空き時間に闇の世界へ『人怖』

村田らむ『人怖』、竹書房、2021年。(1500円+税)

余談

私の読書スタイルは、乱読かつ併読です。1日に大体3冊は手に取ります。このスタイルに至ったきっかけになった本の成毛眞著、『本は10冊同時に読め』も機会があれば紹介しようと思います。
私は本をシチュエーションごとに大きく3種類に分けます。
1.喫茶店などでじっくり読む。
2.家で読む。
3.電車など移動中に読む。
という感じです。

今回取り上げた本は、3の電車内で読む本です。3はとにかく読みやすくて、多少の雑音があっても集中を維持できるものです。そのためこの本は今まで紹介してきた本の中で最も読みやすい部類に入ります。一つの話を2.3分で読めるので、電車通勤にピッタリです。

内容

著者の村田らむさんは、樹海やホームレスなどに強いライターです。死に隣り合わせの取材をずっとされてきた方です。昔からよく村田さんの動画や本を見ていたので、何本かは知っている話も載っていました。
例えば、「ハムスターを殺す女」と「仕掛け人」はこの動画で話されています。
https://youtu.be/0cF9izckxAw
よければこちらも見てみてください。
相当グロいし胸糞なので要注意です。

お話のひとつを要約して紹介しようと思います。
「蛇の声」というお話しです。
村田さんが爬虫類ショップをやっている女性と結婚した際、生き物は持ち込まない約束をしました。しかし数日だけ置かせてと言われ、しぶしぶ許可するとなし崩し的に動物園にされてしまったそうです。静かな爬虫類だけならまだマシだったのですが、コオロギやマダガスカルオオゴキブリなども持ち込まれ、うるさくて夜も寝られなくなりました。
冷凍庫には餌のネズミなども入れられ、動物たちの糞も異臭を放ったりして住める環境ではなくなりました。
ついにはアミメニシキヘビまで置かれ、許可も取っていないだろうし、下手すれば自分も逮捕されると思ったそうです。
我慢ができなくなって喧嘩になり、爬虫類と虫を置いて妻は出てゆきました。村田さんは育て方もわからないので放置するしかなかったそうです。
ある日「コォォォォ」という音が聞こえて目を覚ますと、アミメニシキヘビが苦しそうに口を大きく開け、倒れて動かなくなりました。
蛇は声を出す事はないそうです。体の構造的にそもそも出せません。

我慢の限界が来て村田さんは家を出て、妻に顔を合わせなくていいから家を何とかしてくれ、ついでに離婚してくれと言いました。

1ヶ月半ほど家を空けて戻ると綺麗になっていました。しかし異臭がします。
その異臭の先には……?

というお話しです。こんな話がたくさん載っていて読み応え抜群です。


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