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大東紀行 2023/1/27

昨晩ビストロで耳にした寒緋桜の公園にも興味そそられたが、老母の体力を思えば今日は宿から空港へ直行だろう。
10時にチェックアウトして、モノレール美栄橋から起点、那覇空港を目指す。

先頭の席に坐れてご満悦の老母

昨日母が購入したOKIKAもこれでチャージ分をおおかた消費する。

相互利用でなく、片利用だから本州に帰ったら残額の利用はできないけれども旅の思い出としてはそれでもよい。(わしたショップで使えたりしたら、でも面白い)

風強し

モノレールの高架を、まくられるような風が抜けていく。欠航した「だいとう」から変更したRAC機は無事北大東まで飛ぶのだろうか?

島での宿はくいっぱぐれのないようすべて朝夕食付にしてある。自分ひとりならカップ麺と日持ちのするパンでも用意しておけばどうとでもなるが
老母連れでそれでは済まない。夕食のタイミングも早かろうから、昼は軽めにしておかないと。

空港運営会社直営の食堂に入る。職員区域にも別に食堂があるんじゃないかと思うが(でないと整備スタッフなどがゴハン食べづらい)。
空港職員、乗務職であろう制服姿もちらほら。そば(小)を食べているとゴーヤーチャンプルー定食を持て余した母が残りを寄こしてくる。
このためにも自分の腹は空けておかねばならぬ。年寄り連れは幼児連れにも似た旅になってくる。

離島便は搭乗がボーディングブリッジからではなくバス連絡となるから
制限区域内でも、ゲートが地上階となる。なぜかさくらラウンジもそこにある。「わざわざここまで来るの却って面倒では…」

那覇空港28番ゲート

与那国行きが1時間以上折り返しの機体待ちとなっており、地上階ゲートは坐りきれない人の姿も目立つ。
しかし北大東行きは定刻就航となり、すんなりとゲート通過、バスへ導かれる。
ボンバルディアQ400、タラップが低いので八丈でのANA乗り降りを考えればむしろラク。

ドアをオープンするとそのままタラップに

旅客のみだと70以上シートが設けられる機体だが、貨客混載としCAひとり乗務とするため50シートとなっている。
ゆったりとしたシート配置。東京から那覇までの行き来はスカイマークとジェットスターだから余計にこのゆとりがうれしい。「おじゃりやれー」のご挨拶からランディングまでがあっという間だった。

プロペラのちょうど前の席でした

空から眺める海は冬場の黒潮ほどうねうねした波、立ってはいない。
島の周囲、白波は東海岸にみえるので「へぇ、東風なのか」と思う。

空港には今晩の宿、ハマユウ荘の送迎マイクロバスがついていた。
島外からのメンテナンス業者さんぽい一団が重そうな預け荷物の受け取りに時間を要している間、マイクロバスに乗り込んでぼんやりと前の路上を眺めていると、北大東村役場のクルマが一台、いましがた空港へ降り立った女性をふたり乗せて走り出していく。巡回保健師のペアだろうか。
そしてそのクルマがダイハツタントなことに軽く衝撃を受ける。
空港駐車場の、ほかのクルマを見渡してもスズキエブリィが一台もいない。
エブリィのいない島。え、カネモチ??
島らしく風は強いものの湿度は低い。このマイクロバスにもカビ、錆が一切見当たらない。

ハマユウ荘はモダンなコンクリート打ちっぱなしのデザインだった。
一応、株式会社の名前になっているのだがこれは公共のカネ入っているでしょう。
フロント付近を観察しているとウルグアイラウンド関係の補助事業云々とある。
たしか中曽根政権時代の話だからざっくり30年前?それにしては建物のメンテナンスが異様によい。

この日はシングルルーム×2となるとのこと。那覇の宿がそれぞれツインで、年寄りの夜中の就寝に気を遣った。今日はちょっと羽を伸ばせる。
大浴場が17時からというので、それまでの小一時間周辺をひとりで散策する。
緩い坂を下っていくと、役場や小中学校や診療所、JAの金融窓口とAコープが見えてくる。
まいばすけっとくらいの規模のAコープの品揃えはよく、船が入った日でないのに牛乳と卵がある。
あらかじめ予約注文している人が多いようだがパンもある。
片隅にウチカビ(墓前等で燃やす紙銭)、ヒラウコー(沖縄独特の太い線香)があり、移住してきても沖縄系のひとびとが祭祀を執り行っていることがわかる。
小中学校のフェンスには部活動の県大会の表彰横断幕があり、中学生の名前を重なりを除いて数えていくと8名いた。
人口600名の島に、中学生が最低でも8人はいる。スゴイ。
みな沖縄姓。沖山とか奥山とか菊池とか山下とか見かけないので、八丈ルーツの家はもうあまりないのか。
県内から家族で転勤してきている公務員家族かもしれないが。
宿の入口にはクリーニング屋があり、ちょうど島民が入店するところだった。自社のリネンサプライと兼ねて、ということらしいが人口600名でふつうはクリーニング屋成立しないからこれにも驚く。

今回の旅で唯一の大浴場(といっても3名くらいのキャパだが)で手足を伸ばして入浴。
部屋に戻ると、待ちきれない母からの「早く食堂へ」の電話が。
「夕食18時から」なんだから目の前の食堂、18時にいけばよいのだが、昼寝のあとで退屈しているらしい。

来るなりそうそうここでレンタカーを借りて仕事を始めているらしかった業者さんたちは食堂には現れず。得意先とどこか懇意の店にいっているのかもしれない。
居酒屋は数軒、あるようだから事前に押さえておけばいけるのだろう。帰りの足を確保せねばならないが。
この食堂で働いている人、この宿のフロントで働いている人たちはどことなく出稼ぎの印象がある。

味噌汁がまたワイルドなまでの豚汁だった。どーんと肉塊入り

宿泊者用の夕食は想像のとおりボリューミーで、大東寿司のオプションもあるらしいのだがとてもそれだけのキャパが自分の胃にない。メニューにはつまみもありいろいろと非常に気になる。惜しい。
母は島特産の「ぽてちゅう」(ジャガイモ焼酎)を所望したが、昨年はジャガイモが不作で品切れしているとの由。
泡盛をあまり好まない母は、れんとのお湯割りなんぞを追加注文して吞んでおる。全国的な大寒波のなか、最高気温で20度くらいはあるのだが、湿度の低い風が抜けるので温まりたいのだろう。

《続》


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