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書店員になった 2ヶ月め

本屋さんで働き始めて1ヶ月が経った。

就活が落ち着き、さあ何をやろうというところで私が最初に行ったことは、「近場の本屋さんにアルバイトとして応募する」ことだった。

理由は2つある。1つ目は、ずっと書店員になりたかったから。本屋さんという場所が大好きで、携わりたいと思っていたから。
本それ自体は勿論好きだけど、本屋さんという空間がそれ以上に好きだ。母にテストを頑張ったご褒美にコナンを買ってもらったこと。祖父に「好きな本を選んでいいよ」と言われ「若おかみは小学生」を選び、それ以来夢中になって読んだこと。新書の匂い、本を探す沢山の同志たちの姿、新しい世界。人生の中で常に本屋さんは私にとっての休息所で、きらきらした想い出と共にある。

2つ目は、新しい場所に飛び込む勇気が自分にあることを証明したかったから。就活を経て、自分がいかに新しい場所に飛び込むことに臆病で、逃げてきたかを思い知らされた。だから、周囲のコミュニティがなんとなく固定して、新しい場所に飛び込まなくともなんとなく生きていける、「大学四年生」という時期に、あえて新しい場所に飛び込んでみたくなった。
昔から、新しい場所、新しいコミュニティに加わることにひどくストレスを感じる。目の前のことでなく先のことを常に心配して、最悪の事態を想像し、どうしようも無いことで気を揉む。4月が苦手な理由だ。

新しい出会いに臆病になるのではなくて、ワクワクできるようになれたらどんなに良いだろう!そう思って、今までの自分を一旦脇に置き、三月末に書店に応募、面接を経て、4月の頭から働き始めた。そして今に至る。

結論から言うと、すごく楽しい!レジは未経験だったから頑張って覚えて、ある程度板に付いてきたように思う。売り場に出させてもらえることも増え、本の位置も少しづつではあるけど覚え始めてきた。お客さんの探している本を案内できることも増えた。一緒になって本を探して、見つけることが出来た時の感動を人と分かち合うことが、こんなに嬉しいことだとは思ってもみなかった。
本にカバーをかける時、見た目が綺麗になるようにピチッと折り目をつけつつ、本を傷つけないようフワッと巻く時の感覚が好きだ。綺麗にカバーがかけられた時、本に魔法をかけられたような気がして嬉しくなる。本を大切に扱うことが出来たことに、嬉しくなる。

私の働いている本屋さんには様々な人がやってくる。車椅子の方、吃音症の方、耳が聞こえない方など、これまで関わったことの無い方々に接客を行い、その度に私自身の認識の浅はかさ、配慮の難しさを思い知らされる。ありきたりな言い方だけれど、もっと色んな人と関わって、世界を広げて、その上で自分の考えというものをしっかり持ちたい。地にどっしりと、足をつけて。

来年の4月には就職してしまうので、書店では1年ほどしか働くことができない。そんな中でも雇っていただいたことに感謝しつつ、残りの期間、憧れの書店員になったことを噛み締め、今日も働く。

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