桜香満散 Ooka Michiru

桜香満散 Ooka Michiru

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You’ve changed.

大学に入ってから久々に高校の同級生たちと会った時、彼女たちは私にこう言った。 You’ve changed. 驚いたように目をまんまるにし、好奇心をちらつかせていた。 英語が話せず授業もろくに理解できなかった日本人が、グループに混じってコミュニケーションを取るのが苦手だった人間が、大学に行って逞しくなり、怯まず話せるようになっていた、ように見えたらしい。 でも私はただ、自分らしさを取り戻しただけ。 埃が被ってしまっていた自分らしさに、息を吹きかける余裕ができて、磨き直

    • 鬱と、ホームシックと

      意識が戻ると昼時だった。 カーテンの隙間から差し込んできた光の帯が頬をかすめていた。 昨晩流れ落ちた無数の涙が頬にこびりついていた。 瞼が重くて目が開かない。 頬も突っ張っている。口元を自由に動かせない。 起きられない。全身が固まっている。 白く干からびた水跡を日光がジリジリ辿り、居心地の悪さが主張する。 どうしようか。動けないからシャワーを浴びられないし、食事する気にもならない。好きな読書も英語では心動に欠ける。文字を追っても、追っても、何も残らない。部屋が散らかって

      • 社交不安症

        瞳を見つめることが辛くなった。 吸い込まれそうな冷たさを放つ硝子の玉に、心の奥底まで見透かされているような気がして、言葉を交わそうにも口が鉛と化して重く閉ざす。 相手が家族であろうと、友であろうと、同僚や上司であろうと、関係ない。 怖いのだ。 走り出したら止まらない鼓動が私を嘲笑の決闘場へ引きずり出そうとする。 そんなことは自分が作り出した幻影だと知りながら抗えず、胸が締め付けられるまで目線に晒され溺れていく。 何に怯えているの? 自分にも分からない。だから答えられな