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エロイカジャパンその後

その翌日

ゴールした後、宿にもう一泊して、翌日9時に帰還の途についた。
東名高速から圏央道を経て、10時50分ごろに無事帰宅。
しかし、のんびりはできない。
12時までに動物病院のペットホテルへ四国犬の竜と紀州犬の剛を迎えにいかねばならないからだ。
クルマから自転車と荷物を降ろし、代わりに大型犬用のケージを二つ積み込む。
また、家中を見回って異常がないか確認した。3日間完全に留守にしていたからね。見回ったところ異常なし。尤も拙宅にそもそも金目のものなんかないのだが…。
少し時間的な余裕があったので、冷蔵庫で冷やしていた炭酸水を飲んで一服。ここはビールと行きたいところだったが、ペットホテルまでクルマで行かなくてはならないので、ガマン。
11時40分に自宅を出発、12時5分前にペットホテル着。
諸手続きをして、竜と剛をケージに入れてクルマに乗せた。
3日間、何か阻喪をしでかしてないかと不安だったが、ペットホテルを経営されている獣医さんによれば、おとなしくて人懐っこいので、手がかからなかったと言われた。
「来年も宜しく御願い致します」
と告げて一路自宅へ。
よかった。誰かを噛むとか人畜に被害を及ぼさなくて本当にほっとした。
日本犬は何かと風当たりが強いからね。

帰宅した2頭。飼い主にべったり

帰宅後、室内で犬たちを少し休ませた後、庭に放し、自由運動をさせた。この日は夜まで強い雨が続くようだったから、散歩はあきらめ、庭で自由に暴れさせることにした。
自由になった犬たちは、庭をぐるぐると全力疾走してストレスを発散。
筆者はというと、玄関の庇の下で自転車を洗う。
今回は、海沿いを走っているので、なるべく早く洗車して塩分を除去したい。
洗車は、レース等で一般に行われているもので、カーシャンプーで自転車全体を洗い、水で濯ぎ、ウエスで水分を大まかに拭き取った後、エアコンプレッサの高圧空気で残った水分を吹き飛ばすというもの。
洗車の詳細については後日紹介したい。

洗車が終わってエアコンプレッサを片付け、きれいになった自転車と、整備台等の機材を撤収したら、犬たちを収容。
散歩には行けなかったが、庭を全力疾走でき、俗に「ワンプロ」と称される軽い取っ組み合いもできたので犬たちは大満足。呼ぶとすぐに駆け寄ってきて、おとなしく家の中に入った。
家に戻った犬たちには食餌を与える。
ペットホテルでも十分食べていたそうだが、落ち着ける我が家は安心できるのか、2頭とも普段以上によく食べて満足気。

自転車を洗った後は、クルマで買い物に行くつもりだったが、今日はもうこれ以上運転したくなかったのでパス。
エロイカビレッジで買った全粒粉のパスタがあるので、これをアラビアータソースで食い、家にあった赤ワインとブランデーで無事完走の祝杯をあげた。全粒粉のパスタはなかなかに美味しく、これならまた食べたくなる。

全粒粉のパスタ
出来上がりはこんな感じ。食感は日本そばに似ている

それにしても、samsonはよく走ってくれた。まさに最後の大仕事。
これからは、こんな無茶な使い方ではなく、のんびりまったり走らせてやりたい。

大役を果たしたsamson。今後は大事に乗っていきたい

装備品の何がよくて、何がダメだったか

以上は、ゴール翌日の何てことない日常を綴ったもので、写真が少ないこともあって客観的には面白くも何ともないかも知れない。
以下は、エロイカジャパン参戦に際して、多少は益になりそうなこと、具体的には、装備品の適否について書いてみようと思う。

(1)GPS装置

サイコンは、出来ればGarminのようなGPS装置であることが望ましい。
GarminのEdgeシリーズであれば、速度、距離、心拍、現在位置、高度、及び勾配等を表示できる。特に高度と勾配は重要で、今回のsamuraiで筆者は勾配を見てシフトをし、少しずつ増えていく高度の値を励みにして激坂を上った。
問題はGarminのEdgeシリーズは電力消費が激しく、しかも筆者の520は7年間も使ってきたのでバッテリの劣化が進行し、フル充電でも数時間程度しか作動しないこと。
今回は、太陽光発電で23時間作動するというEdge540solarを導入した。

右が使い古したEdge520、左が今回導入したEdge540solar

このEdge540solar、13時間作動してバッテリの余力は47%だった。23時間作動可能という能書きに偽りはないらしい。
しかし、獲得標高の値は、少なめに出る傾向があるようだ。
Samuraiの公式獲得標高は3900m近いが、ゴールした際にEdge540solarが表示した獲得標高は3500mほどだった。
同じような傾向は、Edge520、そしてそれ以前に使っていたEdge800等でも見られたので、これはGarmin製品全体の傾向なのかもしれない。

