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20230624(下)

20230624(上)からの続きです。

 降り鉄に興じてばかりで無く、いい加減書き物もせねばと思って、慌ててパソコンを取り出してキーボードを叩いた。
 叩いていると、電車は川崎駅。今朝来た時に気が付いた、川崎大師線。ここをクリアすれば京急全線乗った事になるのでは無いかと、書き物をしながら大師線のホームへと。
 10分ヘッドだったか、15分ヘッドだったかで、頻繁に往来しているのはいかにも都市部という印象を受ける。
 本線を走る車両とは違って、些かゆっくりとしている様な気がして、この佇まいも良い。と思うけれど人の多さは流石。
 揺られながら、終点の小島新田駅まで向かって、折返す。折返す前に駅の周りの様子を伺おうかと思い、改札の真正面に視線をやると、目の前に線路が通っていて、タンク車の往来があった。  
 鉄道で石油等を運ぶタンクローリーの様な貨車が走っていて、京阪神に住んでいると滅多と目にしないその姿に釘付けになった。
 駅を出て、東海道貨物支線らしい、その線を跨ぐ歩道橋の上から、来ては去って行く、タンク車の様子を見ていた。
 まさか、こんな光景に出会えるとは思っても無かった。降り鉄の旅。

奥の方にタンク車が連なった編成が。

 降り鉄の旅を堪能していると、書き物が疎かになっていしまっていけない。等と思いながら、折返しの川崎行きで、ツラツラと書き物など。
 ひと通り出来上がった、というか、何とか覚束ない乍も纏まった気がしたので、noteに投稿を済ませたのは、多摩川を渡る京急の中で。
 それから蒲田に予約した宿にチェックインを済ませるべく、京急蒲田まで向かった。
 京急蒲田から、宿へと。チェックインを済ませて、遅めのお昼ご飯を済ませて、JR蒲田駅まで。

何度と無く伺っている蒲田駅。

 街は土曜日の16:00。会場のある新代田まで向かうのは少し早い気がしたのだけれど、東京の交通機関の時間の感覚が今ひとつ掴めておらず、早めに向かう事にする。
 JR蒲田から品川、品川で山手線に乗換えて、渋谷。渋谷で京王井の頭線に乗換えるに当たって、JRから井の頭線のホームに向かう時、人の多さにゲンナリしながら、井の頭線、渋谷駅。京王井の頭線の渋谷駅が如何にも渋谷という気がする。京王井の頭線の渋谷駅から各駅停車に乗って、下北沢を過ぎて新代田。

京王井の頭線、新代田駅。

 京王井の頭線を渋谷から向かうと、下北沢の次の駅で、さぞかし賑やかな場所なのだろうなと、賑やか過ぎるのも考えもの。等々と思いながら。 電車を降りて改札口を出ると、目の前に大きな通りがあって、通りの向こうに屋内のスイミングプールが見えた。 
 大きな通りは環七通りと言うらしく、何やら辺りは住宅街の様相。 下北沢辺りの賑やかさを想像していたのだけれど、何やら人々の暮らしが息づいている様な街並みに思えた。 

新代田駅。環七通りを挟んで。

 さて、ライブハウスFEVERを探さねば、電話の地図アプリによると本当に駅前との事らしく、辺りを探してみると、目の前のスイミングプールの下がライブハウスFEVERだった。 
 会場が開場するまで時間があって、せめて書き物が出来る場所をと思ったのだけれど、辺りに書き物をするのに向いた場所が見当たらず。 

渋谷へ向かう京王1000系。

 大きな荷物をコインロッカーに預けたいという事もあって、新代田の駅に戻って、駅の係員さんにコインロッカーの場所を尋ねると、構内の中にあるという事だった。 

新代田駅、入場券。

 駅の係員さんはコインロッカーだけなら、入って貰っても構わないという事だったのだけれど、駅のベンチを借りようかと、入場券を買って、構内に入って、コインロッカーに大きな荷物を預けて、下りのホームのベンチで書き物などをして、余ってしまった時間を潰していると、そろそろ会場は開場の時間。
 
 入場券で入った新代田駅の改札から出て、信号を渡って、歩道の脇のフェンスの向こうに、京王井の頭線の下り、吉祥寺方面へと向かう線路。西に太陽が傾いて、これが東京の夕暮れ時かと、少し切なくもなったりする。 

 そうして、スイミング‧プールの下にあるライブハウスFEVERへと向かってみると、入場を待つ人集り。チケットを買ったタイミングが遅かったので、入場出来るのは後の方で、ぼんやりと人集りの中で東京の夕暮れ時を過ごした。 

FEVER.

