凄くなくていい

先日の弟子との1 on 1。弟子からこんな質問を受けました。

DATA Saberになるには、凄いVizを作らないといけないですよね?

師匠によって、いろんな考えがあるとは思いますが、私の答えは「そんなことない」。

どんなに凄いもの、きれいなものをつくっても、相手に使ってもらわなければ全く意味がありません。自己満足に過ぎない凄いVizを作っても、データドリブンにはつながりません。
※もちろん、目的によるので、作品として作るのなら、とことん凄いVizを作っていいとは思います。

「とにかく知ってもらい、使ってもらい、フィードバックをもらって改良し、アクションにつなげること」
これがデータドリブンのスタートです。

以前、フロント部門に役立つデータを展開する仕事をしていた時、上司が口を酸っぱくして言っていたのはこんな内容でした。

受け手目線で考えて行動しなさい。現場が何に困っていて、何を求めているのか、きちんと理解して、相手が欲しいタイミングで、欲しい情報を提供すること。その基本が押さえられていないと、どんなにキレイなデータを提供したところで、現場には全く意味のない情報になり、使ってもらえない。自己満足で仕事をしてはダメ。
まずは知ってもらうことも大事だから、データを提供したからOKとするのではなく、相手に知ってもらう工夫も怠らないようにしなさい。提供したデータを相手がどう使っているかについても、きちんと把握しておきなさい。

また、ある時、私が複雑なロジックを考えて、「こういう条件でターゲットを選定しました」と同じ上司に説明したら、こんな指摘を受けました。

シンプルで、誰が見てもぱっと見でわかるロジックでないと、そのデータが本当に正しいのか信頼できないし、相手にも理解してもらえない。簡単に理解できないと納得できないから、現場は動いてくれない。頭のいい人、スキルのある人だけが理解できるロジックでは意味がない。誰でも簡単に説明できる、もっとシンプルなロジックにしなさい

上述した2点の考えを、TableauのVizにも応用すると、「受け手目線」「シンプル」というキーワードを満たすものが、現場で喜ばれる究極のvizだと思っています。

相手に寄り添い、とにかくシンプルに考えること。
凄いものを作ろうと背伸びしすぎて、相手のニーズを無視したり、Viz作成に時間をかけすぎたり、複雑すぎるVizを作ったりするのは論外。

もちろん、自分の力が足りなさすぎて、相手のニーズを満たすものがすぐには作れないこともあるけれど、「ここまでならできる」は必ずあるし、調べたり、スキルを上げることで解決できる場合も多いです。それでも困ったら誰かに助けを求めれば、答えはきっと見つかります。

Apprenticeの時代を含め、現場でデータドリブンを進めてきたこの半年間を振り返ってみると、今の自分の力でできることは何かを考えて、相手の求めるもの(自分に求められているもの)は何かという点を見失わず、地に足をつけて地道に行動していくというのが、データドリブンを進めていく上で大切なポイントなのかな、と考えています。

「相手に喜んでもらえるVizを必ず提供する」「データで人の役に立つ」と自分にコミットし、相手に対しても、そうした姿勢を、行動と成果できちんと示せば、どんどん味方が増えて、Tableauを起点にしたデータドリブンは加速化できると信じています。