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【急性腰痛の治療】薬物療法編

■これからAHCPRの『成人の急性腰痛診療ガイドライン』が勧告している急性腰痛の治療について、

【患者への情報】

【薬物療法】

【保存療法】

【外科手術】


に分けてエビデンスレベル(科学的根拠の確証度)を明記して紹介していきます。





【薬物療法】



1:アセトアミノフェンは安全性が高く急性腰痛患者の治療に許容できる(確証度C)。




2:アスピリンを含むNSAID(非ステロイド系抗炎症薬)は急性腰痛患者の治療に推奨できる(確証度B)。




3:NSAIDには主に胃腸障害の副作用があるため使用にあたっては既往歴・副作用・費用対効果などを考慮する(確証度C)。




4:フェニルブタゾンには骨髄抑制(再生不良性貧血など)のリスクがあるため推奨できない(確証度C)。




5:筋弛緩剤は急性腰痛の治療において選択肢の一つになる。プラシーボより有効だろうがNSAIDを上回る有効性は示されていない(確証度C)。




6:筋弛緩剤とNSAIDを併用してもNSAID単独より有効ではない(確証度C)。




7:筋弛緩剤は患者の30%に眠気やめまいなどの副作用が現れるため、筋弛緩剤を選択肢の一つとして使用する場合は、他の薬物療法で生じ得る副作用のリスクを考慮して処方すべきである(確証度C)。





8:オピオイド鎮痛薬(麻薬系鎮痛剤)は限定的に使用されるのであれば急性腰痛患者の治療において選択肢のひとつとなるが、他の薬物療法で生じ得る副作用のリスクを考慮して処方すべきである(確証度C)。





9:オピオイド鎮痛薬(麻薬系鎮痛剤)は、腰痛疾患の症状緩和においてアセトアミノフェンやアスピリン、あるいは他のNSAIDといった安全な鎮痛薬より効果的とは考えられない(確証度C)。




10:医師はオピオイド鎮痛薬(麻薬系鎮痛剤)の反応時間の遅延・判断力の低下・眠気といった副作用によって、35%の患者が早期に服用を中断していることを知っておくべきである(確証度C)。




11:患者は身体的依存および車の運転や重機の操作など、オピオイド鎮痛薬(麻薬系鎮痛剤)の使用と関連付けられている副作用のリスクについて警告を受けるべきである(確証度C)。



12:経口ステロイド剤(ステロイド系抗炎症薬)は急性腰痛の治療として推奨できない(確証度C)。




13:経口ステロイドによる重大な副作用のリスクは長期間の服用や短期間の大量服用と関連している(確証度D)。




14:コルヒチン(痛風発作を抑える薬)の有効性を示す確たる証拠はなく、強い副作用の危険性があることから、急性腰痛患者(ぎっくり腰)の治療にコルヒチンは推奨できない(確証度B)。




15:抗うつ剤は急性腰痛患者(ぎっくり腰)の治療に推奨できない(確証度D)。



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