(2)チューブラタイヤ

チューブラタイヤはコンチネンタルのCompetition。
真っ黒で色気のないタイヤだが、本国で手作りされていて、製品の不具合が極めて少ない。性能的にも特に欠点がなく使いやすい。また、トレッドに埋め込まれた耐パンクベルトは強靭で、安心感がある。

Samuraiで酷使したが、まだまだ使える

欠点は、耐パンクベルトがタイヤを内向きに収縮させるようになっているので、リムへ嵌めるのが非常に大変であること、そして昨今の通貨危機的な円安のおかげで価格が高騰していることだ。

(3)チェーン

チェーンは着脱が容易なWippermann。
しかしこのチェーンは、着脱が容易なのみならず、プレートの内側が丁寧に座ぐってあって、チェンリングやスプロケットと過剰に干渉しないように配慮されている。
カンパやシマノの純正チェーンと比較してみたが、プレート内側の仕上げはWippermannの方がよい。マメに外して洗うことができる点からも、希少なビンテージパーツの寿命を延ばすことに資すると思われる。

Wippermannのチェーンの接続部。工具無しで着脱できる

(4)KOOLSTOPのブレーキパッド

カンパ純正よりも制動力は高いと思う。
カンパ純正よりも少し柔らかい印象で、耐久性は低いかも知れないが、カンパと完全互換なのはありがたい。

色がユニバーサルのパッドにそっくりなのも、好みが分かれるか?

(5)MKSのペダル

ペダルはMKSのSUPREME。競輪(NJS)認定品であり、MKSのフラッグシップモデルである。
とにかく回転がスムーズであり、ガタが全くない。日本製かつ現行生産品なので何か不具合があっても、メーカーが対応してくれる点も安心出来る。
何より、マッシブなデザインは、Cレコードのクランクによく似合う。

取り付けているストラップもMKSによる競輪(NJS)認定品。かつてのビンダ・エクストラと同じく、伸縮性のない補強材を革でサンドイッチした構造で、シューズをがっちりとホールドする

(6)シューズ

シューズはGiroのempireシリーズ。紐靴復活の嚆矢となった一品だ。
それにシマノの競輪用クリートを取り付けている。
エロイカジャパン参戦者の多くは、クリートなしのシューズを使っているようだが、筆者はクランク下死点付近を特に意識しながら、クランクが回る軌道を示す円の接線方向に足を引くペダリングをするので、この種の仕掛けがないとうまくペダリングできない。
この円の接線方向に足を引くペダリングは、ペダルを力任せに踏み込むペダリングよりも膝への負担が明らかに少ないので、samuraiのように激坂が連続する場面で優位であると思われる。

仁科峠で自転車を降りて歩いてしまったので、ソールが多少傷んだが、問題なく使える

以上が今回使ってみて有効と思われた装備品である。しかしながら、使ってみて宜しくなかった装備品もある。以下に、それについて記してみたい。

宜しくなかった装備品

(1)アイウェア

アイウェアは、イワキメガネのスポーツ用フレームに、度付きのクリアレンズを嵌めたものを使ってみた。
写真で見るように、このアイウェア、度付きなのにレンズが顔に沿って回り込むようになっていて、紫外線がフレームの脇から入り込まないようになっている。
しかしながら、度付きのレンズをこんな風に嵌めるのは光学上無理があったようで、視野にかすかな歪みがあり、これが長時間のライドではストレスになる。特に、下りで下ハンを握るために前傾姿勢を取ると、上目遣いでレンズを通して前を見るので、視野の歪みはより深刻。
そのせいで、下りは減速して慎重に下らざるを得ず、その脇を他のライダーが笑いながら抜いて行ったことが悔しかった。
やはり何かしら物理学上無理のあるものは使わないに越したことはない。

イワキのアイウェア。レンズが脇に回り込んでいて見た目はよさそうなのだが…
長年愛用してきたswansの度付きアイウェア。レンズを無理に回り込ませず、副フレームでレンズを正常な位置に固定している。やはりこれだな

以上、samuraiで使用した装備品について記した。
アイウェアは大失敗だったが、その他の装備品は、現時点では最適なものを選択して使用したと思う。

最後に

仁科峠の登りで、鬱蒼とした森を抜けて広々とした草原が視野に入ったとき、右手首付近に小さな傷が出来ているのに気が付いた。
「どこかにぶつけたのか?」
ぐらいに思っていたが、2日ほど経ってから、その傷口が赤く腫れ、むず痒くなってきた。
症状からしてブヨに噛まれたらしい。取り敢えず抗ヒスタミン剤の軟膏を傷に塗って様子見。ひどくなるようなら皮膚科に行くことにした。
それにしても、激坂に悪路、そして毒虫。仁科峠はいろんな意味で魔の山だったようだ。


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