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awareness

夜の冬のアイスクリーム屋で友達がふと、どこにいっても文句ばかり言う兄についてこうコメントしたのを強烈に記憶している。「マイナスな面ばかりに目を向けすぎている、そして、

He doesn’t aware the happiness around him.

」と。
そこで使うのは、awareなのか………!

小さな幸せを大事にするだとか、人生は「考え」方だとか、幸せを「見つける」だとか、見方を「変える」だとか。そんな言葉はたびたび目にする。ただこのawareという表現によってこの手の話が語られたのは私にとっては初めてだった。そして暫定いちばん腑に落ちる表現だ。thinkでも、feelでも、knowでもない、幸せはawareによって得るのだと。

awareという単語は注意してみることによって気づくという意味がある。意識を向けて初めて気づくということだ。awareという行為は、物理的な事実には全く影響を及ぼさない行為だ(良くも悪くも)。状況の解釈を変化させるだけのものである。どんどん忙しく分かり易くなる世の中に登場したマインドフルネスは一言で言い換えればawarenessである。(この勢いでゴシック体のシンプルなデザインを表紙に施したアメリカ発の自己啓発本みたいな文章を書き上げそうなので、一旦深呼吸。)
内省という行為は人並み以上にやってきたと自負しているが、内省は自身を省みる行為である。awareという概念は、自分以外の事実を省みることで、事実に対する主観的解釈を変化させていると言えるでだろう。そしてawareは事実の解釈を180°ひっくり返すような行為ではない、あくまで「注意して見る」ことによって新たな気づきを得る行為だ。絵画をじっくりと見る感覚と似ているような気もする。

私にこの単語を教えてくれたその人は、自分の幸せにawareしているのだ。


最近の私のawarenessは、ネガティブ・モチベ―チョンとポジティブ・モチベーションである。もちろん私が勝手に命名している。
ネガティブ・モチベーションとは、ネガティブな結果を避けたいという行動意図である。たいしてポジティブ・モチベーションとは、ポジティブな結果を得たいという行動意図である。重要なのは、この二つの異なるモチベーションによって引き起こされる行為はほとんど全く一緒だということだ。(私はもしかしたら高校倫理で接近・回避欲求の話をしているかもしれない)

2週間ほど前から、1人25000円するフルコースの高級ダイニングでウェイターとして働いている。とってもハイスタンダードで厳格だ、値段が値段なので失敗や失礼はまずもって許されない。緊張しながら、食やマナーやワインの勉強をしながら、働いていた。そしてふと、自分が「失礼にならないように、お客様の気分を害さないように」と、そしてなにより自分が失礼、失敗して怒られないようにと、とってもネガティブなモチベーションで働いていることに気が付いた。awareしたのだ。サービスは人を笑顔にするためにあるのに私は「目の前のお客様を笑顔にできているか」ではなく、「自分が正しいことをしているか」を気にしているのである。やはり起こしている行為は一緒だが、前者のポジティブ・モチベーションで接客しているウェイターのサービスにたとえ僅かな差でも、絶対に敵わない。このawarenessだけで、やっている行為は同じでも、言葉ひとつ、態度ひとつが変わるはずだ。 これからの仕事に活かすのが楽しみだ。

ところで、オージーは信じられないほど冬の寒い夜にアイスクリームを食べる。理解できない。と話したら、私が熱が出た時によくアイスを食べる方がおかしいと言われてしまった。


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