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アイドル短歌25のお題:素知らぬ顔で回る天体


 短歌詠むの、もっと上手くなりたい〜〜〜!!

 というわけで、推し短歌の企画にあわせてアイドル短歌25のお題を完走しました。数首ずつTwitterに投稿してたので、少し解説を交えて。順不同です。


お題元はこちら。
(鷹野さん、ありがとうございます!)




 まずはぱっとお題を見てよみたいなと思った4つから。少しナイーブで危うげな雰囲気から、紺地に白文字で。


1.推し
「悠遠の光で撃ち抜き惑わせて素知らぬ顔で回る天体」

私は推しのことを天体みたいだと思っていて、そのスケールの大きさ遠さがとても好きだ、ということを。望遠鏡は接顔レンズから見るととても美しいですが、対物レンズから覗き込んでも何も見えないもので、そういう距離感が好きなのだと思います。


2.魔法
「永遠と君がいうならそうでしょう信じる限り解けない魔法」

つい先日「解けない魔法」というタイトルの新曲が発表されたので、それに準えて。これからも、と歌ってくれることの嬉しさと、夢幻ばかりのアイドルとファンの関係でありながら互いに信じ合うってとっても一途で盲目で、かわいいよね〜私たち!!という気持ちです。

13.痛み
「儘ならぬ近さの熱に酔う前に雲を霞と逃げ出す弱さ」

わたしの推し、メジャーデビューをしていない所謂地下アイドルに分類されます。CDは所属会社から直接販売されてるし、サブスク配信もあるよ!
正直ライブもSNSも何もかもが近すぎて戸惑うことばかりです。私の心臓はそこまで強くないんだ…本来は楽しむべき距離の近さを自分の臆病さ故に楽しめない、この違和感を痛みと呼ぶのなら、なんとも贅沢な悩みだなと思います。

12.甘い
「致死量の視線触れ合う悦びが君に分かるか夏の日のこと」

ライブは基本触れ合えないけど視線は触れ合えるわけよ、というのは中島健人さんの言葉ですが、いやぁ痺れますね。
夏の日のライブで、目がたくさんあった(と思っている(楽しんだもん勝ちなので!!))日のことを。忘れ難さ、という名の甘さ。




 続いて、メルヘンな漢字1文字のお題を4つ。もみの木というワードから、白地にコニファーグリーンで柔らかく。


4.花
「茎おって祈りで束ね葉を落とししゃんと咲く君 花色は瑠璃」

我が家ではいつもダイニングテーブルにお花を飾っています。残念なことに私は植物をすぐ枯らしてしまうタイプの人間なのですが…帰ってきて花瓶に生ける前に、少しでも長く咲いてくれますようにと祈るような気持ちで水上げします。
その時の様子に重ねて、少しでも長くアイドルでいてくれますように、挫折や失ったもの全てが美しく咲くために必要なものだったと思えますように、という気持ちを込めました。あとは、青の最上級って瑠璃かな、とか。


3.星
「探査機が不時着しました夢を見ていのちは巡る星の死ぬまで」


星の死、というワードを使いたかった。推しとの出会いはいつも突然ですよね、という話。彗星探査機ロゼッタをモチーフに、私たちオタクの在り方を重ねて。

14.夜
「伽羅の香ラム入りミルク君の声モミの木に降る夜の綿雪」

推し、毎週木曜日の夜に配信をしています。その声を喩えるならば、をそのままよみました。ちなみに仕事でめちゃくちゃ疲れていたりアルコールが入った状態で聞くと100%寝落ちる。ほんまごめん。

16.鏡
「赤と青似ずとも揃う足並みで獣の爪痕地球に刻む」

推しはメンバーカラーが青色なのですが、いわゆるシンメ的存在に近いのが赤色の子になります。2人が横並びでいる時の強さが大好きです。タイプが全く違うと互いに公言していますが、パフォーマンスのちょっとした部分で見事にシンクロしてる様子をみると、双璧をなすとはこのことだなと思います。
2人のコンビ名が「地球」なので、なんとか入れ込んで作りました。





 次は、寂しさと情念とほんの少しの明るさを含んだものを。4番目の短歌にあわせて、雲の白地に空色の文字。


17.名前
「手の中の画面ばかりを見つめてる君の名前も呼べぬまま、秋」

現場がなかったり、予定が合わなかったりして中々ライブに行けない時の寂しさを「秋」の1文字に託しました。
画面ばかり、といってはいますがアーカイブがいつでも見れるって、それはそれでめちゃくちゃありがたいです。

18.手
「僕の名が君の字で在るチェキ1枚手の輪郭などとうに忘れた」

手、のお題で真っ先に思い出したのが推しチェキのことでした。当たりが出たら推しとチェキ撮ってお話ししながら落書きしてもらえるシステムで、初めてチェキくじを買った時に当てました。ビギナーズラック!貰ったチェキは定期入れの見えないところにこっそり入れています。今思い出しても何にも覚えてなくて何もかも夢みたいだと思うのに、定期入れからたまにチェキの端っこが少しはみ出しているのを見るたびに、現実だったんだな〜と思います。不思議。まぁ推しに書いてもらった私の名前も偽名ですけどね。

8.演
「ステージに立つのが君の宿命(さだめ)ならきっと来世も会えるね僕ら」

私の推しにとって演じるとは何か、を考えました。多分ステージに立つことの全てが彼にとって演じることであり、彼の生き様であると勝手に思っています。あなたがステージに立つというのなら、私は何度でもあなたを見つけてみせる。そんな気持ちです。

