマーサクセスという職種を理解するには、他の職種のスキルや仕事内容を知るとより理解が深まります。

次に、各職種の概要を説明しながら、カスタマーサクセスとどの点が近しいのかを解説します。

職種① カスタマーサクセスと営業

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まず、営業職とは何かを説明します。
営業においては、「契約を受注して会社の売上を立てること」が最重要の目標となります。
契約を受注するためには、営業が顧客に働きかけ、顧客を動かして契約を取る必要があります。そのためのフレームワークとして、質問をして顧客の心を動かすSPINや、顧客の状況を把握するBANTなどがあります。

この、顧客に働きかけて契約を取る、という取り組みはカスタマーサクセスにおいても同じです。上記のSPINやBANTといった手法を用いて顧客に働きかけ、顧客を動かしていくというアプローチは、カスタマーサクセス職種の方が営業職から学べる点が多くあるでしょう。
カスタマーサクセスは営業であると言い切ってしまう方もいらっしゃるくらいです。

従来の営業職との違いとして、従来の営業は製品を全く知らない、ないし少し知っているような状態で商談をスタートします。しかし、カスタマーサクセスにおいてはすでに受注しており、顧客が製品をある程度触って結果を確かめた後に商談が始まるという点で違います。

職種② カスタマーサクセスとマーケティング

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マーケティング職種においては、まだ自社や製品を知らない顧客候補の方に対して、認知・理解・購買意向といったものを高めていくことが主目標としてあります。BtoBマーケティングにおいては、リード数やサイトPV数、指名検索数やUGC数などの指標向上が求められます。

そのためには、顧客と接点を得られるチャネルを探し、メッセージづくりをする必要があります。メッセージを作るうえでは、どのような対象に対して、どの立ち位置で、何を伝えるかを複眼的な目線で考えながら、最適なものを作ります。そのためにSTPや5フォースといったフレームワークが古典的なものとして有名です。

カスタマーサクセス職種においても、この「チャネル」や「メッセージ」という観点が求められます。
例えばGainsightは顧客とのコミュニケーションをハイタッチ、ミドルタッチ、ロータッチで示していますが、このように対象となる顧客に対して、どのようなチャネルで何のメッセージを伝えるかを考えるのもカスタマーサクセスの仕事です。

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以前に私が書いたnoteの記事に、Salesforceのカスタマーサクセスの全体像を掲載しました。電話、メール、セミナー、オンラインコンテンツ、コミュニティなど多様なチャネルを通じて顧客にコミュニケーションを取っていることがわかります。

職種③ カスタマーサクセスと開発

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開発職種とは、エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャーなど製品開発に携わる職種を指しています。
開発においては、製品の機能が利用されているか、利用後に期待する成果が出せているか、不要な工数や負担なく利用できるかといった観点で、製品を改善しています。
新しい機能や、機能改善においては、ICEスコア(ないしは自社オリジナルのスコア)で優先度をつけ、かんばんボードで管理しながら、アジャイル開発を行っている組織が多いと思います。

カスタマーサクセスは顧客と近い距離でコミュニケーションを取っていることから、プロダクト開発においてのVoC(顧客の声)を共有するため、開発プランニングMTGへの参加などを行う例も聞くようになりました。

「プロダクト開発に興味がある」というカスタマーサクセス職種の方は私の周りにも多く、2020年はプロダクトマネジメント関連の書籍も充実してきましたので、このようなカスタマーサクセス-プロダクト開発連携は一層進んでいくと思います。

職種④ カスタマーサクセスとカスタマーサポート

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カスタマーサポート職種はカスタマーサクセスよりも前から存在していた職種で、カスタマーサポートを経てカスタマーサクセスに転職する方も増えています。
カスタマーサポートにおいては、電話・メール・チャットなどにおける問い合わせに対して、顧客に不満な体験をしないようスピーディーにお応えし、問題を解決することが求められます。

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国外企業のInsided社は、カスタマーサクセスの成熟度モデルとして、カスタマーサクセスの前にまずカスタマーサポートを整備すべきと説いています。私も概ね同意です。

カスタマーサクセスとの職種としての共通項は、顧客の話を傾聴し、問題解決をする丁寧なコミュニケーションスキルが求められることです。

カスタマーサポートとして一部用いられる心地よいコミュニケーションのスキルとして「NLP(神経言語プログラミング)」のテクニックもあり、興味があるカスタマーサクセス職種の方は勉強してみてもいいでしょう。

職種⑤ カスタマーサクセスとコンサルティング

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契約後の顧客に対して、課題解決を通じてフィーをもらう、という観点ではコンサルティング職種が先駆者です。
コンサルティングにおいては、顧客の経営課題解決に向けて、何が課題になっているかの調査や仮説検証、解決に向けてのロジック作りが求められます。
私自身はコンサルティング業務の経験はありせんが、知人からは徹底的にフレームワークやロジカルシンキングを叩き込まれると聞いております。

カスタマーサクセス職種においては、あくまでプロダクトが主であるものの、製品を通じた顧客のコンサルティングのような業務が発生します。
会社や組織の問題を見つけ、解決の方向性をまとめ、組織を動かしていくという取り組みを学ぶには、三枝匡さんの書籍を読むことをオススメしています。三枝さんはBCGに日本人初のスタッフとして入社している方で、BCG流のキレのあるフレームワーク活用や、戦略を作って組織を動かすダイナミズムを学ぶことができます。

まとめ:カスタマーサクセスという職種は…

カスタマーサクセスを他職種と比較して気づくことは、「カスタマーサクセス自体は新しい職種であるものの、近しい職種はすでに歴史がありノウハウが開発されている職種である」ということです。

そして、カスタマーサクセスという職種を通じて、様々なポジションのスキルの入口を開くことができる。カスタマーサクセスは知的好奇心を満たせる贅沢な職種である。と私は思っています。

ですので、カスタマーサクセスに興味のある方は、どんどんカスタマーサクセスに転職してきてほしいです。
また、現在カスタマーサクセス職種の方は、共に幅広い職能スキルを学んでいきましょう。

おわりに

お読みいただきありがとうございました。
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藤島 誓也:Twitterアカウント
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