 自分の番号が呼ばれる迄待って、入口付近に屯していた人々が中に吸い込まれる様にどんどん居なくなって、ロビーが少しがらんとしたタイミングで番号が呼ばれ、ドリンク代を支払って中に入った。 

 フロアへと向かおうとするも、どんな造りか皆目検討付かず、人の流れに任せて流れてみると、フロアに辿り着いた。
 それで、見通しの良さそうな、フロアの後ろに自分の場所を確保、初めて伺うのに初めての様な気がしなかったのはどうしてだろう。
 入場して早々に交換したビールを飲み干して開演時間を待った。

 開演時間を迎えて、フロアが暗くなって出囃子「アイラー‧チンドン」がスピーカーから流れると、一気に気持ちが上がる。
 先週に京都は磔磔で拝見した時とは、また趣が違う。
 東京でソウル‧フラワー‧ユニオンを拝見する時は、大抵、渋谷の街中であったけれど、今日は新代田。開演前に入場前のぼんやりした時間に見た、少し遠くに聳えた高層ビル群の夕暮れ時も頭に焼き付いて、心に寂が支配する場所でのソウル‧フラワー‧ユニオンを拝見するのも初めて。それはそれで緊張もしていた。

 1曲目が「ハビタブル‧ゾーン」。自分の中では朝のイメージが強く、それで、何かが始まりそうな気持ちにもさせてくれて、曲に合わせて踊って歌う。今日もマスクは着用必須という事にしている。それから2曲目、大熊さんがステージに出て来て「ロンドン‧デリー」。先週の京都磔磔でも感じた事でもあるけれど、ソウル‧フラワー‧ユニオンの楽曲と管楽器の融和性を堪能出来る一夜だと確信。曲の後半のソロ回しに身悶え乍ら踊るより他が無くなってしまった。

 からインスト「キラーディラー」と続く。いつもに増して音が賑やか。

 ソプラノのサキソフォン(で、良かったでしょうか)さ加減が、何故だか幼い頃に何気に見ていた、サンテレビのCMを思い出させた。

 曲が終わって、聞き慣れないギターリフが刻まれたと思ったら、ソウルシャリスト‧エスケイプのアルバム「ロスト‧ホームランド」から「日食の街」が始まった。やはり大熊さんの管楽器の音で曲の風味が一層濃くなる様な気がする。曲が終わりに向かう時の中川さんのボーカルにグッと来る。

 お客さんが入りきらないらしいとのMCから、何故だかレインボーの話題になって、後でインターネットで引いてみると、その訳が判って、色々と思い出す事が多かった。

 から「落日エレジー」「ゴーストーリー」で大熊さんのクラリネットが映えて、インスト「アワ‧フェイヴァリット‧ショップ」奥野さんのシンセの音が何とも、と思っていたら、大熊さんのクラリネットも聴こえて、そこにギターリフが重なって、メロディーの層の多さに唸るより他在らず。

 少し雰囲気が変わって「おんぼろの夜明け」裏打ちのリズムに、少し寂しげな歌詞が乗って、それでも曲の最後に、夜明けの歌が聞こえて来るので、少し希望も見える。「短距離走者の孤独」と続く。アルバム「ロスト‧ホームランド」のジャケットに「ORIGINAL MOTION PICTURE SOUND TRACK」と記されていて、その主題歌とも思える「短距離走者の孤独」。
 確か、リリースされた当時も同じ事を思っていた事を思い出した。先日、LPがリリースになって拝聴した時にも、同じ様に自分の人生のサウンドトラックかと。

 いつもMCは拝聴していて、笑わせて頂いて、今日もニューエスト‧モデルに奥野さんが参加した時の話から、スピッツがカバーした「爆弾じかけ」まで、先日の磔磔とは違ったMCで、これだけでも東京に来た甲斐があったかと思った。

