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思い出ファーストという奇跡

乃木坂46に「思い出ファースト」という曲があります。2017年5月に発売された3rdアルバム『生まれてから初めて見た夢』に収録された、3期生による楽曲です。

乃木坂46の歴史で見れば、そこまで重要な楽曲ではないでしょう。何曲もある3期生曲の1つでしかないし、センターを務めた大園桃子の代表曲というわけでもありません。

それでも「3期生」にとっては特別で、本当に大切で大事な曲です。彼女達のLINEグループの名前が「思い出ファースト」であることからもそれは間違いないでしょう。

もちろん、3期生の代表曲といえば「三番目の風」だと思います。彼女達が初めてもらった、間違いなく大事な1曲です。

三番目の風は、全員で一丸となってアイドル界に風を起こしていこう、そんな強い意志を感じる曲です。「観測史上最大風速 初めての存在になろう」「一人じゃ無理でも さあ力を合わせるんだ」歌詞の通り、まさに有言実行、3期生の5年間は12人全員で、とんでもない旋風を巻き起こし続けた5年間でした。

その一方で、今回のメインである「思い出ファースト」は12人だけの愛と優しさに溢れた世界観を歌っています。振り付けも、強い意志を感じる「三番目の風」とは違い、皆でワチャワチャしている可愛らしい振り付けです。だからこそ、12人の中だけで、ずっと大切に大切にしてきた曲なのでしょう。

そして、楽曲発表から約4年後の
2021年9月4日にMVが公開されました 

この日は3期生5周年の日
そして、彼女達にとって初めての卒業生であり
この楽曲のセンターである
大園桃子のアイドル最終日でもありました 

本当に本当に本当に素敵なMVでした
「青春」や「感動」のようなよく耳にする言葉で表現してしまうことを躊躇するような、12人しかいない、12人のためだけに用意された美しく儚い、最高の作品でした。思い出ファーストという曲を表すだけにはおさまらない、「3期生」という素敵な物語のラストにふさわしい作品でした。

MVの後半部分は大園桃子の卒業にフィーチャーした内容となっていました。卒業関連曲を持たない大園にとって、このMVがその役割を持ったように思います。しかし…本来であればこれはおかしなことです。だって、この曲4年半も前に発表された曲なんですよ。卒業のその字もないような、デビューしたばかりの新人に与えられた曲なんですよ。

それなのに…歌詞が合いすぎなんです

わがままだけど好きだよ
愛とは 何があっても許すこと

切なさファースト
君と一緒にいられればいい
切なさファースト
他のことはすべて目を瞑(つむ)っているんだ
僕は それで構わない 
思い出ファースト
こんなところで喧嘩しない
思い出ファースト
ロマンティックな時間 過ごしたいんだ
君と ここにいる奇跡
思い出ファースト
いつか 振り向き
最高の夏だったと…

3期生という集団は
5年間ずっと一塊だったわけではありません

最初はお互いに分かり合えず衝突することもあったことを多くのメンバーが語っていますし、選抜とアンダーで別れて活動するようになってからは、3期生12人としての一体感は薄くなっていたように思います。

そんな時を経て、ここ数年は多くのメンバーが「3期生が揃えば無敵」と口にするようになりました。2021年5月に行われた3期生ライブは、それを体現する本当に無敵で最高のライブでした。

そんな5年間を経て聴く
「思い出ファースト」が
どうして、こんなにも刺さるのか
離れ離れになりそうな中で
彼女達を繋ぎ止めてきた
「思い出ファースト」が
どうして、最後の最後に響いてくるのか

これは「奇跡」としか言いようがありません。

誰が辞めてもおかしくなかったと言われながらも5年という長い年月誰も辞めなかった最強の世代、その中から一番最初に旅立つのが、この楽曲のセンターであり、どこか歌詞に出てくる「君」とリンクするような存在であった大園桃子であることもまた、奇跡のように思います。

三番目の風に始まり
思い出ファーストで終わる
思い返せば…ずっとそうでしたね

5年間という長い長い「最高の夏」でした

それでは
これからもずっと聴き続けてください

乃木坂46 3期生で
「思い出ファースト」





 






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