10.憧れ
「憧れは天高く舞う鳥に似て標(しるべ)が君に在ることの強さ」

私の推しには絶対的な憧れの存在がいます。先輩グループである彼らは、メジャーデビューしていない身でありながら武道館公演のチケットをソールドアウトさせ、次に横アリ公演を控えています。つ、強すぎる。背中は遠いと思うことばかりですが、目指すものがあるという芯のブレなさもまた、私が彼を推す理由のひとつだなとも思うのです。




 恋みたいな言葉たちを集めて4首。淡いピンク地に、こいむらさきの文字。

5.手紙
「三十一文字(みそひともじ)言葉を摘んで折り重ね宛名も無しに手紙をかくこと」

私にとって短歌をよむこととは、を考えました。伝えたいことをぎゅっとして削ぎ落として丁寧にかたちづくられた言葉たち、誰に届けるでもなく自分の気持ちを吐露したいだけの我儘のかたちなのだと思います。

6.声
「届け!好きの精一杯の熱量があなたの名前にかたちをかえて」

ぼっちだし目立つのもあれだし、と思って普段控えめにしてる(つもり)ですけど、名前を呼ぶ時だけはちゃんと声を出します。
推しの下の名前が精一郎って言うんで、「精一杯」の文字をどうしても入れたかった。指先ほどの熱量でいいので、届いてくれてたら嬉しいな。

9.少女
「きゅん、忘れかけてた少女が胸中で恋ではないと教えてくれる」

どえらいビジュの写真が投稿されたり、どえらいTikTokが投稿されたり、ブログで色んなハートつくったポーズの写真が投稿されたり、会えない時にみんな何してるのかなって考えることがあるとかそういう何気ない言葉にきゅん、とする度に、なんでしょう、恋とは違うな、と思うのです。じゃあ何なのかと言われたら、うーんわからん!けど、きゅんとなる気持ちってとっても素敵で、なんだか少しだけ少女に戻ったような、そんな気になったりならなかったり。

7.神様
「歌、目線、指差し、言葉、泣いた顔神様だったらくれないものたち」

推しのことを神様だとか思う気持ちは、私の中に1ミリもありません。むしろ同じ人間で、でも人間からほんのちょっとだけずれたところにいるひとたち、という認識です。神様は黙って微笑むだけですが、あなたはそうではないので、見せてくれる温度だって愛しくて好き。




 少し明るくて強めのものを。白地に、大地のような光のような稲妻のような金色のラメのような、黄土色。


20.旅
「前を見て振り向かないで信じててあなたの前に道は広がる」

前に似たようなテーマで短歌をよんでたので、できるかなと不安でしたが思ったよりすんなり出てきました。私はきっと君が思うより、君のことを信じてるのだと思います。なんちゃって。

21.ライト
「暗転、僕は何者でもなくて光のひと粒あなたを照らす」


会場の明かりが落ちてライブがはじまった瞬間の、自分という境界線が一気にぼやけてただ目の前の景色に夢中になるあの感覚をよみたかった。握りしめるペンライトの光のひとつであるだけですが、推しの見る綺麗な景色の一部になれたらいいな、とずっと思っています。

19.走る
「燃え滾る炎舞台で踊る君走る衝動地を這う稲妻」

わりとそのままです。接続詞を使わずにどれだけ表現できるか、で遊んでみました。ひとつ、踊ってみたのステージで忘れられないほどの気迫を感じた演目があって、その時のことを。

15.キス
「流星が祝福のキスしたみたいスパンコールとラメとあなたと」

きらっきらの衣装が好きです。アイドルの醍醐味ってやつ。衣装についたスパンコールやラメに負けないくらい、いやそれ以上にあなただって輝いている、という気持ちを込めて。




 続いては重たい感じを出したくて、黒地に白色の文字。


11.諦め
「諦めは祈りにも似て厳かにこうべを垂れて息を吐くこと」

予定がどうしても合わなかったり、遠征できなかったり、チケットが外れたり。推し事をしているとどうしても、何かを諦めることに直面します。ため息をつきながら、どうか無事にツアーを終えられますように、みんなが楽しめますように、次こそは当たりますように、とか、遠くの幸せを願うことを忘れずにいたいと思います。

24.さよなら
「あてどない何時かの別れに意味はなく只きみの今を慈しむだけ」

少なくとも私は、推しがアイドルである時間には限りが在る、と常日頃思っています。例えば君に好きだと言うこととか、いつかを怯えるよりももっと大事なことってたくさんあるよね、という話。

22.時
「まなざし1秒私は溺れゆく魚このまま時が止まればと何度」


だいぶ定型音から外れてしまいました。私は推しの目線が大好きでそれに惚れたと言っても過言ではないので、目線が降り注ぐ度に感じる気持ちを深掘りして。




最後は、白地に黒の文字でシンプルに。


24.メンバーカラー
「薄氷も幸せの鳥もうら若き蕾も愛しいわたしの青たち」

これは私だけの、私のための短歌です。人生の一部って思うくらいずっと大好きな推しも、二次創作するくらい大好きな推しも、初めてライブに通いつめるくらい大好きな推しも、濃淡は違えどみんな青色なんです。
私の青たちへ、愛を込めて。

25.アイドル
「the world is in my hands,ステージで眩しく笑う君はアイドル」


初めての試み、英語を入れてみました。難しかった…
やっぱりステージでアイドルしている時が1番輝いていて、とびっきり大好きなあなただな、と思う気持ちを。英語部分は実在する歌の歌詞です。本当に似合うと思ったんだよ。



 以上25首、お付き合い頂きありがとうございました!


 最後に、今いちばん布教したい私の推し、ReLITの青野さんです。よしなに。


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