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インターネット巨人が次々と参入、3年後に我々は小米汽車、百度汽車、阿里巴巴の自動車を選ぶことになるのだろうか?

新エネルギーによる車作りはいったい誰の戦場なのか。投資から自ら戦場に乗り出したインターネットテクノロジー企業は、どのように車を造るつもりなのだろうか。

データによると、2021年9月時点で、新エネルギー車の研究開発、生産・製造を中核事業とする中国国内の新エネルギー車製造企業は合計103社に達した。これらの自動車製造新勢力の資金調達動向を見ると、彼らはまるで冬を経験したことがないかのようだ。資本の冬、感染症が世界を覆い、景気が下降した2020~2021にかけても、自動車製造新勢力の資金調達能力はむしろ高まり続けている。

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データを見ると、2014年は中国の新エネルギー車が始まった年で、当時は蔚来汽車(NIO)、地平線汽車、奇点汽車などの企業が次々と設立され、1年後には小鵬汽車(XPENG)、理想汽車(LI)も相次いで設立された。2014年にはこの分野の融資件数はわずか2件だったが、2015年には融資件数は13件に増加し、融資額は43.29億元(約750億円)となった。しかしこうした資金も新エネルギー車分野にとっては焼け石に水としか言いようがない。この分野では「100億元では車を造ることは不可能だ」と言われてきた。

その後数年が経ち、新エネルギー車製造企業への融資額はさらに上昇し、2018年までに374.54億元(約6700億円)に達した。2018年は最初の新エネルギー車製造企業が各モデルを発表した年で、NIO・ES8、小鵬・P7が発表された。2019年にはテスラは36.75万台の新エネルギー車を販売し、株価は前年比50%上昇した。市場は新エネルギー車に対し、より多くの可能性を見ているようだ。

中国工業情報化部は2020年、第2版「新エネルギー自動車産業計画(2021-2035年)」を発表し、2025年の新エネルギー車の販売台数に占める割合を25%にするとした。現在の中国における乗用車の年間販売台数から計算すると、25%の販売台数はおおむね560万台になるとした。市場と政策の二重の後押しにより、新エネルギー車の時代が徐々に到来している。2020年の新エネルギー自動車分野の資金調達額は約730億元(約1兆3000億円)に達し、今年1-9月、総資金調達額は950億(1兆6900億円)を突破した。フォックスコン、百度、アリババ、小米などのインターネット企業も続々と自動車製造分野に流入している。

データによると、2020年から現在までに中国で新たに設立された新エネルギー車製造企業は8社だが、この8社のほとんどが「金のスプーンを含んで生まれ」ている。(*訳注「含着金汤匙出生」=お金持ちの家に生まれる、という意味)

2020年11月に設立された智己汽車は、上海汽車集団、浦東新区、アリババグループの3社が共同で設立し、設立当初からアリババ、張江集団、上汽恒旭から出資された100億人民元の資金を持っていた。

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今年7月、吉利汽車はEVブランド「极氪/ZEEKR」を立ち上げた。ブランドは吉利の遺伝子を持っているほか、インテル投資、博裕資本、鴻商集団、ビリビリ、寧徳時代から5億ドルのPre-Aラウンド融資を受けた。

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2021年9月、小米汽車は正式に工商登録を完了し、100億人民元を出資している。資金を燃やし尽くす新エネルギー車の製造分野において、従来の自動車メーカーや科学技術・インターネット企業が100億元の資金を投入して相次いで参入しており、この分野が爆発的な発展段階を迎えている。

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統計によると、新エネルギー車製造分野では、すでに開示されている経営陣のうち、CVC投資者は合計27社で、全体の10%以上を占めている。注目すべきは、CVC投資の割合が年々上昇傾向にあることだ。2020年から現在まで、新エネルギー車製造分野の投資先は合計96社で、そのうちCVCだけでも20社に達し、全体の20%以上を占めている。新エネルギー車製造会社の背後では、CVC投資がトレンドになりつつあり、かつインターネットテクノロジー企業の参加度が高い。

テンセントは直接車を作る計画はないが、投資を通じて蔚来汽車、拝騰汽車、威馬汽車、恒大汽車、和諧富騰を展開している。蔚来汽車の上場前、テンセント投資はAラウンド、Cラウンド、Dラウンドに重複参加したことがあり、うちCラウンドとDラウンドの資金調達は合計16億ドルで、テンセントはいずれも投資先(1社)だった。蔚来の上場後も、テンセントは再び1000万ドルの増資を行ったことがある。

特筆すべきは和諧富騰だ。2015年7月、富士康、テンセント、和諧汽車が3:3:4で出資し、和諧富騰インターネットプラススマート電気自動車企業を設立した。初期規模は人民元10億元。新エネルギー車のインキュベーションをしたいというのがこの正式な位置づけで、プラットフォームマトリックスの中の車のブランドは緑野汽車、愛馳汽車、香港のFuture Mobility Corporation。興味深いことに、バイトンの最初の投資先もフォックスコン、テンセント、和諧汽車の組み合わせだった。

