梅しそのミルフィーユとんかつとニラ玉
週に一度、恋人が手料理をご馳走してくれる。付き合い始めて一年が経ち、この間始めて、恋人は今度何を作るか悩んでいる素振りを見せた。
「いま悩んでるのって、同棲しているカップルの彼女が、『今日はなにが食べたい』って彼氏に聞いて、『なんでもいい』以外の回答を待っている、料理を少し煩わしくなり始めたような種類の悩み?」と僕が尋ねると
「いや、作りたい料理はいっぱいあって、今度はどれを食べてもらおうかな、っていう悩み。前にも話したけど、西嶋くんと付き合い始めてから料理が楽しくなったんだよ。今までは家で一人で揚げ物なんか作らなかったしね」と、僕らの前に置かれた、梅しそのミルフィーユとんかつに目線を送りながら答えた。
(「家で一人で揚げ物なんて作らなかったしね」という発言の補足を。恋人は毎回、かはわからないが、僕に手料理を振る舞う前に、ありがたいことに、自分の家で試作をつくってくれているのだ)
今は違えど、付き合いが長くなればそういう時期は、いずれ、来る。そのときに備えて、恋人の作ってくれた料理を忘れないようにと、恋人の手料理日記を始めることにした。
梅しそのミルフィーユとんかつ
チーズ、しそ、梅を挟んだ生姜焼きの用の三段の肉を、更に肉で挟む。計五段。なんて贅沢な、なんて素敵なひと手間なのだろう、と調理している姿を見ながらよだれがたれそうになった。見て美味しい、食べて美味しい。大人のお子様ランチがあるとしたら、これは間違いなく入れるべき一品。
ニラ玉
ニラの茎から炒め始め、火がとおったら茎以外を炒め始めた。火の通りが茎の方が遅いかららしい。その時に、ニラは生でも食べられることを恋人は教えてくれた。その後、卵を入れてすぐに火を止めた。卵は予熱だけでいいことも学んだ。リャンシャンテンみたいな名前の香辛料、ウーシャンフェンをその後かけた。入れるタイミングを間違ってしまった様で、ウーシャンフェンの味を堪能できなかったことが悔しい。
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