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山にもらったこと 「きっと、神様たちの運動場」〜平ヶ岳編〜

「大丈夫だよ、プリンスロードがあるから」
“百名山最難関?”で知られる平ヶ岳に誘ってくれた山友ダンディさんが、
怯む私にそう言いました。
登山口に辿り着くまでも、新幹線とバスと船!を乗り継いで1日がかり。
山中には小屋など一切なく、テントを張ることも許されていないから日帰り必須、往復12時間の山行。日本百名山の著者・深田久弥氏が当時(60年くらい前?)登頂までに3日を費やした、という山なのです。

で、プリンスロード。なんでも登山好きの天皇陛下が、皇太子時代にお忍びで登られた際に使われた、魅惑の登頂最短ルートなのだとか!今は下々にも解放されているらしく、一般登山口からだと山頂まで7時間かかるところを、3時間で行けるというのですから、だったら登りたい!ということで、秘境への旅となりました。

奥只見湖を船で渡って!

1日目は正規ルート?の登山口近くの民宿にたどり着いて終了です。

翌朝は4時起きで、プリンスロード登山口へ。宿の軽トラで送ってもらうのですが、もしかして普通に登った方が楽だったんじゃ?と思うほどの凄まじい悪道を1時間近く揺られて・・。いやいや、気を取り直して、さあ、最難関の山へ出発です。

うーん、さすが、宮様の御脚を煩わせないための山道。楽というほどではないけど面白みのない山道で、正直なんの印象も残っていません。が、狭くて急登の林道を登り切った先にあったのは・・!

一体どれくらいの広さなんだろう?奇石「たまご岩」のある湿原から始まって、その名の通り、平たく、悠々と広がる、天空の草原。

ここは、人間の場所じゃないな。神様たちが時々降りてきては、ピクニックしたりボール遊びしたりするための場所なんだ・・などと、たわいない空想を胸に抱きながら、聖なる運動場をぐるぐる周遊します。

なぜか、山頂標識が立っている箇所だけおそろしくそっけない。これも、神様たちにとってはここの頂上などどうでもいいからだな、と。

帰りはプリンスロードをピストンせず、正規ルートを下ることに。
これがもう、キツかった!登り返しの激しい痩せ尾根が延々と続き・・。
陽を遮る木々もなく、これ登ってくるの無理やったわ〜、と、プリンスにつくづく感謝。

5時間をかけてようやく、人間の居場所に到着です。
さっきまで目の前にあった光景は、幻だったのでは?そんな思いに駆られる
夏の夕暮れでした。

@2019/8/11

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