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飢餓海峡巡礼、天売、焼尻。2023/6/22

ふだんは朝食というものを摂ることほとんどないのだが、船内のレストランを覗くとこんなセットがあった。

朝粥定食500円。白粥、万が一船酔いしてしまったとしても喉を通るのではないか。
日本海で、アネロンも服んでいる自分にそれはないが、気持がそそられた。

ちょっとしてから朝風呂へ。共同シャワーのみのシェアハウスに住んでいるから、入れるときには入っておこうという根性になる。
少々熱めなので、湯船にでたり入ったり。好きな人にはサウナもよかろう。

新日本海フェリーといえばなんといってもコレである。

ホールでの映画上映。昔これで「無能の人」観たなあ…と懐かしく思い返す。
ミニオンズと弱虫ペダルと、選べなかったので両方観る。
いつもならYouTubeをみているだろう人も、なにしろWi-Fiないのでこの映画上映に集まってくる。
コミック実写化の弱虫ペダル、なので主役はイケメンとならざるを得ない。走行シーンなど、懸命に撮っているのだけれども主人公がオタというところからこのストーリーははじまるのだから、イケメンじゃな…と2時間弱感じつづけていた。
ミニオンズ、みずから映画館に足を向けてまで視聴することはなかったろう。CG、いまの時代中途半端では気が抜けてしまうがそこは徹底しているし、主人公である少年の声を笑福亭鶴瓶が、噺家、芸能人としてのおのれを殺しきって当てているのに感嘆する。

30年前は船中2泊だったこの航路も高速化に従い所要時間、21時間ほどになってしまった。小樽着が朝の4時のところ夜9時前と。映画のあとこのまま泊まれるほうがなんぼかうれしいのだが、予定通りレストランへ直行。

「特製ビーフシチュー」の「特製」が気になってたまらない。

とろとろの肉塊はアタリな洋食屋のクォリティ。船のうえでこれはなんとも贅沢だ。1,400円なら陸でもお値打ちである。

そうこうしているうちにもう下船準備となる。名残を惜しみながら、下船口には一番乗り。ボーディングブリッジがかかるのをとくと観察する。

小樽フェリーターミナルを1着で飛び出すと、付け待ちタクシーが一台だけいた。
今日の宿は民泊。フェリーターミナル最寄の南小樽がまあ最寄駅ではあるのだが、あいにく内陸部でありバスを利用しようにも行程の半分くらいにしかならない。
2千円は超えなかろう、との見込のもとタクシー利用がベストと結論していた。
乗り込んだクラウンコンフォート、ナビがついてないのは地方でざらだが、じいさん乗務員は自分のスマホも開かず(連絡は無線でつけばよい、スマホなんて持たねぇ、ということか)わたしのスマホのGoogleマップをみてもピンとこないらしい。
なかなか発車しないタクシー、そこへ右手から黒い影が延びてくる。窓をたたく音、見知らぬおばちゃんだ。
舞鶴からのこの便は、当然関西人もたくさん乗せてきている。「でたっ」とそちらにはぜったい視線をやらない。
視界のはしで、ダンナさんらしき人物が必死に押しとどめている様子がちらり。「相乗りさせて~」リクエストだ。
タクシー待ちがこのご夫婦だけならともかく数人ばかりおり、しかも自分の真後ろで待っていたのは確か若い男性ひとりのはず。3、4人はあとだろう。
いったんクチをきいてしまったらどもならん。乗務員がかろうじて理解した「奥沢のセブンイレブン」に向けてとにかく発車してもらった。

セブンイレブンで飲物を調達したかったこともあり、そこでタクシーを降りる。めざす宿、ホーム安田はすぐ裏手だった。

看板ネコがお出迎え。ハチワレとクロネコである。
2階のお部屋で寝支度をしていると、扉をカリカリするものがいる。ハチワレのほうだ。開けてやると入ってきて、ラグでツメを研いだりして遊んでいる。
レーザーの猫じゃらしのオモチャで相手してやると、獲物と思ったか必死に床を掻く。その様子がなんとも愛らしい。
本人(本ネコか)が飽きたらでていけるよう、扉を10センチほど開けたままにしておいた。満足したのか40分くらいで帰っていった。

〈続〉


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