Apple Musicのロスレス配信の影響

Appleが高品質ストリーミング(ロスレス)の配信を始めそうだと報道されてますが、これオーディオ好きにはめっちゃインパクトのあるニュースなんですよね。
Apple Musicは選曲のカバレッジも広いし、ラインアップも偏りが比較的少なく使い勝手はよいものの、音質が標準レベルだったのが残念ポイント。高品質なストリーミング音源を聴きたければAmazon Music HD(AMHD)やTidalを契約するのが常套手段となっていました。

こうしたハイレゾ音源は使い勝手の良いプレイヤーの欠如がネックだったのですが、そこにroonという救世主が現れ、リッピング済みの高品質な音源の再生やTidalのストリーミングを楽しむには、roonを使うユーザーが徐々に増えてきていた様です。

「ハイレゾ音源なんていらねーよ」という向きもあるかと思いますが、Googleフォトとかで昔の写真を見ると「え?昔の携帯のカメラってこんなに画素数が低かったんだ・・」と思うのと同じように、音源がハイレゾになり再生環境も整って高品質な音楽に耳が慣れてしまうと、おそらく今の品質(AAC 256k)には戻れないと思うんですよね。

こうした状況でAppleがより高品質な音楽のストリーミングサービスを出すということで、市場にも大きな変化が起きそうです。

正直にいうとTidalはもう勝ち目がないので、先んじてSquareに身売りしたのはすごく良い選択だと思うし、AMHDのポジションも微妙。私はAppleがロスレス配信を始めたら絶対に解約するし、おそらく多くのユーザーがそうすると思われます。

AMHDの勝ち筋としては、豊富な資金力を活かしてroonを買収することだと思うんですよねー。正直これからプレイリストやプレイヤーの品質を高めようにもAppleやSpotifyにはかなわないと思うので、Amazonお得意の機械学習でユーザーの嗜好を強化しつつ(roonも頑張ってるけど、まだまだ)プライム会員にはroonの利用料を無料にすれば「Amazon Musicだと音楽を聴くのがめっちゃ楽しい!」という体験を提供できる可能性が残っています。私がAmazon Musicの責任者なら絶対そうするけど、AmazonさんはUIとかにあんまりこだわりとか理解がなさそうなので、roonの価値は分かって貰えないだろうなぁ〜というのが残念なところ。

Appleがロスレス配信を始めたら、Amazon Music HDとTidalとroonを解約だけではなく、音楽を聴く機材のラインアップからもroon readyのものが除かれるので、今年登場を心待ちにしていたMytek辺りの機材は購入候補から除外。いままでroon readyをウリにしていたミドル〜ハイエンドオーディオの世界にも変化が起きそうです。

ガチのオーディオファンは3.5mm端子なんて使わないでしょうけど、それでもワイヤレスではロスレス配信の品質が維持できないことを考えると、M1 iMacに3.5mm端子が残っているのはロスレス配信の伏線なのかもしれませんね。
Appleのロスレス配信はまだ噂レベルで、出る出ないも明らかではありませんが、個人的には大きな期待を寄せています!

まとめ

・Appleがロスレス配信を始めることで、Apple Musicの優位性が確実なものになりそう。音楽再生環境(ストリーミングサービス、イヤホン・ヘッドフォン、スマホの組み合わせ)の優位性でAppleが大きなアドバンテージを確実なものに
・Amazon Music HDは影響力を失いそう
・Tidal, Qobuzを契約する理由がほぼ無くなる。これに引きずられて、roonも利用価値が大幅に下がりそう
・roonの利用頻度が下がることで、ミドル〜ハイエンドクラスのオーディオ機器にも変化が
・対抗馬としてSpotify HiFiに期待

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?