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消費税における「二つの大ウソ」

 消費税が導入されて33年が経ちました。
 みなさんが当たり前のように関わっている消費税ですが、ここには二つの「大ウソ」が存在します。
 今回は、それについて書いてみようと思います。

大ウソ・1「消費税は社会保障のために使われている」

 政府もマスコミも、執拗にこの大ウソを繰り返しています。
 これが事実でないことは簡単に証明できます。
 この33年間で消費税が導入・増税された事によって、社会保障が改善された、などという事実は一つもありません。
 この10月からも、75歳以上の医療費自己負担が1割から2割と倍になりました。
 被害を受けているのは高齢者だけではありません。現役世代も同様です。
 同じくこの10月から、雇用保険の本人負担が引き上げられました。月収30万円の人でしたら、毎月600円、年額にすれば7,200円も給料から天引きされる金額が増えます。
 

 理由は「財源不足」だそうです。
 今でも5兆円以上ある軍事費を倍にする「財源」はあるのに、働く人の生活を守るための雇用保険料を値上げしない「財源」は存在しないというわけです。
 「社会保障のため」と言って消費税を導入・増税しながら、社会保障は削減する、というのがこの33年間続けられてきた事なのです。
 それどころか、消費税を社会保障削減の「財源」として使っている事例があります。
 現在、公立病院の病床は削減され続けています。コロナの第5波があった2021年だけを見ても、195億円かけて、2,770もの病床を削減しました。この195億円の財源は消費税です。

 これが消費税の現実です。「消費税は社会保障のため」という言説の招待は「消費税は社会保障破壊のため」だったのです。

大ウソ・2「消費税を納めているのは消費者である」

 「消費税が社会保障のため」がウソであることは、社会保障削減を体感していれば、比較的簡単に理解できるのでは、と思います。
 しかし、この「消費税を納めているのは消費者である」が事実でない、ということは、なかなか理解しづらいと思います。
 しかし、事実として、消費税を納めているのは消費者ではありません。
 一例として、100円ショップで110円の物を購入したとします。多くの人は、このうちの10円は、「私たちが納めた消費税」だと思っているでしょう。
 しかし、それは事実ではありません。
 もちろん、企業などが納税した原資は売上です。そういう意味においては、「元は消費者が払ったお金」にはなります。
 ただ、それが成り立つならば、法人税や固定資産税も、原資も売上です。しかしながら、「消費者が納めた法人税」などと言う人はいないでしょう。
 消費税も同様でなのです。あくまでも納めているのは消費税を実際に納税している事業者であり、我々消費者ではないのです。
 別にこれは、筆者が勝手に主張しているわけではありません。
 消費税導入の翌年である1990年に、「消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しか有しないから、事業者が、当該消費税分につき過不足なく国庫に納付する義務を、消費者との関係で負うものではない」という東京地裁の判決が出ています。
 わかりやすく言い換えれば、「『消費税分』とされているものは、価格の一部でしかなく、消費者が払う税金ではない」となります。

 この判決が出てから32年経ちますが、それを覆した判決はありません。
 つまり、「消費税を納めているのは事業者であって消費者ではない」というのは国も認めているのです。
 しかしながら、様々な形で、「消費税を納めているのは消費者」「消費税は預り金」という事実と異なる宣伝が行われ続けています。
 その結果、非常に多くの人が、そのウソを信じ込まされています。
 なぜ、そのようなウソの流布が行われているかというと、それによって得をする存在があるからです。
 それについては、次回書きます。

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