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鹿と女と妊活と婚活

妊活中の私と婚活中の女友達の日帰り奈良旅行についてツラツラと。

元々旅行に行く趣味とかはなく、遠出といえば仕事の出張か、所属していたダンスチームの遠征や公演のために国内外に行くことはあった。
大きな目的のために遠出、隙間時間でちょこっと遊ぶ程度で、普通の観光なんてそういえばほぼしたことがないかもしれない。

恥ずかしながら、何したらいいのかわからないレベル。
二の足を踏んでいたらまたすぐ忙しい時期が来てしまうので、うるせえ行こうのノリで遠出することにした。

一緒に言った友達はいわゆる「てらーじょ」。
奈良観光に超慣れてるプロ。
ずいぶん前に、彼女(以下 お寺ちゃん)に「漠然と奈良行きたいんだよなぁ行って何するとか全然わからんけど」とこぼしたら、「アテンドしてあげるから行こうよ!!」と言われ、サクッと決定。

住まいの愛知県西部からだと、奈良は日帰りでホイッと行けちゃう距離らしい。

本当は昨年の7月に行く予定だったのだが、出発時期に感染者が爆増してしまい延期することに。
まさか1年越しになってしまうとは…

小学校の修学旅行振りの奈良。
お寺ちゃんの運転で奈良へ、お寺ちゃんのアテンドで大きなお寺を周る。
(お寺ちゃん様々すぎる)

東大寺→二月堂→春日大社→興福寺→奈良公園

いい具合に混んでおらず、のんびり静かに周れた。
人より鹿の方が多いくらい。

奈良での移動はオール徒歩で、いい運動になった。
夫にもらった御朱印帳をやっと活用することができた。

そこらじゅうにいる鹿たちが、そりゃもうかわいくて。
しかもベビーラッシュ後半?くらいだったらしく、超ちっちゃい小鹿ちゃんやお腹の大きいママ鹿がけっこういた。
出産がんばって~~&あやからせて~と念じた。

春日大社ではお宮参りのご家族や、今から結婚式というご家族、前撮りをしているカップルも。
日が良かったんだろうか。
和装の新郎新婦と鹿の撮影、とっても素敵。

若草山で屋外挙式をしているカップルも。
空は快晴、一面青い芝生に佇む白い晴れ着姿の新郎新婦。
フワフワのドレス姿にうっとり。
通りすがりの我らまで幸せを分けてもらえた。

道中そんな光景を散々見たものだから、なんだか影響されてしまっている。

お寺ちゃんには体外受精をしていること、二度流産したことを告げている。

私が妊活に苦戦している最中、彼女も婚活に苦戦していた。

マッチングアプリをやってみたあと、有料の婚活サイトに移行して婚活中。
何人か会ったり付き合ったりして、かなり積極的に行動しているらしいが、なかなか良い人に巡り合えていないのだという。

お寺ちゃんは一つ下で、同じダンスチームの友達。
現役時代、世間一般で適齢期とされる時期に、我らはダンスに明け暮れて、練習や庶務に忙殺されながら20代を過ごした。
もちろん得た物はたくさんあったが、人生における大事なタイミングを逃してしまった。
全て自分で選択した結果がそれなので、誰のせいでもなく自分のせいなのだが。
お寺ちゃんの年齢を考えると、たしかにのんびりと待ってはいられないだろう。

お寺ちゃんが利用している婚活サイトのシステム。
サイトに登録、月会費を払い(なかなかの額)、
アドバイザーによるカウンセリング、自分のプロフィールと相手に求める希望条件を提示、
条件に合う人とマッチング。
何度か会ってみて、良さそうなら卒業。

ちなみに複数人に連絡を取ったりはできず、アドバイザーの手助けの元、一人を選んで連絡を取るところからスタートするらしい。
駄目だったら条件を見直したりしてまたマッチングから再スタート。


話を聞いていて、なんかデジャブ感が…
((私だ。私の治療みたい。))

つい最近の私みたいだ。
治療開始時に大量の書類提出して、カウンセリング受けて治療方針決めて、大金を払い、準備期間を経て採卵し、お腹に戻して妊娠したと思ったらお別れ、戻したら今度は陰性、また1から…

文字にするとエライ淡々としているが、お寺ちゃんもきっと、いろんな決断を迫られたり、感情が大きく揺さぶられたり、未来が見えず不安を感じたり、軽々しく人に相談できないヤキモキを抱えながらまた1から奮起したりと、心の中が忙しかったことだろう。

興福寺までの長い移動中、お寺ちゃんの婚活のお悩みをひとしきり聞き、年齢のことや体のこともいろいろとおしゃべりした。
私が感じたデジャブについて話した。

「妊活と婚活、なんか似てるなぁ。
すっごいお金と時間かけるのにうまくいく保証なんてなくて、何も得られずに終わることもあるなんて酷だよね。

他の人は何もお金かけなくとも良い人に出会えたり、自然に妊娠できたりするやんね。
なんでこんなにうまくいかないかなぁ。」

幸せを分けてもらったのに、少しネガティブな感情まででてきてしまった。
それに既婚者の私が未婚の彼女に言うことではなかったかもしれない。

でもお寺ちゃんは
「わかる!!もう本当にそう!!!!」
と言ってくれた。

「これだけ大金はたいて頑張ってるんだからどうにかなりたいよね」
二人して大きな溜め息が出た。

治療を開始してから流産までのことをひとりでぐるぐる考えていると、闇の底まで落ちて行ってしまう。

鹿の親子やお宮参りの家族を見て、いいなぁ赤ちゃん無事に産まれてきて…と素直に羨ましく思っていた。
闇の底に落ちる前に言葉に出してみたら、少し気持ちが軽くなった。

状況は違えど、お寺ちゃんが理解を示してくれて少し救われた。
目指しているゴールに辿り着きたいという気持ちは同じ。

何から何までありがとう。
お寺ちゃんの幸せを心から願うよ。

そのあとちょうど通りかかった人力車のお兄さんがすんごいイケメンでキャッキャした。
少し重い話してたのに、通りすがりのイケメンのおかげで二人とも一気に元気になった。
ときめきって大事。


旅の反省。

写真もっと撮ろう。

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