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このほか、テンセントは恒大汽車、威馬汽車の重要な経営者の一つでもある。

さらに、アリババ、百度、小米は自ら車作りに参加した。

2020年11月には、上海汽車集団、浦東新区、アリババの3社が共同で智己汽車を設立し、1回目の100億資金調達の後光を得て新エネルギー車製造分野に進出した。一方でアリババは小鵬汽車と恒大汽車にも投資している。

そして2021年には、百度が吉利汽車と組んで集度汽車を設立すると発表し、大挙して車製造に乱入した。百度はそれ以前にも蔚来汽車に投資していた。小米は100億出資で小米汽車を設立したほか、蔚来汽車と小鵬汽車に投資も行っている。

さらにインターネット大手が車製造に乗り出す。バイトダンスと美団は共に理想汽車のバックに立った。奇虎360は奇点汽車と哪吒汽車、bilibiliは今年8月、吉利傘下の极氪/ZEEKRスマートカーの5億ドルの資金調達に投資した。

以上の一連の組み合わせのほか、長安、華為、寧徳時代が新たなハイエンドスマートカーブランドを共同で構築する予定がある。アップルは韓国の現代と提携し、新たな電気自動車モデルを共同開発する予定だ。アップルの同プロジェクトへの投入資金は4兆ウォン(約231億元)に上るという。このように、インターネットテクノロジー企業の自動車製造分野への進出は、根拠がないわけではなく、以前から予定されていたことがわかる。

科学技術インターネット企業にとって、初期は主に投資方式で新エネルギー車製造分野による分け前を得ていたが、蔚来(NIO)の時価総額が600億ドルを超え、小鵬(XPENG)と理想(LI)の時価総額も300億ドルを突破したことで、インターネット企業もこの分野でより多くの可能性を探りたいと考えている。しかし、車の製造は携帯電話の製造とは異なり、またSNSやECとも異なり、ハードルが高いハイテク分野に属するため、従来の自動車メーカーと提携することはコストを下げ、回り道を少なくする方法だ。

また従来の自動車メーカーのほか、新動力電池は自動車製造勢力の中心的な重要プロジェクトであり、新動力電池企業との提携や投資についても、多くの企業が自動車製造分野に進出する重要な一歩となっている。例えば、小米は自社で車を製造し、車に投資するほかにも、「蜂巣能源」、「中航鋰電」、「珠海冠宇」、「賛鋒鋰電」のリチウム電池関連企業4社に直接または間接的に投資している。

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また、新エネルギーで車を作る投資先のうち、投資機関の声量はますます弱くなっており、最初に出資した一部のファンド以外は、この分野で分け前を得ることがより難しくなっていることが分かった。

新エネルギー車製造分野では、インターネット企業、伝統的な自動車メーカー、新動力電池メーカーなどの強者連合が次第にトレンドとなり、この3者が資金面の優位性、技術面の優位性、経験面の優位性を集めて勢いを増している。こうした流れの中で、投資機関にとっても当然、分け前に預かりたい。しかし、ある投資機関の関係者は、「今、新エネルギーの自動車製造分野は台風の目の真っただ中で、投資機関の意欲は強いが、企業側は戦略的提携の可能性を提供するために企業側の投資を呼び込みたいと考えているのかもしれない」と述べた。しかし、自動車製造分野でも、資金は重要な生産力であり、今年はセコイア資本、高瓴投資、真格基金、中信建投、経緯中国などのスーパーヘッド機構が同分野の投資に参加している。

新エネ車の製造サイクルは一般的に3-4年で、2025年頃には新エネ車の量産化、マーケティング普及の百団戦になることが予想される。この戦いの中で、今年次々と参入した科学技術企業、新興・新エネ企業、従来の自動車メーカーから転換した企業が次々と登場し、納品を終え、バトンをユーザーに手渡す。

その際、小鵬、蔚来、理想はビッグブラザーとなり、小米汽車、集度汽車、智己汽車も予想通りに発売されるであろうが、ユーザーはどのように自動車を選択し、インターネット大手たちは新エネルギー車ビジネスを通じて更なる高みに達するのであろうか。その時になってこれらのCVCや投資機関たちを見て、いったい誰が本当に宝を押さえているのかを見てみよう。

<訳者メモ>いよいよ拡大局面を迎えている新エネルギー車事業、中国では投資が更なる投資を呼び、既に103社もの新エネ車製造企業が設立されているようです。中国政府の政策的後押しもあり、この流れはますます加速していきます。今後はインターネット大企業、車メーカー、電池メーカーの強者連合が市場をリードしていくことになるのでしょうか。この市場から、ますます目が離せません。


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