見出し画像

「少女まんが」の形、1970〜2000年ぐらい

先日寄贈書の整理をしていたら、『ギャルコミ』(1982年9月夏休み号)なるB5版の雑誌があり、さらにA4版ぶっとい『ギャルズコミックDX(デラックス)』春の号(ギャルズライフ増刊、1981年主婦の友社)があり、そういえば、本館に「GLコミックス」(girl’s life=GAlS LIFEの略ね、たぶん)なるコミックスシリーズがあったな、と思い出しました。

樹村みのり、さべあのま、坂田靖子ほか、山田詠美さんのまんが家時代の作品『横須賀フリーキー』が……!
『ギャルコミ』裏表紙
倉多江美特集の『ギャルコミDX』、倉多先生、おもしろかったし、人気があった!
『ギャルコミ』に比して、『ギャルコミDX』は、1.5倍ぐらいの厚さ。このページ数の多さが「DX」の由来か。とはいえ、この頃は、まだまだではあります。以後、このA5版雑誌の世界は、1000ページ超えなど、とてつもなくぶっとくなっていく。


単にわたしの不勉強、無知なわけだけれど。1980年代、いろんな雑誌や出版社がまんがも出す、みたいな流れのひとつだったのでしょう。(まんがを読むとバカになるという社会通念がどんどん薄れていったということもあると感じます)

この親雑誌は、1980年代話題をさらっていた『ギャルズライフ』で、わたしにとっては大島弓子先生の『四月怪談』初出雑誌という認識で、なるほど、と。当時は性方面に過激な内容だったので、買うこと見たことなかったため(おくて文学系少女だったので)、マンガも掲載されていた、とのちに知って、驚きました。

そして、さらに40年余のいま。まんが専門の雑誌も発行していたのか、しかも、樹村みのり、倉多江美、のちに人気小説家となる山田詠美さんのまんが家時代の作品(山田双葉)などがあって、むむむ、と。

山田詠美さんは80年代の時代の寵児?という感じもあったと思うけれど、その彼女は、もとは少女まんが家だったんですね。(Wikipediaにあるけど、実物をみて、ほほーと思いました、しかも「横須賀フリーキー」というタイトル!)

ああ、とこの時、思ったのでした。電子マンガが主流になりつつあるいま、紙の、少女まんがの形、というものが、あったんだな、と。しかも、それはせいぜい1970年代あたりに確立したものなのだ、な、と。少女まんが雑誌というわけでなかった、ライフスタイル全般とマンガの合体雑誌というか境界線上雑誌というか、その『ギャルズライフ』ファミリーを見て、気がついたのです。で、概念図描きました。

どんどん形が小さくなって、ついに消えて(デジタル情報)になってしもうた……の図。


この『ギャルコミ』『ギャルコミDX』は、平綴じで、本誌『ギャルズライフ』は中綴じのAB版(B5版より少し大きめ)。だから、ちょとイレギュラーではあるけれど、「GLコミックス」というコミックスシリーズも出して、りっぱな「少女まんが」ファミリーを形成しています。

大島先生の『四月怪談』は、『ギャルズライフ』1979年に掲載後、「GL」コミックスとして、1981年に発売されています。以後、サンコミックス・大島弓子選集(朝日ソノラマ)、白泉社文庫などになっています。(ちなみに、映画化もされたし、テレビドラマにもなりました)

『ギャルズライフ』(1978〜1984)の「ギャルコミ」ファミリーは、本誌の休刊とともに、80年代には姿を消したようです。少女まんががアツかった時代を象徴するものかも、と感じ入りました。

(貴重な雑誌群、ご寄贈いただき、ありがとうございました!)

『バナナフィッシュ』って少女まんがなの? 

一方、先日、ある40代のまんが好き男性から、少女まんがってなに? 『バナナフィッシュ』大好きだけど、全巻持ってるけど、え? 少女まんがなの? へぇ、……と驚かれ、こっちも驚きました。

「はい、『バナナフィッシュ』は少女まんが雑誌に掲載された少女まんがです」と。

とはいいつつ。内容的には、たしかに、少年まんが、バンドデシネ(フランスのマンガ)、大友克洋、さんなどの絵柄、ストーリー展開ありで、そもそもジャンル分けに意味ないかも、感は残ります。キモは、めっちゃ少女まんがだと思うけど(とにかく、純愛!という)。 色んな意味で、意義深い作品だし、なにより、当時、めっちゃおもしろくて、人気大爆発(少女だけでなく、少年青年漫画好き大人たちにも)だったと記憶。

わたし的には、『バナナフィッシュ』は、少女まんがのおいしいエッセンスぜんぶいいとこどりの(BL的要素をブロマンスとして描くあたり)、80年代ニューヨークの風ぴゅうぴゅう吹いている、名作、何度読んでも泣く。

すでに社会人やっていたので、最初は後輩男子から教えてもらって、読み、何度も読むという……。ああ、少女まんがというジャンルが、「少女だけの楽しみ」的世界からさらに開かれ、ポピュラーになったんだなぁと感慨深いものがありました。

さきの「あの、少女まんがってなに?」とのストレートな質問に、少女まんが雑誌に掲載されていた作品、と答えつつ、いやー、最近は、小学館漫画賞のジャンル分けも撤廃されたし、確かに、よくわからなくなってるかも、意味も成さなくなってるかも、だから、そんなジャンル分けにこだわらない人、知らない人も多いのかな、と思い、「少女まんが」が成立していた時代を、自分なりに整理していこうか、と思いついて、なう、書いてみました。

とりあえず、今日はここまで。また、続きを書くかも……。

ちなみに、ウィキ先生には、以下にようにありますね。





よろしければ、サポートお願いいたします! 少女まんが館の管理運営費として活用いたします。たいへん励みになりますし、助かります。よろしくお願いいたします。(ooi)