鬼の手形とムカデ姫③

鬼の手形もムカデ姫も②で紹介し終えたけど、このまま行きます。

■16:40 石割桜■

巨大な花崗岩の割れ目から突き出た樹齢350～400年といわれるエドヒガンザクラ
国の天然記念物に桜が指定された場所としては盛岡市が日本最北端なのだそうだ

■16:44 盛岡城跡公園■

城めぐりも好きなのだが、今回はあまりにも時間がない

ここで見ておきたかったのは宮沢賢治関連の史跡だ。

岩手公園の碑
賢治が岩手公園について書いた詩を石碑に刻んだ

盛岡高等農林学校（現・岩手大学農学部）時代に下宿先で使用していた共同井戸がこちら

賢治の詩「ちゃんがちゃんがうまっこ」については後述する

井戸の水脈をボーリングしたものが現在も使用されている
実際に飲んでみた。冷たくてうまい！

実際に水を汲みに来ている人に話を聞くと、盛岡は水がきれいで飲み水には困ったことがないと。

「北上川の恵みですか？」と尋ねると「中津川だね」と言い直された。

北上川の支流にして盛岡市の中心部を流れる一級河川。失礼しました。

賢治はチャグチャグ馬コに関して詩を残している。

写真では読みづらいよね
しばしお待ちを

■18:29 もりおか歴史文化館■

時間は前後するが、先にこちらを紹介しておこう。

入口前の広場では8月開催のさんさ踊りの練習が行われていた
邪魔にならないよう、そそくさと入館

賢治作『ちゃんがちゃがうまこ』の全文はこちら。

チャグチャグは馬につけられた鈴の音色のこと
賢治は「ちゃんがちゃが」と記している

賢治が盛岡高等農林学校に通ったのは大正6（1917）年である。

昭和5（1930）年に秩父宮殿下がご来訪された折り、盛岡八幡宮で馬を勢揃いさせたところ、たいへん好評であったことから、翌年も行進を続けて恒例化した。

これが現在にいたる行事としてのチャグチャグ馬コのはじまりとされている。

実際には、それ以前から盛岡八幡宮詣では行われていたことが賢治の詩からうかがえる。

しかも、賢治はその様子を夜明け前に下ノ橋（※）で見ているという。

（※中津川にかけられた3つの橋の一つ）

鬼越蒼前神社から盛岡八幡宮までの約14kmの距離を約4時間半かけて行進するのが現在の形。

夜明け前にこの場所を通るためには、日付が変わると同時にスタートしなければならない。

ちゃんがちゃがと鈴を鳴らしながら。

一説によると、早く詣でた者にご利益があることから、競争の体をなしていたという。

そういう行進も見てみたいような気もするが、子馬ちゃんが眠くてかわいそうなので現状で（笑）。

館内にはチャグチャグ馬コ関連の展示も豊富
資料性もあって見応え十分である

■17:08 もりおか賢治・啄木青春館■

石川啄木は賢治の中学時代の先輩にあたる。

啄木『一握の砂』の出版は賢治にも大きな影響を与えている。

そんな二人が青春を過ごした盛岡の日々を記念して、この施設がつくられた。

旧九十銀行の本店本館として1910年(明治43年)に竣工された建物を利用
洋風建築が増えはじめ、盛岡の都市化が進んだ頃でもある

常設展示では啄木、賢治の中学時代を解説している他、略歴などのデータも豊富

直筆原稿
これ、読んだことないや

『雁の童子』か
ちくま文庫の全集に入ってるな
後で読もうっと

この日行われていた企画展が「賢治の童話・絵本展」

出版された童話や絵本の数々が展示されている

絵本を実際に手に取って読むこともできる

好きな童話ランキング
1位は『注文の多い料理店』
ブラックユーモアだしオチも効いてる
『よだか』は6位かあ

いいもの見せてもらった。

花巻にも行かないとなあ。

［盛岡編ラストは志波城。鬼の手形とムカデ姫④につづく］