ヴェロニカが咲いていた・・・春は目の前だ。
堤防の陽だまりに、青いつぶらな瞳のようなオオイヌノフグリが咲いていた。
いぬふぐり 星のまたたく 如くなり (高浜虚子)
大空に 似たる色かも いぬふぐり (那須辰造)
このかわいらしい野の花に、犬のふぐり(陰嚢)と名付けられた由来は、その果実がそれの形に似ているからだそうだ。
ハートの形を逆さにしたような感じでぶら下がっている様は、似ているといえば似ているような・・・?
しかし、学名はヴェロニカ。
ヴェロニカはキリスト教(カソリック)では聖人のひとりである。
彼女は、十字架を背負ってゴリゴダへ向かうイエス・キリストの汗を、自分のヴェールで拭いた勇気ある女性である。
まだ外気は冷たいが、もう10日もすれば3月。
やがて、辛夷が咲き、木蓮が咲き、そして桜が咲く・・・春はもう目の前だ。