 から「満月の夕」。大熊さんのクラリネットが要所要所で入って、何度も感極まる。
 またまた聞き慣れない東洋的な奥野さんのピアノのフレーズが聴こえて来たなと思ったら、中川さんが「坂本龍一」「高橋幸宏」と。亡くなられたお二人を悼む様に演奏されたのは「ファイヤー‧クラッカー」YMOの曲でも、いや、他のカバー曲でもソウル・フラワー・ユニオンが演奏すると、オリジナル曲にしか聴こえないと言う事は気のせいでは無いだろう。
 それから「うたは自由をめざす」から「ダンスは抵抗」に続いて、「ダンスは抵抗」のアレンジは、レコードと少し違うのだろうか、最近はレコードの音源を聴くたびにライブのアレンジも思い出して、そのアレンジで、またライブへと足を運びたくなる。

 マスク越しに歌って、踊りに踊った第一部が幕を下ろして、インターバル。なかなか良い場所だったので、確保する為、微動だにせず。

 しばらくして、スピーカーから第二部の出囃子「マージナル‧サーフ」。からパーカッションのループが流れ出したと思ったら「グラウンド‧ゼロ」からピンクフロイドのカバー「星空のドライブ」。リズムとリフに乗って来るメロディーラインの多層さに何度も唸らされ乍ら踊る。

 そして「平和に生きる権利」から「不屈の民」。重厚な曲が続いて「もののけと遊ぶ庭」へと雪崩込んで、イントロで中川さんが「サヴァイバーズ‧バンケット」の三線のソロの部分をギターで演奏された様に聴こえたのが印象深かった。ひつこい様だけれど、何度も唸りながら踊って、歌った。

 からMCを挟んで「ターキッシュ‧ソング‧オブ‧ダムド」。曲の展開に何度もハッとさせられて、Aメロからサビへと展開する場面にいつも気持ちを持って行かれて、そのまま曲の終盤にかけての展開が、もう気持ちに突き抜ける感があった。

 そしてリクルマイさんが歌う「レボリューション‧ロック」裏打ちのリズム、に大熊さんのサキソフォンが贅沢。途中のソロ回しの時のリクルマイさんがメンバーを紹介する時のMCの様な感じが良かった。さっきからサキソフォンの音を聴くと、どうしても神戸のテレビ局、サンテレビを思い出してしまうのだけれど、それはまた別の機会に。

 そして、こちらも曲の展開にグッと来る「ベラ‧チャオ」、曲が終わって大熊さんの鳴り物は一体何だろうと思いながら。やはり大音量の中での管楽器の演奏は難しいらしい、という事がMCで。

 「笑った分だけ涙だって落ちる 涙が溜まれば海になる」というフレーズで「ホライズン‧マーチ」。さっきからもそうだけれど、更に歌って踊るより他が見当たらない。そんな一生なら良いのにと思いながら。から「秋田音頭」に雪崩れ込んだ。この雪崩れ込み方がライブの醍醐味。同じライブは二度と体験出来ないと思いながら、何度も東京は新代田の夜を、歌って踊って堪能。「秋田音頭」で夏の秋田にも行きたい衝動に駆られる。
 そして、「海行かば 山行かば 踊るかばね」で本編が終了。

 やはり大熊さんの管楽器が入るとメロディーラインの層が厚くなって、いつも拝見するソウル‧フラワー‧ユニオンより、少しリッチな気分で歌って踊れた一夜でなかったかと、何度も何度も思いながら、アンコールを求める。アンコールの拍手はテンポがだんだん早くなって、誰かが引き継ぐ様に、早くなったテンポを半分にして、押しては引いていく波の様なテンポで繰り返された。

 そして、アンコール。大熊さんの告知などから、磔磔でも披露された「いのちの落書きで壁を包囲しよう」バンドでのアレンジも音源化を希望。幾つもの顔を思い出しながら、悼みながら、歌って踊る。サビの部分のリズムの揺れ方が何とも。 やはり良い曲はどんなアレンジでも良い曲と思いながら、何度も頭の中にこの曲が流れ始める夕暮れ時を思い出しながら拝聴。
 
 で、ジャンピング‧ジャック‧フラッシュが始まるのかと思ったら「風の市」。この多幸感は何だろうと思いながら。きっとそれが説明出来ないから、頻繁にライブに通うのだと思う。

 最後の最後まで、歌って踊って、東京までやって来た甲斐があったと何度も 最後の最後の大熊さんのアルバートアイラーのフレーズに泣けて、踊って歌って大団円。

 今日も楽しい夜をありがとうございました。

帰り道の新代田駅。

 また伺います。

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