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【連載小説】めっちゃ弱い竜として俺の生き方 Ep.5 未来の志望

【あらすじ】
 
星流セイリュウ山に住んでいる紫色の西洋竜であるナス君、めっちゃ弱いだから勇者との戦闘をできる限り避けてほしい。人間との対敵関係にいろいろ悩んでいる優しい子、彼の日常生活の物語である。


Ep.5 未来の志望

 俺の名はナス、竜だ。今日は幼なじみが遊びに来た。彼の肌は黄色だから、みんなバナナ君って呼んでる。バナナ君は頭がいいし、成績もいつもトップクラスだ。今、大学竜学試験の合格を目指して猛勉強しているらしい。高卒してからしばらく顔あってないから、今日来てくれてとても嬉しい。

 【バナナ】「おお!ナス!元気でやとるか」

 【ナス】 「バナナ君!久しぶりだな」

 【バナナ】「相変わらず派手な家だなぁ、金コインばっかりで羨ましい」

 【ナス】 「勉強は順調?」

 【バナナ】「楽勝楽勝、ナスは?仕事順調?」

 【ナス】 「まぁ、まだ慣れてないが、だいぶ落ち着いた」

 【バナナ】「そうか、安心した」

 【ナス】 「専攻は決めた?」

 【バナナ】「まぁね、一応経済学を狙ってる」

 【ナス】 「そうか、バナナ君のお父さんは確かにあの大手銀行の銀行員だな、なんだっけ」

 【バナナ】「うむ、みずほだ」

 【ナス】 「そうそう、名前はおかしいと思った。」

 【バナナ】「初代会長は水竜だからね」

 【ナス】 「卒業してお父さんの後継ぎか」

 【バナナ】「うん、まだわかんない」

 【ナス】 「うん?銀行員いいじゃない?平和な仕事だし、給料も高いし、かっこいと思うよ」

 【バナナ】「聞きつらいよ」

 【ナス】 「聞きつらい?」

 【バナナ】「我らは竜だぞ!銀コイン銀コインって呼ばれてたまるか!誰が銀コインが欲しいかっ」

 【ナス】 「まぁ、そりゃそうけど。。。聞きつらいだから進路を諦めたらもったいないよ」

 【バナナ】「フン!」

 【ナス】 「わかった!そうすりゃどう?銀行員としてしばらく我慢してさ、一生懸命頑張って成績出して、出世したら偉い人になって、呼び方を変えてやるなら?ほら、銀行員じゃなくて金庫員とかさ」

 【バナナ】「おお!すげぇ!めっちゃいい発想だ!」

 【ナス】 「へへ!」

 【バナナ】「ナスも頭もいいな、山に閉じ込まれてもったいないよ」

 【ナス】 「そんなことないよ、どんな仕事でもやり甲斐があると思う」

 【バナナ】「そうか、もう見つけたか」

 【ナス】 「今は薄々だけど、やればやるほどきっと明確になれてくると思う。そうだなぁ、せめて我が竜に対して世間の評判を変えてほしい」

 【バナナ】「どうやって?」

 【ナス】 「うん。。。まだわからない」

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